じゃあ続きからぼちぼち書いていく
ここからの話は俺社会人、従姉妹大学生だな
俺の入った製薬会社はそこそこ給料も良くて、結構忙しい時もあるけどブラック何かじゃない
良い会社に入れたと思ってる
一方従姉妹は他県の大学へ行って、一人暮らし
入社1年目は慣れない生活に戸惑う事もあったけど
長期休みには従姉妹が帰って来て、お互い励ましあいながら頑張ってた
従姉妹「なぁー」
俺「ん?」
従姉妹「ちょーこっち来てー」
俺「どしたん?」
従姉妹「ん」
俺「……はい」
従姉妹「ん、よろしい」
従姉妹の「ん」は、ハグの合図だった
最初言われた時は何をしていいか解らなくて、従姉妹に理不尽に怒られた
従姉妹「おい」
俺「おいってお前……何?」
従姉妹「今日どっか行かんの?」
俺「…行きたいん?」
従姉妹「うん」
俺「…ほな行こうか、どこがいい?」
従姉妹「…優と一緒だったらどこでもいいー」
俺「ふーん」
従姉妹「………ツッコンでよ、滅茶苦茶恥かしいけんな、コレ」
中々会えないようになったからか
たまの二人きりの時間にはこんな風に甘えてきて、その分可愛さも増した
入社2年目、任される仕事も徐々に増えてきて以前より忙しくなり、
せっかく従姉妹が帰ってきてるのに会えない、という事も少なくなかった
すれ違いに焦りを感じていたし、その事でストレスも溜まっていたし、
何より俺が「会えない」と告げたときの
「…うん、解った……あ、仕事頑張れよ」
という返事を聞くのが辛かった
昔の従姉妹だったら怒ってただろうなーとか、もう何回断ったかなーとか、
色々考えているうちに罪悪感で胸がいっぱいになった
きっとこの頃から俺達の関係は狂い始めてたんだろう
入社3年目、仕事は更に増え、後輩に指導する事も多くなった
極力従姉妹に合わせて休みを取るようにしていたため、合う頻度は2年目と変わらなかった
そして、中学以来全くしていなかったケンカをするようになった
従姉妹が、「…何か今日機嫌悪いな」とか「最近何かおかしいよ!」とか言いだす
もちろん俺はそんなつもりは毛頭ないから弁解する
しかし従姉妹は認めず「嘘!」「嘘じゃないって」「だって…!」「それは…!」
のような感じで水掛け論が始まって、ケンカ
よく、『ケンカの原因はささいな事が原因』っていうのを聞くけど、それを嫌なほど実感した
その後一人になると、
何でもっと冷静になれなかったのか、また貴重な時間をケンカで潰してしまった、と自責の念にかられた
俺達の間にできた溝はどんどんどんどん深くなっていって、
その年の冬、俺達は悪い関係を修繕できないまま、別れた
入社4年目、あれだけ必死にやっていた仕事が、どうでもよく思え始めた
いや、仕事だけでなく何もかもが鬱陶しくなって、
俺に気を使ってくれていた同僚や家族にも当たり散らかした
このままではダメだと思い、何とか従姉妹を忘れようとした
けど、二人で歩いた道を通るたび、一緒に行った場所を訪れるたびにアイツの事が思い出されて、
そのたびに心が痛んだ
俺の家の自室なんかもってのほかで、特に強い思い出が残ってる場所だった
この時はもうしてる
だから俺はこの年一人暮らしを始めた
マンションを借りて、初めての一人暮らし
忙しさで気が紛れるかもしれないと思っていたけど、そんな事はなく、
今までどおりの寂しさが俺を襲った
何をやっても俺の中には従姉妹がいて
どうしても従姉妹を忘れる事ができない、なら、もう従姉妹を嫌いになってやろうと思った
好きだと思うから辛い、だったらいっそ…という苦肉の策だった
従姉妹を恨むのは筋違いだし、情けない方法だと思う
けど意外なことに効果はあり、こうしたお陰で大分楽になったのも事実だった
せつない
その年の冬にはもう家事もある程度できるようになっていた
とは言っても、まだまだ下手糞の領域だと思うけど
で、正月に仲の良い同僚と初詣に行った
深夜とはいえお正月、初詣に来ている人はたくさんいた
俺がその人ごみを眺めていると、その中に従姉妹が居た
見間違いかと思って、もう一度見る
すると、もうその場所には居なかった
俺は同僚をおいて、さっき従姉妹が居た方向へ走った
従姉妹は直ぐに見つかった
そう
>>160からの正月は、今年の正月の事
俺「…おい!」
従姉妹「!…あ、優!何で…ってそりゃそうか……どしたん?」
俺「ん、いや……えーっと…まあ、久しぶり…」
従姉妹「…うん、久しぶりやな」
俺「…誰と来たん?(従姉妹の)母さん?」
従姉妹「と、弟と」
俺「そっか……あの、ちょっと一緒に周らん?」
従姉妹「………うん、いいよ」
何も考えず突っ走った俺は、しどろもどろになりながらも従姉妹を誘った