153 :名も無き被検体774号+ :2012/07/25(水) 23:46:05.16 ID:5B7gcMQa0
「それで、あなたの名前は?」
「くもりぞらだ」と僕は言います
「まねしないでくださいってば」
「本当だよ。すばらしい偶然だな」
「ふうん。似合う名前で良かったですね」
青空は拗ねたような顔をして言います
「……それで、私はこれ、カーティシーを、
このまま持って帰るんですか?」
「そりゃあそうだ」
「恥ずかしいなあ」
「恥ずかしい思いは、これから沢山してもらう」
「今日のだけで死にそうなんですけどね」
「人はそう簡単には死なない」
「あなたが言うと説得力がありますね」
185 :名も無き被検体774号+ :2012/07/27(金) 00:07:31.37 ID:H0TWczxL0
「さて、そろそろ解散といくか」
青空の顔を見つめながら、僕は言います
「なんだかお前、いきいきしてきたからな」
青空は痛いところをつかれて
慌てて緩んでいた表情を引き締め
「別に、そんな」と言いながら顔を赤くします
”実は人と話すのが好き”などと思われるのは
青空のような者にとっては最も苦痛なことなのです
189 :名も無き被検体774号+ :2012/07/27(金) 00:29:14.69 ID:H0TWczxL0
「さようなら、くもりぞらさん」
青空は公園を出て行きました
逃げるように早足で出て行ったので
公園の前にいた人に気づきませんでした
青空のクラスメイトの男は
公園から出てきた青空を見たあと
その手に抱えられた植木鉢を見て
見てはいけないものを見たように目を逸らしました
すかさず僕は青空の体をのっとります
感じの良い笑顔で「こんばんは」と言います
相手の男は、とても困った顔をしましたが
「ちわっす」と頭を軽く下げました
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