引越し先で奇妙な穴を発見➡︎覗いたりイジったりしたらとんでもないことに…!

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65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/09/30(月) 20:25:38.23 ID:2mBUXQwQ0
俺はやはりあの穴が何かの元凶だと気付いて、また宅飲みを断られたその日、部屋に着くなり穴の輪郭をなぞってみた。
驚いた。
正直、こんなに安心した事は無いという程に心の底から安堵感みたいなものがこみ上げてきた。
着けてしまったテレビの音が本当に煩わしく感じた。
この穴さえあれば良いとその時は本当にそう思っていた。
「痛っ…」
手の先に痛みが走り俺は正気に戻った。
よく見ると、なぞっていた人差し指に細い切り傷が何本も付き、薄く血が出ていた。
「……何だこれ。」
急に怖くなった俺は財布と携帯を持って家を飛び出し、あいつの家に向かった。

 

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/09/30(月) 20:32:22.12 ID:2mBUXQwQ0
「ちょっとヤバい事が起きた…。お前んち泊まらせてくれ…。」
何かから逃げる様に駅までの道を走りながらそう電話で伝えると、あいつはまるで全て分かっていたかの様に「おう。」とだけ言った。
「…お前あの穴なぞっただろ。」
着いて早々にそう言ったそいつを何故だか頼もしくも思った。そして共感者の存在がどうしても俺を興奮させた。
「なぞった。なんだあれ。」
「知るかよ。…でもお前良く自分で止めれたな!!」
俺の興奮や緊張や不安を察してか、茶化す様にそう言ってきた。
「いや、なんか途中で手切れて…あれ、そういえばお前手は?切れてねーの?」
「は?」
腑に落ちない様子だったので切れた指先を見せながら続けた。
「いや、あれなぞったのにお前なんで手切れてねーのかなって。」

 

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/09/30(月) 20:33:40.70 ID:orXesLMC0
ヤバイ・・・
ワクワクするw

 

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/09/30(月) 20:38:25.99 ID:2mBUXQwQ0
「何言ってんのか分からんが、手なんて切らんかったぞ?ほれ。」
そういって手のひらを俺の前にずずいと差し出してきた。
不思議な事に、こいつの言う通り傷は見当たらない。
「いや、でも俺は…。」
違和感を感じた。もっと前に感じるべき違和感。
こいつだけじゃないはずだった。
穴を触ったのはこいつだけじゃない。
「あ。」
「何だどうした?」
思わず声に出てしまった。

 

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/09/30(月) 20:47:26.85 ID:2mBUXQwQ0
「不動産屋だ。」
「ん?何が?」
「俺とお前以外に穴触った奴。」
「へぇ…。」
必死に彼等と俺の違いを考えた。
何で彼等は怪我をしないで俺だけ怪我したんだ。
「てかさ…あん時俺軍手してたからどうやっても怪我なんかしないぜ?」
「え?」
「いやだから、軍手軍手。」
あぁ。なんだ。別に俺が特別に穴に選ばれたとかそう言った物語じゃないのか。
「不動産屋も触ったんだろ?ああ言う人たちってよく手袋してないっけか?白い奴。」
なんだか安心と落胆を覚えた。
「確かに。普通にあの穴の輪郭がなんかの建材が飛び出してて切っただけっぽいな。」
安心した俺は急に疲れてしまいその日はそいつの家に泊まらせてもらう事にした。
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/09/30(月) 20:52:48.20 ID:2mBUXQwQ0
「まぁ、おまえそう言う話好きだしな。穴吸血鬼的な?」
「…もう良いから飲んで寝ようぜ。」
久しぶりにそいつと宅のみをした。料理好きな俺は、元々外で飲むより宅のみの方が好きだったので何だかひどく機嫌が良くなりすぐに酔ってしまった。
「お前酔い過ぎだろ。まぁ先寝てろよ。」
そう言ってそいつはソファーに枕とタオルケットを置いてくれたので、俺はその言葉に甘えて寝る事にした。
どの位寝ただろう、目が覚めると同時にひどい頭痛と吐き気がした。体を起き上がらせるのが億劫だったので目だけを動かし時計を探した。
3時40分
大体そんな時間だった。

 

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/09/30(月) 20:58:27.06 ID:2mBUXQwQ0
「……。」
あいつが何か喋っている。
「………か。」
俺は恐怖のあまり、体を動かさずに涙だけを流した。
「成る程なぁ…切れるのか。」
さっきまで張ってあった、あいつの好きなLEONのポスターが剥がされ、そのしたにあの穴そっくりな穴がその輪郭を映していた。
「だからかぁ。」
あいつは、ぶつぶつ呟きながらその穴の輪郭を指でなぞっている。
始発が5時ちょっと。それまで俺は寝たふりを続けた。

 

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/09/30(月) 21:02:34.64 ID:2mBUXQwQ0
「おはよう。…あー頭いてぇ。」
「おうおはよー。起きんのはえーな。」
結局そいつはその後俺が起きるふりをする時まで穴を触ったり、ぶつぶつ呟いていた。
おれがモゾモゾと起き上がるふりをすると、慌てて穴をポスターで隠した。
「まぁおかげ様でぐっすり寝れたしな。」
「…本当に?」
「うん。サンキュー。もう始発あるし帰るわ。」
「おう。またなんかあったらウチ来りゃ良いさ。」
「…おう。」