あの時は中学生だったんだ。
なのに僕は先生に、あの不登校児と同じ顔をさせてしまった。
手を取るつもりで差し出した右手が、知らず知らずのうちに相手の頬を張っていたのだ。
学校に来ようが来なかろうが、そんなことは重要じゃないのだ。
学校でも先生に会いたいというのは、単なる僕のわがままだ。
僕のわがままで先生にあんな顔をさせてしまったのだ。
不用意なことは言うまい。
価値観を押し付けるようなことはすまい。
僕はもう、高校生なのだ。
8: 名も無き被検体774号+ 2014/03/12(水) 07:04:20.15 ID:zSMs1Lti0
「恋煩いか」
そんな風に声をかけられて、僕は飛び上がった。
「なんで?」
我ながら下手くそな返しだったと思う。
声をかけてきたのは親友だった。
「なんで? ってなんだよ。図星っぽい」
「そんなことはないよ。すぐそうやって、適当なことばっかり言う」
「適当言ってても、適度に当たることがあるからな」
スクールバッグを肩に揺らしながら、ユウキは顎をしゃくった。
「帰ろう。バスの時間ちょうどいいだろ」
頭の中には二つの選択肢があった。
一つ、そのままユウキとバスに乗る。
一つ、先生の家に向かう。
実質、一択のようなものだった。
「どっか寄りたいとことかあるの?」
「ペットショップ」
「好きだね」
ユウキのあとについて、僕は教室を出た。
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