え?ざっとの計算だがこれだけで3万円??
わけがわからなかった
「え?これって・・・」
「金が発生するのは当たり前だろ」池谷はそういうと作業員ではない4人に指示を出す
どうやら言っても話を聞いてもらえそうに無さそうだ。
あの4人はなんなんだろう?
監督側の人間としては扱いが悪いし
いや、そんなことよりこんな金使わされていたら50万補填するのにも
半年以上かかるここは慎重にお金の使い道を考えよう
部屋に戻り、一番話しがわかりそうな村上さんに色々聞いてみる
「僕、少し建築の世界にいたんですが今の状態だと完成には何年かかるかわかりません。本当にあんなペースでいいんですか?」
「いいんだよ。俺達はただ掘り返して埋めて、掘り返して不要な石やらとって埋めての繰り返しなんだから・・・」
俺は耳を疑った
「いや、掘り返すだけさ。ただ将来的には何か建造物が建つらしいよ」話が読めない。
村上さんに聞いても俺にも工事の詳しいことは分からないんだと言われる
島田は一人ふさぎこむようにタバコを吸っている
植木がタバコ一本くれと言ったらすぐ渡しているようだ
今からの地獄の事を考えてしてない行動に俺は島田に腹が立った
そんなに簡単にあげてちゃ、すぐなくなるだろ!
その日は酒の力もあり布団に入るとすぐに寝てしまった
俺は警戒心から財布を布団の下にいれて寝た
次の日の起床時間は6時だった
案の定、次の日島田の財布からお金が盗まれていた
「おきろー!急げー!」
昨日の確認メンバー4人のうちの一人だ
池谷がやってきた
「よし!点呼するぞ!名前呼ばれたらすぐ返事しろ」池谷が一人ずつ名前を呼んでいる。
逃亡者確認なんどだろうか。
点呼が終ると、「よし、お前ら朝食前の洗顔、歯磨きだ!」と言い強制的に顔と歯を表せる
結局、一日の手取りが2万なんだがなんだかんだで一日1万5,000引かれるわけね。
部屋代とかはマシなんだが飯代が時価のため
結局なんやかんやでその月の明細をもらったんだけど
50万給料貰ってるのに。手取りは4万くらいだった
手取りがじゃこれじゃ50万補填の方にお金は回せない
正直何のために働いてるか分からなくなっていた
次の月も2万くらい
その次もその次も。そして夏が来た。本当に暑かった
熱中症なんていつもの貧相なおかずじゃ塩分が足りないし
スポーツドリンクなんて今の時期は500円する
自分の汗を舐めて塩分を補給するしかなかったんだが
当たり前のようにバタバタみんな熱中症で倒れた
そこで池谷が熱中アメというのを最初は無料で一日三粒800円で売り始めた
これは確かに効いたのだが島田さんは熱中症の後遺症でてんかんを発作で起こすようになった
俺は正直うっとうしいなって思った
発作をおこしたら部屋まで送らないといけないし体力だって俺達もないんだから
半年くらいしたと思う
島田はどこかに消え、新しい作業員も何人か増え
池山さんとなんと同じ現場で会えた
どうやら池山さんが入っていた現場は本工事の方がはいり
池山さん達はおやくごめんでこちらの現場に流れてきたそうだ
池山さんは安達さんのグループでおよそ100万程の補填を命じられタコ部屋に入れられたということだった
池山さんは酒も飲まないし、タバコも吸わない
それでいくら減ったんですか?と聞くと8ヶ月入って11万しか減っていなかった…
俺も6ヶ月で9万しか減っていなかった
「池山さんどうなんですか。俺この計算だとあと2年はこの生活続けないと返済終らないですよ」
「俺なんてあと9年はかかる」
絶望した。
最短2年なだけで仕事の賃金を減らされたり
怪我なんかしたら全て終るのだから
池山さんと相談しあった結果、安達さんに連絡して
もう一度、どうにか考え直してくれないか相談してみることにした
しかし、連絡するすべがない。
とりあえず飯の時間に事務所にもぐりこんで電話をするということで2人でチャンスをうかがった
連絡係は池山さんだ(長年付き合いがあるらしい)
チャンスはやってきた
その日は歓迎会で監督、池谷がベロベロに酔っていたからだ
池山はさっそうと監督の事務所に行き、安達さんに今の近況を伝え、慈悲をお願いした。
池山はチャンスを貰ったが俺にはもらえなかった
池山が部屋を出るとわかったのは当日(退出)の夜だった
悔しかった。池山をちゃんと見れなかった
池山は出て行くときに俺の事も頼んであげるとは言ったが焼け石に水だろうと思い、
独り言をぶつぶつ言いながら仕事の絶望感に押しつぶされそうになっていた
ついに一年がたとうとしていた
俺の50万の補填はまだ17万しか終っておらず仕事も穴を掘っては石を取り除き、また穴を埋めなおす作業
不味い飯に満足に浴びれないシャワー
もう何もかもが嫌になっていた。
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