449:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 10:31:54.93ID:Fw1qsTn6.net
痛いカップルやなw
まあ高校生のカップルって感じで可愛いな
全部読んだけど地元近いか同じな気がするわ
452:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 11:12:38.24ID:eoLNODCJ.net
>>449
痛いよねwww
もういい年になったからほんとに恥ずかしい話ばっかりだった思うよwww
地元近いかな?
愛知県まで鈍行で行けなくはない距離で海と工業地帯と山があった。
僕んちが山側で中腹に高校、海側にウィノナ宅があったよ
何をするにしても自転車が多かったし行きは良くても帰りはしんどいみたいな
中途半端な街だけど僕は地元が大好きだよ
465:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 18:55:38.86ID:jPoaAPSe.net
楽しく読ませてもらったよ
後日談の後日談も楽しみに待ってます
468:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 19:46:50.43ID:TVOe5FFp.net
>>465
ありがとう!!
いま会社から帰りながらつらつら書いてます!!
またお時間があれば是非とも!!
470:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 19:51:18.81ID:vqN9r5a9.net
リクエストを貰ってあまりにも嬉しかったので駄文ではありますが後後日談を少しだけ語らせてください。
嘘つきました。
少しではありません。
ちょっと書き始めたら止まらなくなりました。
また冗長な駄文になってしまうかもです。
それでもお付き合い頂けましたら、私めは大変嬉しゅうございます。
先に断っておきたいこととしては
本文を楽しんで読んでもらった方がもしいらっしゃれば、これは蛇足になる可能性もあるってこと
あと昨日までに書いた文章と多少時系列が重なる部分があって分かりにくい部分があるかもしれないこと
もし良ければ読んでみて下さい。
471:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 19:53:08.00ID:vqN9r5a9.net
まず本文中でも登場した僕の両親をもう少しだけ紹介したい
以下はスペック
母親
身長172CM
人としても物理的にもデカい人物で僕の自慢の母親なんだ。
顔は布袋寅泰に似ている。
文中でいちいち僕の母親なんて書くと長ったらしいのでホテイトモヤスと母親をひっつけて母ヤスとでも呼称しよう。
父親
身長158CM
本人曰くは猫背なだけで背筋を伸ばすと170CMは越えるらしい。
寡黙だけどたまにそんな冗談を言う気のいい親父だ。
結構厳格なところがあって、ウィノナの一件では僕の頬をガッツリ振りかぶってグーパンチで撃ち抜いた人物だ。
良くも悪くも古風な人間で母ヤスが亭主関白なので、体は小さいけど家では一番偉かった。
ちなみに兄弟も居るが特にお話に絡まない人物だ。
473:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 19:56:17.32ID:vqN9r5a9.net
物語は僕の失恋から始めよう。
本文中でもお話したとおり僕は3年間、身を焦がすような恋をして婚約までしたウィノナと別れることになってしまった。まぁ婚約なんてもんはなんだ、おままごとに毛が生えたみたいなもんだな。
ただそれでも大学1年生。
地元よりもずっと都会の街に出てきた僕にとっては本当に辛い出来事だった。
474:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 19:57:53.49ID:vqN9r5a9.net
毎日のように嘔吐を繰り返し体重はみるみる減っていった。
実際自業自得ではあるんだが、この時期はかなり一番辛かった。
必修単位の授業を一発目からおサボりするレベルだった。
ここからはよくある話なんだ。
蒟蒻ゼリーくらいは摂取できるようになった僕は、それからと言うもの酒、タバコ、更に良くない何か、そんな摂取しなくても良い物をどんどん摂取するようになった。
授業のスタートも出遅れた僕にとって救いは音楽だけだった。
475:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 19:59:03.86ID:vqN9r5a9.net
軽音サークルには顔を出したり、ライブハウスで知り合った人間とバンドを組んでライブに出たり、とまぁありきたりな話だよね。
音楽をするにはお金と時間がかかる。学費や生活費も必要だった。
効率よく稼ぐためにギャンブルも覚えた。
