両親の離婚&怪我で部活人生終了➡︎絶望していた俺にやってきた忘れられない夏

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256:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 01:45:25.01ID:J77VLEdA.net
奈央「ごめん。本当は聞かない方がいいと思ったけど」
奈央「嫌なら、言わなくてもいいから」

俺はしばらく悩んだ。
どうしてか、奈央にケガの事を言うのは憚られた。
たぶんおばさんにもおじさんにも、
俺が腰を悪くしてバレーを辞めたのは伝わっていないはずだ。
ケガをしてしまった自分が情けなく思えて、俺は隠していたかったのだ。

257:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 01:48:04.17ID:J77VLEdA.net
俺「もう、十分やったからね。満足したって感じ」
俺「深い意味はないよ」

奈央「バレー、嫌いになっちゃったの?」
俺は大きく首を横に降った。
俺「まさか。大好きだよ。他のどのスポーツよりも好き」

奈央は、「ふーん…」と言いながら、水やりを続けていた。
何か、見透かされているような気がした。

258:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 01:49:15.93ID:J77VLEdA.net
奈央「これが終わったら、対人してくれない?一日ボールに触らないの、不安だから」
奈央「勉強する…?」
俺「お、やる?全然いいよ。じゃあ早く終わらせよ」
俺がそう言うと、奈央は「うん!」と言って笑顔になった。

今は難しい事は考えたくない。
奈央に笑顔が戻ってきたなら、それでいいんだと思った。

259:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 01:50:21.91ID:J77VLEdA.net
日差しは相変わらず強い。もう、夏も本番なんだ。
「よし!こんなんでいいかな!」と言った奈央は、畑からホースを撤収し、
家の目の前に向かって勢い良く水を振りまいた。

アーチを描いて霧散した水滴は、
太陽光を反射してプリズムのようにキラキラと散っていった。
燦然たるその光景が、なぜだか俺の胸をきゅっと締め付けた。

267:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2015/11/05(木) 12:27:11.40ID:7I2c9t8c.net
>>259
この一節が透き通りすぎててびびった
元気に水を振り撒く奈央ちゃんの姿が目に浮かんだわ
にしても、なんでお守りは落ちてたんだろう

277:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 22:34:33.43ID:NHoSgdPp.net
奈央がボールをポンポンと叩きながら玄関から出てくる。
俺は水道で水をがぶ飲みしていた。

奈央「この前と同じ感じでいい?」
俺「ん、いいよ」
俺はびしょびしょになった口元を腕で拭って返事をした。
水を飲んだら、溌剌とした気分になった。

278:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 22:35:53.66ID:NHoSgdPp.net
「いくよ」
奈央がボールをひょいっと上げて、俺の元に打ち込んできた。
バンッと両腕でキャッチ(レシーブ)し、奈央の頭上へ優しく返す。

奈央が「さすが」と笑いながら、俺に向かってトスを上げる。
綺麗にトスが上がって、「いける」と感じた。
振りかざした手はバチンッと気持ちよくボールにミートして、
かなりの速さで構えた奈央の元へ飛んでいった。

軌道が安定していたので、
奈央はほとんど動くこと無くレシーブを高々と上げた。

奈央はレシーブしながら痛切な声で「はっや」とつぶやいた。
俺は「ナイスカット」といいながら、少々低めのトスを返す。
奈央は「よし!」と言いながらトスの軌道を見定めて、パシン!とボールを叩いた。

279:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 22:39:17.08ID:NHoSgdPp.net
俺の構えとぴったりの所にボールが飛んできて、
「おっけ!」といいながらレシーブを奈央の元へと返す。

奈央も「ナイスカット」と笑いながら俺にトスを上げた。
これまた、いい感じの打ちごろのトスだ。
俺は軽やかにボールを叩いて、奈央の元へ打ち込んだ。

ボールは少々手前に落ちそうになって、俺はまずいと思った。
奈央が、「オーケー!」と叫んで地面に滑り込んだ。
ボールは奈央の目の前でバウンドし、奈央はそのまま地面に倒れこんだ。