社会に出てからできた親友みたいな女との出来事を語る

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80:1:2011/10/29(土) 15:31:27.74 ID:/3WU+Vx4O
昼の仕事を始めてから、自由な時間が無くなっていった。
遊びに行く事はもちろん、朝早く起きる為にマキコさん達と飲みに行く事も格段に減った。
唯一の自由な時間は雑貨屋が終わって居酒屋が始まる間の30分くらい
夜は疲れきって食事すら取らずに寝てた。
地元の友達は皆まだ学生だったので、休みを合わせて久々に再会したらしいが、それも断った。
皆が久々の再会を果たしている頃、私は雑貨屋の店長に怒られていた。
落ち込んで帰ってる時にみんなの楽しそうな写メが届いていたから。

浮かない気持ちのまま、居酒屋に出勤すると
マキコさんが話掛けてきた
「ねえねえ!1!この間のあれさ~」

マキコさんは楽しそうに話してくるが、私は言ってる内容が分からず、
「??」としていると、横に居た翔が

「あ!マキコさん1はこの間居なかったから分からないですよ、仕事で来れなかったから」

と言って、マキコさんは「あ~そうだったか」と言いながら翔と話し始めた。

別に誰も悪くない、何か問題があるわけではない
マキコさんや翔、地元の友達との仲が悪くなったわけではない。
みんな私が忙しい事を理解してくれている、応援してくれている
けど私はこの土地に来て、初めて孤独という物を感じ、現状に物凄く寂しくなった。

81:1:2011/10/29(土) 15:57:39.63 ID:/3WU+Vx4O
ズタボロになりながらも何とか迎えた師走。
休めない事は分かっているでも、年明けて少しは休みが貰えるという事は
聞いていたので私はそれを糧にして頑張っていた。

その日雑貨屋に居たら、店長が話し掛けてきた
この頃は好かれてはいなかったが少し話すくらいにはなっていた

店長「1さん、クリスマスとか何かするの?」

1「いやクリスマスは別に」
店長「あそう、良かったクリスマスは当日はもちろん前後三日は休みあげられないから」

だったら聞くなよ、とカチンとしながらも、そうですか、と言いながら私は作業を続けた。

すると、店長は更に話し始める

店長「まークリスマス過ぎても、年末と正月、うーん最低四日までは毎日出てもらうからね。
一番忙しいから」

私は固まった。私の地元は新幹線1時間も掛からない所だから、
正月の間いつでもいいから一日だけでも帰ろうと。
近いうちに地元の友達と会える最後のチャンスだったから。
しかし居酒屋の休みは三日まで、四日まで休みが取れないなら私は帰る事が出来ない。
十日以上過ぎたら居酒屋と雑貨屋合わせた休みが取れるかもしれないが、
その頃には友達はもう地元から帰ってしまっている

今考えたら、働いてる人には普通の事だが
まだ高校出たばっかの甘ちゃんだった私にはショックがデカかった
追い打ちを掛けるように流れてくるBGMはユーミン
「もう二度と~会えなく~ても友達と呼ばせて~♪」

私の孤独は限界に達した

1「~~~~(大号泣)」

店長「!!?(かなりギョっとしてたww)」

断っておいたら、私は滅多に滅多に泣かない。
卒業式で泣かないなんて冷たい人ね、と言われたくらいだ。
自分でもわけが分からなくなったし、店長の前で号泣するなんて
恥ずかしくて死にそうだったが、どうしても涙が止まらなかった。

店長「……おれのせい?」

1「じがい、ば、ず(違います)」

もう恥ずかしくて恥ずかしくて心臓発作になりそうだった
困り果てた店長も黙る。
BGMだけ店内に響く。

ユーミン「か~な~しくて~か~な~しくて~♪」

店長がCDを変えた、次は小沢健二だった
いつも鬼のような店長が初めて私に気をつかってくれた事がかなりおかしくて、
私は泣きやんだ。

そして色々とヤケになった笑

82:1:2011/10/29(土) 16:11:05.47 ID:/3WU+Vx4O
働きまくっていたせいで、金だけはちょっと貯まっていた。
どうせ私にクリスマスはない、正月もない、友達もいないなら
これだけは得る権利がある
と、家の近所の輸入雑貨店に行った。
ずっと前から気になっていた

「一番デカイの下さい」

明らかに大家族用の、私の身長を遥か越えるカナダ製のクリスマスツリー
一人暮らしでパーティーの予定もないのに私は自分の為だけにツリーを購入したw
自分で稼いだ金で、自分の為だけのツリーを買う
もうそれでいいと思ったww

時刻は夜の10時くらい
息が白くなるなか、私はハーハー熱くなりながら自宅までツリーを引きずって帰った。
家に帰ったらマキコさんに写メを送ろう
きっと馬鹿じゃねーのと言われる
そう考えたら年末年始に対する勇気が沸いて来た。
この時の冬の匂いは今でもよく覚えている。

83:1:2011/10/29(土) 16:21:21.58 ID:/3WU+Vx4O
とりあえずここまで
今から仕事に行ってきます!