主にはパチ、スロ、麻雀だった。実際、普通にバイトするよりは多少なりとも稼げたんだよ。まぁ麻雀自体は勝つためにイカサマも覚えたりした。麻雀は今でも大好きだ。
476:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 19:59:58.91ID:vqN9r5a9.net
僕から拒絶しておいてめちゃくちゃ勝手な話なんだけど、ウィノナが恋しくて仕方なかった。今のウィノナじゃなくて、高校の頃のウィノナが恋しかった。毎日のように彼女の夢を見た。
そんな淋しさを埋める為に音楽とギャンブルに明け暮れた。
僕がいなきゃ生きていけない、そんな風に言ってもらわないと愛してもらっていると実感できなくなったいたんだ。
すっかり対メンヘラ人型兵器の出来上がりだ。
もちろん1年目の取得単位は1桁だった。
477:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 20:01:52.28ID:vqN9r5a9.net
当然のことながら女にも溺れた。
最初は学費に回すぞと貯めていたギャンブルの勝ち分(その発想の時点で誇れたものではないけど)は女遊びのために消えていった。
僕はイケメンでは無いけど、ちょっとやさぐれた雰囲気と多少のお金があれば高望みしなければ割りと女の子には不自由しなかった。
風俗にも足繁く通った。
何度も言うようだけどホントによくある話だよね。
478:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 20:02:49.97ID:vqN9r5a9.net
少し別の話をするね。
僕の家は地元の小さな店舗で居酒屋をやっていたんだ。10人も並んだらもう満員みたいな隠れ家的居酒屋だ。
僕は店をやったことがないから分からないけど地方の小さなこの店舗だけで家族全員を養っていた父ヤスは今思えば途轍もない人物のような気がする。体は小さいけどね。
僕はウィノナと同じ大学に行くというただそれだけのめちゃくちゃ不純な動機で大学を選んだ。
母ヤスなんかはそんなこと百も千も承知だったろうに何も言わなかった。
父ヤスもお前が選んだ道なら文句はない。出せるだけの金は出してやるから俺たち夫婦が見られなかった世界を見てこいと背中を押してくれた。
本当にいい両親だ。今思い出しても涙が出るほどだ。
479:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 20:23:52.01ID:vqN9r5a9.net
無利息の奨学金と自分でこれだけは稼げると提示した金額を足して
大学でかかる学費、生活費を足した金額から差し引いたら、結構な金額が残った。
親父は利息のある奨学金を使うくらいなら俺が出してやるからと申し出てくれたんだ。
きっと将来稼いで返そうって高校生だった僕は誓った。
480:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 20:24:21.38ID:vqN9r5a9.net
が、上記の通りの自堕落っぷりだ。
その上、両親には大学生活はうまく行ってるなんて嘘で塗り固めた報告まで差し上げていた。最低の人間にまで落ちぶれた。
当時の自分が今の目の前に至ら殴るくらいじゃ済まさないね。
ただ、本当にウィノナが恋しくて仕方なかったんだ。
481:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 20:35:36.72ID:WIJGDTvx.net
1年はあっという間に過ぎ去り実家の方にも残念ながら大学から取得単位が明記された成績表が送られてしまった。もちろんなんとか阻止しようとはしたんだけどね。
僕はそんな放蕩っぷりだったから1年間実家には帰らなかったんだけど、遂に父ヤスから怒りの電話があって招集されてしまった。店に来いとだけ言われたんだ。
母ヤスもお客さんも居ない父ヤスの店で1年ぶりに僕は父親と対峙した。
482:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 20:36:32.08ID:WIJGDTvx.net
幼い頃から慣れ親しんだ店だ。暖簾をくぐるたびにそこにはいつもの景色があった。
地震が来たらきっと真っ先に潰れてしまうようなボロボロの店舗のはずなのに父ヤスの絶え間ない努力で保たれた清潔感と優しいおでんの匂い。
招集に応えて舞い戻ったバカ息子はこの日も暖簾をくぐると能天気に同じ感覚になっていた。
所謂ノスタルジー。
を感じたのも束の間、目の前には父ヤスの拳があった。
人生二度目の鉄拳制裁だ。
僕は鼻血をぶちまけた。
483:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 20:39:51.98ID:WIJGDTvx.net
父ヤスは多くを語らなかった。何をしていたんだなんて余計な詮索は全く持ってしなかった。
僕を殴りつけたあとはいつものように店の調理場に佇むばかりだ。
