母親は電話口で号泣していた。
「あんた、なんで電源切ったりするのよ!!何回も電話したのに!!」
母親が怒鳴るようにしてそう言った。
「仕方ないから私、会社にまで電話して・・」
「ええからおかん、言えや!!何があってん!!」
俺は母親の取り乱した声を聞いていると、自分まですごく焦ってくるのを感じてそう怒鳴った。
「あゆみちゃんが、あゆみちゃんが・・」
もうこの時点で、目の前が真っ白になりそうだった。
「じ、事故で・・大きい事故で・・」
「病院は!!」
「○○病院・・」
俺はタクシーを捕まえて乗り込み、病院まで急いでくれと告げた。
「急いで行くから」
「え、あ、んん・・はよおいで・・」
俺は歯切れの悪い母の返事に、心臓が締め付けられそうになった。
急いで来いって言えよ・・なんでやねん・・そんなことを呟きながら、既に涙が止まらなかった。
彼女は居眠り運転の乗用車にはねられて、即死だった。
いつも信号をよく見てない俺に、「まだ赤やろ!」と叱る彼女だった。
大阪人には珍しく、信号を最後までちゃんと待つ彼女だった。
電車のホームでだって、すごく後ろの方に立つ彼女だった。
「だってもしものことって、いつ起こるかわからへんやん?それがあって悲しむのは真也やろ?」
そう言って笑った彼女だった。
「事故って、いつ誰の身に起こるかわからんもんやろ」
「どんなに気をつけてても、相手が気をつけてないことだってあるわけやし」
「やからもっと気をつけてよ」
「真也が心配や・・」
「事故せんといてよ?」
「ちゃんと気をつけてよ?」
「いつか真也と、事故で離れ離れになる気がすんねん」
そう言っていつも俺を心配した彼女だった。
「ほんまや・・事故で、離れ離れやん・・」涙が止まらなかった。
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