美しすぎる学校の先生が不登校になってしまったので家にお見舞いに行った結果・・・

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48: 名も無き被検体774号+ 2014/03/12(水) 08:30:30.39 ID:zSMs1Lti0
 さて、海という場所が僕たちの心を癒し、立ち直らせ、人生をよりよい方向へ導いてくれたのかというと、果たしてそうではなかった。
もちろん僕としては、そんなこと、微塵も期待していなかったのだけれど。「がっかりしないでね」そういう風に、先生は前置きをした。「彼氏がいたんだよ」

氷のようなコンクリートに並んで腰かけた僕たちは、手を重ね合わせたまま、沖に光る赤いライトを見ていた。

「その人のことをね、ずっと忘れようとしてたんだ」

「どうして」

「だからね、わたし、東京に出てきたんだよ」

先生は、僕の質問には答えなかった。

「そんなことはうまくいかなくって、いざ本当に忘れてしまいそうになると、その人の思い出の品とか引っ張り出しちゃって」

僕に話しているというよりは、独白のようだった。
語り掛けるような調子の部分だけ、言葉が浮いてしまっているのだ。

「変でしょう? 自分がなにをしたいのかも、よくわかんなくなっちゃって。そうこうしているうちに、もうどうにもならなくなっちゃって」

「なにが、言いたいんですか」

「なにも」

笑いをこらえるように、先生は言う。

「なにも言いたくない。言いたくないんだよ。冬の朝とか、布団から出たくないことってあるよね。あれの、ちょっと強いやつみたいなのに、わたしは負けたの」

「なにも言いたくないなら、言わなければいいじゃないですか」

「ふざけてるんじゃないんだよ。本当のことなの。そんなしょうもないちょっとの障害物がね、わたしをだめにしたの。日に日にそれは大きくなって、日に日になにもしたくなくなって、ああ、もう、どうしてかな。彼は、どうしてそういうことをするかなあ」

「先生?」

「ごめん、ごめんね。ごめんなさい。わかんないよね。なにも、わかんないよね。でもね、お願いだから、そのままでいて。なにもわかんないままで、きみには、そのままでいて欲しいんだ」

その懇願には、どうにも、応えられそうになかった。
というのも僕は、部分的に、本当に部分的にだが、先生の身に起こったことについて、感づき始めていたからだ。
ただその推測、憶測を披露する相手としては、先生の心は弱り過ぎていた。
それに、この考えを示すべき相手は、他にいるような気がしていたのだ。

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