僕は鼻血を拭ったが拭っただけで新たな鼻血が出るばかり。何も言葉は出てこなかった。
僕いつもは地元の人々で賑わう座席に腰掛けて項垂れるばかりだ。
いつも父ヤスがお客さんとそうしているようにカウンター越しの対峙だった。
484:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 20:40:49.17ID:WIJGDTvx.net
カウンターの木目をなぞりながら
「親父、ごめん」
とだけ告げた矢先だった。
目の前にはキンキンに冷えたビールとおでんが差し出された。
厳格な父親でかつ酒の怖さも知っている父ヤスは絶対に目の前で酒を飲むことを許さなかったはずだ。
僕はまだ未成年だ。
「1年ばかし早いが、まぁ飲めよ。母ヤスには内緒やぞ」
父ヤスは無表情にそう言った。
485:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 20:41:31.47ID:WIJGDTvx.net
こんな状況だ。
言えるはずがない。
父ヤスが汗と涙を流して稼いだ金で買ってもらった時間をすべて女とギャンブルとロックに使い果たしました。
そんなこと言えるはずがない。
たった一年前、これは自分の責任だと高らかに宣言した目標金額の達成率は0%です。
そんなこと言えるはずがない。
486:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 20:42:13.46ID:WIJGDTvx.net
僕はこの時、大学を辞める覚悟をした。
ただ一言、親父…と呟いただけなのにそれを制した親父はこんなことを言った。
「全部わかっとる。皆まで言うな。はよに飲めや。」
背伸びをして無茶をして飲む酒では感じたことのない死ぬほどうまいビールがそこにはあった。
「俺は大学なんていったことないから知らん。ただ一回言うたことや。男やったら卒業せえよ。」
やめるなんてまだ一言も言っていないのにな。
487:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 20:43:10.54ID:WIJGDTvx.net
父ヤス「金のことはええ。気にすんな。」
なんでわかったんだろう。
だいぶ後になって母ヤスから聞いたことだがこの時僕の実家はかなり無理をしていたらしい。
兄弟もいたしね。
その後は静かに夜がふけていった。
もう一杯だけだぞなんて言いながらビール樽が空なろうかと言うほど酒を注いでくれた。
まるで両親が僕に注いでくれた無限の愛情のようにね。
490:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 20:59:12.22ID:WIJGDTvx.net
ベロベロに酔っ払って、父ヤスの激しい嘔吐音に始まった人生最大の二日酔いの朝、僕は更生を決意した。
ぼくの人生の転機はいつも春だった。
そんな風に思い返した。
まずはウィノナを取り戻す。
あれだけ可愛らしかったんだ。彼氏の一人や二人居るだろうが、構いやしない。
だが人生はドラマのようにうまくは行かない。
彼女はどこぞの国に長期留学に飛び出した後だった。彼女の学校には2年生の1年間、単位の交換留学ってのが有るらしいと知ったのはその後だった。
正直やっぱ外人には勝てないって思ってしまう。
自分よりもおチ●チンが二倍くらいデカい人に抱かれてるかもしれないって思うとそれだけで怖気づいた。
ドラマだったら僕も留学するんだろうけど、もう最初の1年間を棒に振ってあとには引けなくなっていたんだ。
ホント格好悪いよね。
491:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 21:00:50.09ID:WIJGDTvx.net
この帰省でかつてのバンドメンバーや軽音楽部の面々とも再会したんだ。
それぞれの進学先でうまくやったりやらなかったり。
相変わらず飯田とマンドリルのいちゃこきぶりには閉口したけどね。
良くもそんなにも長く一人の霊長類を愛せるものだ。
492:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 21:15:52.75ID:WIJGDTvx.net
2年生
ドラマならここで生まれ変わる所だが、割りとうまく行かなかった。
無茶な酒やタバコetcは鉄拳制裁でやめられるものだ。
だが女性関係はそうも行かなかった。
しこたまルーズに結びつけた人間関係は早々断ち切れるものじゃあなかった。
別れるなら死ぬなんて言われて高校生の頃の情景がフラッシュバックすることもあった。
バンド遠征から久々に帰宅すると鍵をかけたはずの家が何故か空いていて、住所も教えていないはずの女性がそこにいた事もあった。
いつぞやに撮ったプリクラがわざわざ木工用ボンドで玄関のドアに貼り付けられていたこともあった。
来るもの拒まずどころが進んであさり尽くしたメンヘラの方々の復讐は結構大変なものだったんだ。
