28: 名も無き被検体774号+ 2014/03/12(水) 07:40:44.75 ID:zSMs1Lti0
「最近どうだ」
そんな決まりきった言葉を、挨拶のように投げられる。
僕がどうしてるかなんて、彼はちっとも知りたくないだろうに。
「相変わらずだよ。そっちはどう?」
彼は苦笑い気味に手を振って応える。
「最近彼女と別れてさ。最悪だよ、最悪」
番号札をもてあそんでいた手がふと止まってしまうくらいには、興味深い一言だった。
「え、彼女いたの?」
高校二年生ともなれば彼女くらいいても不自然ではない。が、中学時代にはとんとそういう話を聞かなかった彼なので、少し意外だった。
「人並みに恋愛はしてるよ、そりゃあ。別に初めての彼女だってわけでもねえし」
ますます衝撃だった。
しばらく見ない間に、男として大きく水をあけられたような気さえした。
「そういう事情もあってか、家に一人でいるとおかしくなりそうで。寂しく飯食ってたんだよ」
茶化して笑う余裕のある彼が、急に、得体のしれない生き物のように思えてきた。
人並みに恋愛する、とはどういうことなのだろう。
僕が先生に抱いているこの感情は果たして『人並みの恋愛』の範疇なのだろうか。
「どうして別れたの?」
「なんか、他に好きな人ができたんだってさ。まあ、正直に話してくれる分だけまだいいよな」
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