母ちゃん「てめえみたいなバカが母親?ふざけんな!
私の子供?口を引き裂かれてえのか!
てめえはこの子に何をしてやった?
てめえはこの子に何をしてきた!?
答えてみろ!!!!」
坂倉母「・・・・・・・・・・・・」
母ちゃん「なんとかいえコラ!
てめえみたいな奴が大嫌いなんだよ!
てめえはこの子を産む時に一生育てる覚悟をしたんじゃねえのか?
大きくなるまで一生守るって決めたんじゃねえのか?」
坂倉母「・・・・・・・・」
母ちゃん「私はな、子供が生まれた時は何があっても
守るって決めた。覚悟を決めた。
母親ってのはそういうもんだろ?
腹痛めて必死こいて産んで誰もが覚悟を決めるはずだ。
てめえは決めなかったのか!?」
坂倉母「・・・・・・・・・・・・・・」
母ちゃん「中途半端な覚悟で産んでんじゃねえクソ野郎!
みんな覚悟を決めて母親になってるのに!
クソみたいな覚悟で「私の子」なんて言うんじゃねえ!
この子はてめえの子なんかじゃねえ!
てめえみたいな奴は母親として認めねえ!」
坂倉母「・・・・・・・・・・・・・・」
母ちゃんはそれを言うとすくっと立ち上がった。
扉から出ていく母ちゃん。
皆が固まる中、数秒後に手に何かを持って帰ってきた。
それは包丁だった・・・
母ちゃんは包丁を坂倉母が座るテーブルに突き刺す!
坂倉母「ひいいいい!」
母ちゃん「てめえ・・・死ねよ。今すぐここで。
この包丁で自分でノドを突いて死ね!!」
背筋が凍りついた・・・・
本田母でさえも表情はやや曇っていた。
本田はくちをあんぐりあけて腰を抜かしていた。
や・・やばい・・さすがにこれはやばすぎる・・・
母ちゃん・・・殺すつもりだ・・・・
間接的に・・自殺に追い込むつもりだ・・・・
とと・・ととと・・・止めなきゃ!
止めなきゃやばい!
しかし足が動かない・・・
自分の母ちゃんなのに・・・こええ・・・
坂倉母「あ・・・あ・・・・あ・・・・が・・・」
オヤジ「フホーーーー!フホーーーー!」
オヤジも坂倉母もどっちも言葉を失っている・・・
だ・・誰か・・誰か止めてくれ・・!!
本田母「はいはい。ちょっとやりすぎよ。
さすがに自殺を迫ったら犯罪よ。」
母ちゃん「・・・・・・・・・」
本田母「あんたやりすぎ。怒るのはいいけど
殺すのはダメ。自殺を迫るのもダメ。
熱くなりすぎだから。」
母ちゃん「・・・・・・・ごめん」
本田母「ただね・・・あんたの気持ちはよ~くわかる。
おい!てめえ!」
坂倉母「ひっ!!!」
本田母「てめえは男にすがって生きたいのか?
働かないくそ男でも相手してくれるのが嬉しくて
一生男にすり寄って生きていくのか?」
坂倉母「・・・・・・・・・・・」
本田母「お前はわかってんのか。
この子にはな、お前しかいねえんだよ。
この子が世の中で唯一頼れるのがお前しかいねえんだよ。
お前しかこの子を甘やかせてあげられねえんだよ!!」
坂倉母「・・・・・・・・・・・・」
本田母「この子たちはまだ小学6年生だ。
うちの子もバカで成績悪くて口を開けば生意気言って
腹も立つけどまだ子供だ。
まだまだ甘えたい子供なんだ。」
坂倉母「・・・・・・・・・・」
本田母「特にお前は片親だろう?この子がかわいくないのか?
私はバカでろくに勉強もできない子供だけど
かわいくて仕方ないね。目に入れても痛くない。馬鹿だけどね。
で、あんたにはこんな目にあわされても家に帰ってくる・・
一途に母親を慕ってくる子がかわいくないのか?
この子はあんたを信じてこんな目にあっても我慢してるのに
その気持ちをなんでわかってやんないんだ!?」
坂倉母「・・・・・・・・・・・・・」
母ちゃん「とにかく、私達はてめえらみたいな奴らは絶対許せねえ。
いいな?今後この子にちょっとでも暴力振るってみろ!
私が殺しにきてやる!!」
板倉母「・・・・・すいませんでした。」
やっと坂倉母が口を開いた。
坂倉母「・・・・・ごめんね・・・ごめんね・・・・」
坂倉「母ちゃん・・・・・・・」
オヤジ「フホーー!フホーーー!」
坂倉母が泣き崩れひたすら坂倉に謝る。
坂倉はずっと忘れていたであろう
母親の感触をたしかめ胸に顔をうずめ泣いていた。
初めて見る坂倉の嬉しそうな、そして安堵しきった
子供の顔だった。
こいつの嬉しそうな顔は何度か見たことあるが
安堵しきった子供っぽい笑顔は初めてだった。
その坂倉を見つめる坂倉母の顔もまた優しかった。
本田母「なんとか元に戻るといいわね~。」
母ちゃん「戻らなきゃ殺すまでよ。」
母ちゃんは笑いながら言ってた。
坂倉父はあの乾坤一擲を受けてから
既に20分が経とうというのに
いまだに呼吸困難を起こし
ヨダレを垂らしていた。
本田母「ねぇ・・・?あのさ・・・このオヤジ・・・
ちょっとやばいんじゃ・・・?」
母ちゃん「だ~いじょ~ぶよ♪たぶんだけど。」
本田母「だって・・普通じゃないわよ?これ・・?」
母ちゃん「知らないわよ。自分が悪いんでしょ?