恐らく、高校時代にウィノナが受けた攻撃と同じくらいの攻撃力はあったと思う。
それも各人に。
ただこの件に関しては僕に責任があるという点で全く別物ではあった。
493:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 21:16:33.21ID:WIJGDTvx.net
残念ながら、どのメンヘラの方もその魅力はウィノナの足元にも及ばなかった。少なくとも僕にとってはね。
その後卒業までの時間ほぼ全てをそんな関係の精算、取りこぼした単位の回収、そしてその抑圧から解放されるためのバンド活動に費やした。
496:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 22:05:15.28ID:WIJGDTvx.net
父ヤス、母ヤスは単位さえ取れていれば卒業さえできるのならと口出ししなかった。
当の僕といえばそんな時間の使い方をしていたものだからすっかり就職活動はおざなりになっていた。
ちなみに父ヤスは僕にも兄弟にも店を継がせる気はないようだった。
この時の僕は知らなかったけど、仕事が原因で母ヤスに苦労をかけることが多かったから継がせたくなかっただとか、そんな風に父ヤスは母ヤスに語ったことがあったらしい。
497:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 22:06:19.39ID:WIJGDTvx.net
就職氷河期でもあり、まともに学校に通っていた人間ですら仕事が決まらないと嘆いていた。
3年以上本気でやっていたつもりだったバンド活動も芽の一つも出やしなかった。
まぁ途中で抜けて別のバンドやったりとかインディーズレーベルに搾取されたりとかそんなありきたりなドラマがそこにはあった。
まぁ所詮親に言われてるから大学の単位が大事だとか言う奴は根本的にはロックじゃないんだろう。僕には向いていなかった。
音楽業界は極端な世渡り上手とほんの一握りの常識の範疇外の天才と音楽以外のすべてを投げ出してそれに賭けて勝った人間しか食っては行けないんだと実感させられた。
そんなこんなで卒業までもう半年を切ってしまった。
499:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 22:11:00.17ID:WIJGDTvx.net
僕の就職は絶望的だと思えた。その日も二次募集に落ちた連絡が入り落ち込んで飛び込んだとあるバーで知らない男性と古いロックの話で意気投合した。
見た目はフランクザッパにちょっと似ている。ザッパさんと呼ぼう。
お前就職困ってんのか?
お前の為に面接を開くから受けに来いよ。
社長に会わせてやる。
そんな感じであれよあれよと面接の日取りが決まった。
まぁこの辺もよくある話かもしれないね。
当時の追い詰められた僕にとっては神か何かに魅入られたんじゃないかって疑うほどのありがたい話だった。
501:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 22:21:06.30ID:WIJGDTvx.net
支店も何もない小さな会社
社員は30人に満たない。
約束の時間に面接に行くとバーで知り合ったザッパさんと小さめのジャバザハットって感じの社長が待っていた。
普通はオフィスでやるよね。
二人が設けた面接会場はボロボロの喫茶店だった。
僕は大事な話はだいたいこんなボロボロの喫茶店だったなだなんて思い返した。
502:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 22:22:53.96ID:WIJGDTvx.net
注文したコーヒーが届く前にまず訊かれたのは出身大学。
このおじさんそう言えばロックの話をするばかりでそんなことも聞いてなかったなぁと思った。
僕は自分の大学名を告げると、目がほとんど黒目みたいな顔をした社長は目をキラキラ輝かせた。
どうやら同じ大学の出身らしい。
それでその社長は
「君!!校歌を歌ってくれないか??」
そんなこと言った。
僕は大学の校歌など、もののワンフレーズも歌えやしない。
沈黙の中、二人のおじさんは期待している目つきでこちら見ていた。
仮にも歌えたとしてだ。
他の客もいる喫茶店のど真ん中で歌えだなんてそれだけで酷じゃないか。
何、目輝かせてんだって正直悪態をつきたい気持ちは山々だったが僕には他の就職先なんてもう見つかりっこないってのは分かっていたんだ。
503:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 22:24:23.89ID:WIJGDTvx.net
僕はもう自暴自棄になって
「メロディも歌詞のワンフレーズも知りません。申し訳ないです!!」
机に頭を擦り付けて謝った。
社長の落胆或いは憤慨のリアクションを予想したが、存外穏やかな表情をしていた。
社長
