オラは急いで会社を飛び出した。
今のところは誘拐ではない。……だが、超大企業のご令嬢がうろつき回っていては、そういう“目”に変わる可能性だって十分考えられる。
(あいちゃん……どこ行ったんだよ……!)
不安な気持ちを抱えたまま、オラは高層ビルが立ち並ぶ街を走り回った。
「はあ……はあ……」
しばらく走り回ったオラの息は、すっかり上がってしまっていた。
行きそうなところを手当たり次第走りまわったが、結局あいちゃんの行方は掴めないままだった。
(もう少し、探す範囲を広げてみるか……)
オラは汗だくのスーツを着替えるべく、いったん家に向かった。
あいちゃんは、いったいどこに行ってしまったのか。そして、どうしていなくなってしまったのだろうか。
最近のあいちゃんの様子は、明らかにおかしかった。
オラに、もっと何か出来ることがあったのではないだろうか……
そんなことを考えながら自宅に戻ったオラは、ネクタイを緩めながら玄関を開ける。
今日は、ひまわりは風間くんと遊びに行っていて、誰もいなかった。
誰もいない家に、オラは一人帰りを伝える。
「……ただいま」
「おかえりなさい。しんのすけさん」
「ああ、ただいま、あいちゃん……」
オラは笑顔を見せる彼女に同じく笑顔を返して、家の奥に向かい…………
………………って
「えええええええええええええ!!??あいちゃん!!??」
誰もいないはずのオラの家には、いるはずのない、あいちゃんの姿があった。
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