とめどなく涙が溢れた。
トイレを出たところに先輩はいなかったので
私はダッシュでイオンを出て、タクシーで帰った。
家に誰もいなかったので、しこたま泣いた。
泣き疲れたので、先輩にあげるはずだった本命チョコを自分で食べた。
先輩からは着信もあったし
「どこにいる?」
「○○○○スポーツをうろうろしてるね」
というメッセージが来ていたけど
恥ずかしすぎて私は返信できなかった。
優しい人だったから、何事もなかったように
デートを続けてくれようとしたんだと思う。
でも私の乙女心は耐えられなかった。
っていうか、紐パン受け取れなかったんだけど
先輩はどう処分したんだろうか?
ちなみに当日の私の服装は、
渋谷の女子高生みたいな長さではなく
膝丈とミニの中間くらいのフレアスカートで
パンツは除かない限り見えないスカート丈だった。
ただ、エスカレータで1段下がり
更に小さな子供の目線から見上げると
傘の中でヒラヒラ揺れてる紐が見えて、反射的に引っ張ったんだと思う。
この一件で、私はサークルの集まりに行けなくなった。
先輩は言いふらしたりしなかったようで
私達がバレンタインデーとしたことは誰も知らないみたいだった。
あの日以来、私はイオンに行く時はメガネで変装している。
私の勝負パンツをサラリとほどいたあのガキ、見つけたら多分頃す。
トラウマでスタンダードな白いパンツすら履けません。
夫婦だったり彼氏彼女だったら笑い話にできたのに
あと数時間後には「彼女」になってたはずなので笑い話にできたかも。
経った数時間の差で人生狂いますよね。