「ふむ。なら大学で、引いてはその人生で君は何を得てきたのか話して御覧なさい。1時間あげよう。但し面白くなかったらその時点で終了にします。」
そりゃあもう僕は死にもの狂いだったよ。
面白くというフレーズが異常なまでのプレッシャーを放っていた。
僕は
「僕は人生で2回、それはそれは優しい父親に頬をぶたれました」
そんな切りだしで始めたことだけは記憶に残っている。
インパクトが必要だと思ったんだ。
あとはまるでこうしてここに書き殴った内容をつらつらと話をした。
もちろんウィノナの話も出てくる。というかほぼそれが全てだった。
社長も昔はスケベものだったらしく、ウィノナをはじめとした女性関係の話のときの方が楽しそうにしていた。
緊張して気が付いていなかったが、腕時計を見ると1時間は軽く超えていた。僕はそれって合格なんじゃないかな・・・と思いつつずっと話つづけたんだ。
504:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 22:33:12.41ID:WIJGDTvx.net
話がやっと父ヤスに殴られたあの日まで戻ってきたころ、それまで腕組みをしながら聞いていた社長がアイスコーヒーに手を伸ばして切り出したんだ。
社長
「条件付き採用!!」
もし条件が無給とかだったら手放しでは喜べないはずだ。
ましてや業務内容もザッパさんからちらっと聞いている程度で殆ど知らない。
でも僕は焦りと喜びのあまり「ありがとうございます!!頑張ります!!」なんて叫んでいた。
さっきまでかしこまっていた社長は急にべらんめぇ口調みたいなしゃべり方に変貌した。猫をかぶっていたようである。
505:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 22:34:17.44ID:WIJGDTvx.net
実際ザッパさんから説明される雇用条件は並以下だった。
それでもこの申し出は僕にはカンダタにとっての蜘蛛の糸みたいなものだった。
この日は一度家に帰ったがもう心は決まっていた。
面接があまりにも急で履歴書の用意も間に合わなかった僕は、履歴書をへたくそな字で書き纏め、まず自宅にあった10冊の本の感想文をA4用紙にびっしりと書き殴り、面接でもらった入社に際しての必要書面を全て署名して翌日、会社に持参した。
社長曰くは、「おめぇ字、きったねぇな」だけだった。
あとあと聞くにはやはり一社会人として面接ではちゃんと大人な対応をしなければと猫をかぶっていたらしい。あ、こいつうちに来るなーちょろいなーと思ったから猫をかぶるのをやめたそうだ。
校歌については社長も歌えないらしい。
僕が歌えないと告白した時は内心やっぱりぃ~~~?なんて思っていたらしい。
506:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 22:34:49.31ID:WIJGDTvx.net
僕はただなんとなく自分が必要とされているって気がして嬉しかったんだ。
ウィノナの一件からずっとそんな感覚が染み付いているんだろう。
結局100冊の読書感想文と共に僕は入社することになった。
社長は本当に熱心にいい年こいた人間の読書感想文を読んでくれた。
営業の9割はアウトプットだ!!短く分かりやすく!!だとか
お前の文章は冗長だ!!
よく説教されたものだ。
ただ説教をしながらも社長は何か楽しそうだったっけな。
僕もそうして自分の書いた文章に反応をもらえることが嬉しかった。
そう。だから今こうしてここに書き殴ってしまうんだ。
兎に角、僕はまた人に人生を救われたんだ。
507:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 22:36:22.59ID:WIJGDTvx.net
会社の話は特に楽しくはないから割愛をする。
普通の商品を普通に営業する会社だ。
ドラマだったらここで社長やザッパさんがすげぇ有能だったりするんだろうが、彼らはどちらかと言えば無能だ。僕が言うのも何なんだけどね。
社員全員がそんな感じで、のらりくらり、多くを望まずやっている会社なんだ。
ただ社長と同様にみんないい人柄なんだ。
給料は全然上がらないけど、僕を救ってくれた恩はまだまだ返せていないと思うから、もっとこの会社で頑張らなきゃねって思うんだよね。
508:後後日マン@\(^o^)/: 2017/07/03(月) 22:37:35.33ID:WIJGDTvx.net
ちなみに入社後の僕は社長とザッパさんと会社の経理のベテラン社員と麻雀仲間だったんだ。
社長は最近の若いやつは麻雀もできねぇって怒っていたし、多分麻雀が出来るだけで僕のことを気に入ってくれていた。もちろん、彼らと卓を囲むときは僕はイカサマをしていた。給料安いから仕方ないね。
話がそれちゃったね。
先日、このジャバザ社長が亡くなったからついつい書いてしまった。
“社長見てますか?僕の文章はまだまだ冗長ですよ。”
なんて言ってこのスレを見せたい。てんめぇこの野郎なんて言って怒るだろう。
ちなみにザッパさんが社長業務を引き継いだ。