85:名も無き被検体774号+:2011/10/29(土) 16:33:47.72 ID:YL1bKFvk0
とにかく頑張れ

86:名も無き被検体774号+:2011/10/29(土) 16:37:15.17 ID:zeXuL/JP0
>>1頑張れ

87:名も無き被検体774号+:2011/10/29(土) 18:41:42.38 ID:AxRtAPpK0
いつも楽しく読んでるよ。
仕事お疲れさま。
無理ないペースで書き込みを続けてくれ。

88: 忍法帖【Lv=12,xxxPT】 :2011/10/29(土) 19:07:29.49 ID:1uDqcxbD0
>>1仕事頑張れ~

91:1:2011/10/30(日) 00:18:02.21 ID:uXmFqIlmO
仕事終わりました
今から寝るまでの間続き書いていこうと思います
見てくれている方いつもありがとうございます
では以下年末年始編です

93:1:2011/10/30(日) 00:24:54.11 ID:uXmFqIlmO
クリスマスツリーを購入してから少し気が晴れた私はその後は大人しく働いていた。
日を追うごとに居酒屋の方では忘年会も増える。
忙しくて昼飯を食う暇もなく、雑貨屋が終わり居酒屋に移動するまでの間、
毎日走りながらちくわ食ってたww
光熱費を払う暇もない。
ガスが泊まった。
10日くらい毎日早朝銭湯に通ったww
私生活的には最悪だったが、仕事的には割と頑張ってたと思う。
そんな私にキリストが味方したのか、予想外の出来事が起こった。

94:1:2011/10/30(日) 00:32:31.47 ID:uXmFqIlmO
クリスマスイブ前日、突然に雑貨屋店長が私を呼び出した

「1さん、悪いけど、〇〇さん1さんの休みになってる日にどうしても出れないらしくて、
出勤してくれない?代わりに明日は急遽お休みって事にするから」

私はポカンとしたまま、無言で頷いたと思う。
完全に諦めていたのに、イブが休みになってしまった。
しかし、前日に言われても、今更予定が組めない。
どうしよう。
でも嬉しい。

更にラッキーな事にこの年のクリスマスは、居酒屋が定休日の曜日だった。
本当に久々の全休だった。
その日の居酒屋に向かう途中の足どりは軽かった。
出勤してすぐに、マキコさんにこの事を話した。


95:1:2011/10/30(日) 00:42:38.22 ID:uXmFqIlmO
1「マキコさん私明日休みになっちゃいましたww」

マキコ「え!昼も」

1「はいwでもする事ないんですよね、マキコさん明日昼飯でも食いに行きませんか?」

マキコ「昼飯じゃなくて、クリスマスパーティーするよ!マキコが飯作るから!」

1「え?でもマキコさん修三さんと二人で過ごさなくていいんですか?」

マキコ「いいのよ、修三とは25日にすれば。修三とは、いつでもゆっくり出来るんだから」

マキコさんは前々から、クリスマスは修三さんと家で祝うと言っていたのでまさか、
こんなふうに言ってもらえると思ってなかった

言われて考えてみたら、最後にマキコさんとゆっくり飲んだのは随分前だった。
クリスマスツリーを買った事によってクリスマスに敬意が払えていたのか

その年のクリスマスは、何だか私の味方だった

96:1:2011/10/30(日) 00:52:00.05 ID:uXmFqIlmO
クリスマス当日、私は張り切って朝から部屋を掃除した。
駅のモールで、シャンパンとクリスマスデザインのお菓子をいっぱい
近所の美味しいと有名なケーキ屋で、
二人では食べ切れない程デカイケーキを、奮発して買った。
かなりテンションが高かったのである。
準備は万端だった。

が、しかし

待てどくらせどマキコさんは来ない。
4時の約束だったのに、5時を過ぎても連絡も無い。
冬の日没は早い。部屋が暗くなっていった。
クリスマスツリーの電気だけがチラチラしてる。
5時半を回った頃、不安になった私はようやくマキコさんに電話した
(今考えればもっと早くしろよ、と思う)

98:1:2011/10/30(日) 00:58:30.34 ID:uXmFqIlmO
1「マキコさん…」

マキコ「1何やってんのよ!!?」

1「え…!」

マキコ「もうとっくにご飯出来たよ!」

1「え、マキコさん、今どこにいるんですか!?」

マキコ「はあ?家に決まってんじゃん」

1「え!!今日マキコさんちでするんですか!?」

マキコ「あたりまえじゃん」
1「でも…ツリーはうちに」

マキコ「この前写真で見た」
1「…でも二万九千円もした、」

マキコ「早く来てよ」

プッツーツー……

結局、私のツリーはパーティーでは活躍しないまま自宅に置き去りにされ
ケーキとシャンパンその他色々クリスマスグッズを抱えてヨロヨロしながら
マキコさんちまで自転車を走らせた。

99:1:2011/10/30(日) 01:16:14.07 ID:uXmFqIlmO
マキコさんちに着いたら、コタツの上には鍋のセット
ビールがたくさん、腕まくりをして料理を作るマキコさんがあった。

ツリーは無いが、パーティーだ!
私はわくわくしながら、マキコさんに聞いた。

1「マキコさん!何作ってるんですか?」

マキコ「とうがん鍋」

【解説】
「とうがん」とは、大根に似た野菜である。
大根よりも柔らかく味が良く染み、煮物などに最適である

1「とうがんですか…」

マキコ「とうがんよ」

1「…でも普通、クリスマスつったらチキンとかですよね」

マキコ「チキン入ってるよ」

とうがんの隙間に、鶏肉が煮えていた。

1「マキコさん、今、レンジであっためてるのは?」

マキコ「中華ちまき」

1「クリスマスなのに、中華ちまき」

マキコ「好きでしょ」

1「好きですけど」

マキコ「ん?それ何?」

1「あ!マキコさん、モールで買ってきたんですよ!お土産です!」

マキコさんへのお土産はサンタクロースの形の真っ赤な可愛い砂糖菓子だった。
お菓子というよりは、クリスマスっぽく飾っておくような

マキコ「へー(ガサガサガサガ)」

マキコさん即開封

マキコ「ガブ!!(サンタの頭をかじる)」

1「…!!!」

マキコ「んー……!チェリー味!!」

1「チェリー味ですか……」

首無しのサンタが残り、オブジェは消えた