少しだけ背中を丸めたオラは、足早にあいちゃんの事務室に向かった。
途中通る廊下の掲示板には、至る所で人だかりが出来ていた。何があったのかは気になったが、とにかく人が来ないあの部屋を目指した。
「――おはよう、あいちゃん」
入り口を開けて、あいちゃんに挨拶をする。
オラに気付いたあいちゃんは、座っていた席から立ち上がり、オラの元へ駆け寄って来た。
「――おはようございます、“あなた”」
「うん、おはよう……って、あなた?」
「はい。あなた、です」
ニッコリと微笑みを向けるあいちゃん。しかして、なぜ急にあなたと……
「はい。……これです」
「これ?」
あいちゃんは、一枚の紙を手渡してきた。
「……………あいちゃん、これって……」
そこに書いてある文字を、オラは4度見ほどしてみた。しかし、何度見ても同じことが書いてあった。
『祝!酢乙女あい、婚約!』
「……あいちゃん、結婚するんだ……」
「はい」
「へえ~。……誰と?」
「それはもちろん、しんのすけさんとです」
「……ああ、なるほど。やっぱりそうか……」
それは予想していた通りの返答であった。何しろ、しっかりと書いてある。
――『お相手は、酢乙女グループ特別顧問、野原しんのすけ』と……
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