男「どうした」妹「そういう系統なら」
妹「テンプレ通りに攻略しようと思ってたんだけど」
男「そんな感じではないな」
妹「……兄上はより険しい道を歩まざるを得なくなったぞ」
男「(読んだんだな)」
妹「てか罰ゲームって気づいてたんなら、家帰ってきた時のあの演技は何だったのよ」
男「一応告白されたんだから喜んどこうと思って」
妹「(切ねぇ…)」
男「罰ゲームだろうがなんだろうが告白なんてこれからされるとは思わないし」
妹「ほえー。モテないのか」
男「暗いし冴えないし」
妹「生理的に無理でもある、と」
男「いやまさかそこまで……」
妹「…………」
男「ありえるな」妹「分かんないけどね」
男「妹の前だと普通の状態でいられるんだけど」
妹「(……着ぐるみ作戦が使えるな)」
妹「なるほど」
妹「たった二人の家族だもんねー」
男「そうだな」
妹「あ、そうだ。ひとつ約束してほしいことがあるんだよね」
男「?」
妹「お小遣いは月15000円のままだから」
男「当然だよな」
妹「もちろん」
妹「大切なバイト代は大切に使っていかないと」
男「ですよね」
ちょっと気になるスレ
男「でもこういうのって美容院行ってかっこよくなって」男「イメチェンしてかっこよくなって」
男「実は妹も俺にドキドキなんかしたりして」
妹「…………」
男「三角関係から生まれる泥沼の…」
妹「…………」
男「沈黙が怖いんですが」
妹「今月の15000円は脳みその治療費に消ゆ、と」
男「病院代もお小遣いからですか。ってか今のはジョークです」
妹「……ジョークも冴えない、と」
男「…………」
男「まぁたしかに、家計を圧迫しても得なんてないか」
妹「全部が無駄とは思わないんだけどね」
妹「上限は決めとかないとさ」
男「金銭感覚も俺よりよっぽどしっかりしてるな」妹「どもども」
男「いい奥さんになれるよ」
妹「…………」
男「?」
妹「(フィクションじゃないんだから、こんな言葉でリアル妹は堕とせないけど…)」
妹「(天然ジゴロの才があるのかも…?)」
妹「(でもわざわざ伝えても良い結果にはならないだろうし)」
妹「(でもでも女さんの前で披露してくれないと意味ないし…)」
妹「ってかどうでもいいけど死語だよね」
男「?」
妹「たぶん罰ゲームならデートとかも誘ってくると思うの」
妹「錯覚使って好感度上げてこ」
男「錯覚て」妹「なんでも使ってかなきゃ攻略できないの」
男「……」
妹「落ち込むな。私がいる」
男「頼もしい」
妹「チャレンジャー号に乗った気分でいてよ」
男「え、それ爆発したやつじゃ…」
妹「空中分解じゃなかったっけ?」
男「…………」
妹「はい、これ貸してあげる」スッ
男「万札?」
妹「何があるか分かんないからね。足りなくなるのは一番避けたいところ」
恋人料金な
男「ありがとう」妹「いやいや、こっちがありがとうだよ」
男「え?」
妹「30倍返しだから」
男「遠慮しておきます」スッ
妹「うそうそ。いつか返してくれりゃいいから」
男「……ありがとう」
男「好きになってもらえるように全力で努力する」
妹「まずは臆せず話せるようになるところからだけどね」
男「そうだな」
妹「ま、私に任せんしゃい」
良いね
妹がイケメンすぎる
妹「……モテる男には2種類いる」男「急にどしたの」
妹「ノってんだから遮らないでよ」プンスコ
男「すんません」
妹「……モテる男には2種類いる」
男「(そっからやるんだ)」
妹「何もしなくても天性だけでモテる奴と…」
妹「努力して努力して努力してモテる奴よ」
妹「後者になればいいの」
男「……なるほど」
妹「人は熱意で堕とせる」
男「そんな、カワイイはつくれるみたいな言い方…」
学校 放課後女「ねぇ…」
男「な、なに?」
女「明日デートしたいなー」
男「ひょえ!」
女「だめ?」
男「ふひひ…」
女「返事くらいしてほしいな」
男「あ、あの、はい」
男「おねがいします」
女「ん。ありがと」
女「どこ行きたい?」
男「え、映画とか…」
夕方 男宅妹「映画デートて、彼氏力はマイナスか?」
男「もしかしなくてもだめですか」
妹「喋らずして堕とすテクニックなんかもってないでしょ」
男「で、でも感想とか話し合ったり」
