「……もしかして……あい、ちゃん?」
すると彼女は、それまでの凛々しい態度を一変させ、その場で飛び跳ねてはしゃぎ始めた。
「やっぱりそうだ!――そうです!あいです!酢乙女あいです!お久しぶりです!しん様!」
……工場内には、どよめきが走った。
「――はい、あいちゃん」
休憩所の中で、オラはあいちゃんにコーヒーを手渡す。
「ありがとう、しん様」
「このコーヒー、スーパーの特売品だから、あいちゃんの口に合うか分かんないけど……こんなものでゴメンね」
するとあいちゃんは、首を振って笑顔を向けて来た。
「そんなことないです。しん様が入れてくれたものですもの。それだけで心が満たされます」
そしてあいちゃんは、コーヒーをすする。
「……うん。悪くありません」
「ありがとう、あいちゃん。……ところで、そのしん様って呼び方、どうにかならないかな……」
「……嫌、ですか?」
「嫌というか……なんか、恥ずかしいし……」
「………」
しばらく考え込んだあいちゃんは、口を開いた。
「……分かりました。今日からは、しんのすけさんとお呼びいたします」
「助かるよ……」
彼女は、微笑んでいた。そんな彼女に、オラも微笑みを返した。
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