友人は不登校児に繰り返し「どうして学校行かないの?」「大丈夫だよ」「なにかあるなら相談して」といった言葉をかけていた。
不登校児はただ黙って、ときたま頷いたり、笑っているのか眠っているのかよくわからないような息を吐いたりするだけだ。
不毛なやりとりを僕ら……というより友人は、30分ほど続けていた。
思えば、僕の態度はあまりにも薄情だったかもしれない。だけど、しょうがないとは思うのだ。
苗字の読みも曖昧だったくらいにその不登校児とは知らない仲だった僕を、ただ家が近いからという理由で同行者に選んだのだから。
今だからわかるが、彼は、友人は、きっと数で攻めたかったのだ。
無意識のうちかもしれないが、そうだったに違いないのだ。
つまり友人は、こう言いたかったのだ。こう見せたかったのだ。
「きみのことを心配しているのは、僕だけじゃないんだぞ」「不登校を是としないのは、僕だけの主観というわけじゃないんだぞ」ってね。
そういうことだったんだと思う。
不登校児はそれから一度も学校には現れず、僕と友人は卒業して、それぞれ別の高校に進学した。
7: 名も無き被検体774号+ 2014/03/12(水) 07:02:42.14 ID:zSMs1Lti0
あの時は中学生だったんだぞ。
6限目の授業が終わった教室内で、放課後の音がさざめく教室内で、僕は自分の席に座ったまま頭を抱える。
あの時は中学生だったんだ。アプローチが稚拙だったも、結果が伴わなかったのも、ある程度はしょうがない。
友人を冷笑したのは「僕ならもっとうまくやれる」という根拠のない優越感が、そこにあったからだ。
まったくもって、根拠のないことだった。
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