けどとりあえずの不安が去って、補修も無いし出席も足りてるしで気楽に学校も行けて。
ちょっと抜けた感じの生活。俺は朝一の講義を取る必要が無くて、夜更かししてた。
いつもは十時くらいには帰る彼女が、その日は帰らなくて。横で静かに本読み続けてて。
ちょっと眠そうにしながら、時々、時計気にして。十二時回ったところで、立った。
「あ、帰る?」「まだ。」壁に掛けてあったコートから何か、引っ張り出して。横、来て。
「はい。」「何?」「チョコ。」「え?」「十四日になったから。」「え?」
青い包装紙の箱受け取ってもまだ、合点がいかなくて。時計指さされて。確認して。
「二月十四日。」「あ。」やっと理解して。ちょっと何か、固まって。
「カノジョですから。」貰っていいの、とか聞く前に自分で言って。笑って。
「これで私が一番、先。」「一番?」「お兄ちゃんが誰かに貰うかも知れないから。」
「これ、後先って関係ある?」「あは。なんかやだから。」また、笑って。
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