38: 名も無き被検体774号+ 2014/03/12(水) 08:10:23.90 ID:zSMs1Lti0
インターホンを鳴らしても、先生は出てこなかった。
躊躇したのは一瞬だった。ドアノブに手をかける。カギはかかっていなかった。相も変わらず生活感のないダイニングに、先生の姿はない。
しかし、空気は語る。今ここに、この場所に、人間が息づいていることを。彼女がいるとしたら、それは当然、開かずのドアのその奥だ。
自分の耳にしか届かないような声で「お邪魔します」を言った。
こんな事態なのに、こんな状況なのに、律儀にそんな言葉が出てくるあたり、やはり冷静ではなかったということだろう。ハの字に靴を脱ぎ捨てて、ゆっくりとダイニングを横切る。
ドアの前に立ち、棒状のノブを握るところまでいけば、もう大した決心はいらなかった。
躊躇したのは一瞬だった。ドアノブに手をかける。カギはかかっていなかった。相も変わらず生活感のないダイニングに、先生の姿はない。
しかし、空気は語る。今ここに、この場所に、人間が息づいていることを。彼女がいるとしたら、それは当然、開かずのドアのその奥だ。
自分の耳にしか届かないような声で「お邪魔します」を言った。
こんな事態なのに、こんな状況なのに、律儀にそんな言葉が出てくるあたり、やはり冷静ではなかったということだろう。ハの字に靴を脱ぎ捨てて、ゆっくりとダイニングを横切る。
ドアの前に立ち、棒状のノブを握るところまでいけば、もう大した決心はいらなかった。
音も立てず、ドアが開く。
きっとその瞬間、時間は止まっていたに違いない。本当に何の音も、聞こえなかったのだから。
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