顔に書いてあったもん。「女のくせに」って。
バカだね~。女の方が強いに決まってるのにさ。」
俺「・・ねぇ?なんで女の方が強いの・・?」
母ちゃん「あんたまだ言ってんの?わかんないの?
女の方が男より一個弱点が少ないからよ。」
俺「・・・・・へ?」
母ちゃん「んで聞くところによると男同志の喧嘩って
その弱点の金玉狙わないんでしょう?」
言われてみれば・・たしかにそうだ。
喧嘩はルールがない。
だけど喧嘩で金玉を狙うことはまずなかった。
喧嘩相手も狙ってこなかった。
金的は卑怯っていう気持ち。
プラス例えば間違えてちょっと強めに金玉に手を置いただけで
ケツから腰に重苦しく一瞬で冷や汗をかくダメージがあるのを
知ってるだけに、そこにパンチやキックを入れるのは
痛みに対する同情があるんじゃないだろうか・・・?
あの痛みを知ってるからこそ攻撃できない・・・っていう気持ちから
攻撃できない・・気がする。
母ちゃん「女はね、その痛みを知らないから
ただの喧嘩でも金玉に全力で攻撃できるのよ。
だから女の方が男より強いのよ!わかった?」
俺はちょっと納得したのと同時に
ヤンキー女との喧嘩だけはやめておこうと心に決めた。
女は怖い・・・
母ちゃんと本田の母ちゃんの迫力。
それに子供に対する責任を見て
怖いし勝てねえやって思い知らされ
フライパンを眺めながら
「使う時がこなくてよかった」と安堵し
この騒動に終止符を打った。
~後日談~
あのあと、オヤジはなんと睾丸損傷で
内部出血を起こしていた。
30分経っても一向に動かないオヤジに
さすがに心配しタクシーに乗せて病院にいったら
出血していたことが発覚した。
病院の先生に「バイクで転んで
股間を打ったレベルの衝撃ですよ!!」と言われ
俺と本田は股間を思わずおさえ
嫌な汗を流した。
俺の母ちゃんは次の日にPTAと
児童相談所。そして学校にも乗り込んでいき
「きちんと子供の事ができねえならやめちまえ!
今後絶対坂倉君から目を離すんじゃねえ!」と
怒鳴りこみにいき
次に近所の小学生を子供に持つ母親の家を
尋ねまくり、児童相談所とは別に
一週間毎日2回。誰かが見回りに行くチームを編成した。
母ちゃん曰く「週に1回くらいしか行かない
児童相談所なんぞあてにならん!」と言っていた。
もちろん言うだけじゃなく母ちゃんは
その当番を週4日勤め、リーダーシップを発揮。
「そういうめんどくさいのは・・」と嫌がる母親には
「てめえんとこの子供だけ良けりゃいいなんて
思ってるのは認めねえ!」とかなんとか
文句を言いまくり、嫌々ながらも承知させてた。
15年前だからまだ周りは
専業主婦ばっかでよかったが
今はほとんどが共働きの時代だから無理だろうな~。
坂倉と坂倉母はすぐに仲直りとはいかなかったようだ。
やっぱり2年ほど壁が存在し続けたから
なかなかどう甘えていいのかわからず
また甘えさせ方もわからず難航したが
半年もしたらどこにでもいる普通の親子になっていた。
クソ暴力親父が金玉が回復したら帰ってきたが
毎日代わる代わる人がやってきて
子供のチェックをされて手は一切出せなくなり
母ちゃんが行くと露骨に嫌な顔をして引きこもってたらしい。
そんな毎日が続く中、母ちゃんに昼間引きずりまわされ続けた
坂倉母はだんだん普通の感覚を取り戻して行っていた。
自由にならず毎日いろんな人が白い目でオヤジを怪しみ
怒りがたまるもパチンコで目撃されれば近所の人に怒られ
ストレス発散の場もなくし
また坂倉母が正気に戻ってきてお金をくれなくなり
「仕事をしてください」と毎日迫り続け
しまいには事件から1年後どこかに蒸発していってしまった。
こいつだけは根っからのクソだったようだ・・・
そのころには先ほども書いたように
坂倉母もまともな感性に戻っており
何も悲しむこともなく受け止め
15年経過した今でも坂倉達はいい親子やってます。
俺の母ちゃんがすいぞう癌にかかり
死んでちょうど3か月。
49日も済んで全て落ちつき
母ちゃんの死を受け止められるようになったし
おまえらに俺の母ちゃんの自慢話を聞かせたくて
スレを立てました。
ちょびっと盛った所があるのも事実w
けど話の内容、流れ、出来事はネタじゃなくマジだ。
楽しんで読んでくれた奴も
つまんねえって言いながらも
なんだかんだで読んでくれた奴もありがとう。
みんなお疲れ様でした!