「確かにお嬢様は、幼少時からしんのすけくんお慕いしておられました。
……ですが、やはり幼児期と今では、想いの位置が違うものです」
「想いの、位置……」
「はい。幼児期には、憧れが大きなシェアを占めるものです。しかし今は、それとは別の何かに惹かれています。
小さな頃から変わらない想い……しかし、実際の心境は、あの頃とどこか違うと違和感を覚えているはずです。
――故に、お嬢様自身、戸惑っているところもあるのです」
「……」
「ですから、今は暖かく見守ってあげてください。
これはボディーガードとしてではなく、私自身からの願いですよ」
「……黒磯さんは、大人ですね。凄くダンディーだと思います」
「ハハハ……私は、ダンディーなどではありませんよ。
――私はただの、黒磯です」
(……ダ、ダンディーぃ……)
黒磯さんからそうは言われても、やはりあいちゃんからの圧は相当なものだった。
ようやく仕事が終わり、ヘロヘロになって帰宅する。
しかしまあ幾分か慣れたところはあった。
それが救いかもしれない。
「お兄ちゃんさ、なんではあいちゃんと結婚しないの?」
ひまわりは、実に不思議そうに聞いてくる。
「あいちゃん、綺麗だし、優しいし、仕事もバリバリだし、尽くしてるし……お兄ちゃんにはもったいないくらいなんだけどなぁ……」
妹よ。何気に失礼だぞ。
続きは次のページからご覧ください!!