妹「罰ゲームのデートでそこまで付き合ってくれないよ。たぶんだけど」
男「たしかに」
妹「(手ぐらい握れば…いや危ういな…)」
妹「まぁ違う方向からでも攻められる」
妹「女さんって仲良い人とかグループとかいるよね?」
男「うん。いたと思う」
妹「ちょろい方から叩くしかない」
妹「でもそれは一回目のデートの後。まずは……」
………
妹「(こんなに早くデートに誘ってくるなんて…)」
妹「(読めなかった私のミスだ)」
妹「(もしかして)」
妹「(デートの回数も条件に入ってるんじゃ…)」
翌日 デート 1回目 (水)(7/1)
男「……」ドキドキ
女「なにそわそわしてるの?」
男「付き合うなんて初めてだからどうやってデートすればいいかわかんなくて…」
女「(ほんと面倒…)」
女「はぁ…」
男「(え、た、ため息…?)」
女「(あ、やばいやばい。ちゃんと演技しなきゃ…)」
女「(バレてないのかな?)」男「……」
女「映画行こうよ。満員なっちゃう」
男「そ、そうだな」
女「…………」
女「(でもあんまりベタベタしすぎると別れるタイミングが…)」
女「(そもそも、ベタベタなんかしたくもないけど)」
……
…
男「何観ようか」
女「んーと」
男「アクション、アニメ」
女「SF、コメディ」
男「色々やってるな」
女「(別になんでもいいや)」
鑑賞中男「(よし、学園ラブコメでオッケーもらった)」
女「(学園ラブコメね)」
女「(キライじゃないけどなぁ…)」
女「(あ、好きな俳優でてる!)」
女「(これに出てたんだぁ…ふふ)」
女「(かっこいいなー)」
女「(テスト前でチェック甘くなってたのかも)」ニコニコ
女「(まぁ大して勉強してないんだけど)」
男「(楽しそうにしてる。ほんとよかった)」
男「(罰ゲームのデートで喜ぶなんて情けないけど)」
男「(好きだから仕方ない)」
男「ふひひ」
女「(なんか笑ってるし……好きな女優でもいたのかな?)」
………
男「泣けたな」
女「そう?」
女「でもあの人出てたから満足」
男「好きな俳優とかいたの?」
女「うん。あの浮気されちゃった先生」
男「……………………」
女「?」
男「そうなんだ。一期前の連ドラも出てたよな」
女「へー、知ってるの?」
男「うん。ありゃ同性から見てもかっこいいよ」
女「わかってくれる人がいるとは…」
男「今の感じもいいけど昔のコメディっぽい雰囲気の方も好きでさー」
女「あ、私も好き!」
一時間後女「あ、そろそろ私帰らなきゃ」
男「わかった。家まで送らせてくれる?」
女「……ううん。いいよ。大丈夫だから」
男「そうか。じゃあ駅まで歩こうか」
女「あ、ちょっと待って。これ被んなきゃ」
男「そんなの持ってきてたんだ」
女「好きなの」
男「流行のキャップ女子ってやつか」
女「………………」
男「…どした?」
女「(……そんなミーハーじゃないのに)」
女「……」
男「(落ちつけ…どの言葉で地雷を踏んだかくらいわかるんだ…)」
男「つ、次のデートで帽子買うから機嫌直してよ」
夜 男宅男「ただいま」
妹「おかえり。ご飯できてるから」
男「さんきゅー」
……
…
妹「次の約束もできたんだ」
男「誘う時は緊張したけどな」
妹「作戦は成功した?」
男「成功した、と思いたい」
男「特に、女さんを女さんの着ぐるみを被った妹だと信じ込もう作戦はよかった」
妹「ふむ。じゃあ、行く予定の劇場で上映してる作品のキャストの情報丸暗記作戦は?」
男「労力の割にリターンが少ないように思った」
妹「きっとそんなことないよ」
妹「緊張せず、会話も途切れず、次のデートの予定も組めたなら上出来」
なるほどなるほど
男「地雷踏まなきゃなぁ…」妹「んー」
妹「本気で怒ってるわけじゃないと思うし」
妹「次のに繋げられたんなら良しとしよう」
男「そう言ってもらえると安心」
……
…
妹「(さて、今日聞いた情報から作戦構築してかなきゃ)」
妹「(……兄さんは勉強できるからそれも使いたいんだよね)」
妹「…………」
妹「(いや、兄さんも…だよね)」
妹「(私も勉強はトップだし)」
妹「(……っていうかトップじゃないと困るんだ)」
妹「…………」
妹「(姉上に心配かけさせるのもよくないし)」