920 :子供6:2012/07/10(火) 01:41:48.25 ID:COnTfSmE0
ガキみたいに屁こきで爆笑して、じゃれ合いながら進んでると、木と木の間に黒い大きな塊が見えて来る。
パッと見どうも民家っぽい。
近づくと確かに2階建ての1軒家がポツンとある。
壁や塀に蔦が生えてたり建物の周囲も草がボウボウで、玄関の前にはゴミが散らばってるし、古い一輪車が裏っ返しにして置いてある。
どう見ても人が住んでいるようには見えない。
「うわぁ・・・なんでこんなトコに家があるんだろ?」とか「イヤー、ここ怖いよ」なんて女2人は言っててビビってる。
俺も心の中で(なんだかやべぇーなここ)と思いながら背筋がゾクッとした。
月明かりに薄っすら浮かぶ建物って結構迫力あって俺も含めてみんなビビってた。
すると家の方から「ガン」とか「カコン」って音がすんのね。
うぉお!?ってビクついてパッと横見ると、Tが石を拾って家に向かって投げてんの。
こいつがニヤニヤしながら「ビビった?」とか聞いてくるんでちょっとイラッとした。
このTって男は本当に悪戯好きって言うか怖いもの知らずって言うか、黙ってるとダルビッシュに似た顔とタッパでモテる筈なんだが。
ガキっぽ過ぎるって女達から言われる事が多い。
921 :子供7:2012/07/10(火) 01:42:50.68 ID:COnTfSmE0
実はコンビニのくだりで省いたが、パトカーから警官が降りてきた時に、手に持った缶ビールを振りながら大声で「さて運転しよっかなー」
とか言いつつ運転席に乗ろうとしたり、駐車場から出る時も警官に向かって何か暴言を吐いたり、やたら挑発的。
ここでもTだけは余裕でスタスタ塀の内側に入って行き、玄関の扉をガチャガチャやって開きそうにないのを確認すると、裏手に回って庭に入って行った。
この行動力だけは感心するっていうか、半ば呆れた。
それでTに付いて行くと、何か違和感がある。それが何なのか思い出せない。
でもイライラしそうだったからあまり気にしないようにした。
生え捲った雑草で歩きにくい庭に入ると縁側の1階の窓が1枚、人が潜れる位に割れてて中に入れそうだった。
閉めきったままのカーテンを捲って中を照らすと6畳位の部屋らしい。
RとKの女2人は完全にビビってて「ムリムリムリ」とか半泣きで中に入りたがらなかった。
この雰囲気では流石にしょうが無いなと思った。
でも逆にTだけでなくUも案外平気そうにしてんのね。
男3人の中で俺だけビビってるのは有り得ないでしょ。駄目でしょって自分に言い聞かせながら、俺も平気な振りしてた。
結局女2人は外で待って、俺とTとUの男3人で中を探検する事にした。
922 :子供8:2012/07/10(火) 01:43:48.67 ID:COnTfSmE0
中に入ると部屋中カビ臭いというか木の腐ったような匂いが凄い。
「うぉー」とか「すげぇ」とか言いながら進んでった。
部屋は畳が敷いてあってタンスや古い型のラジオがそのまま置いてある。
壁には掛け軸が掛けてあるし、開きっぱなしの押入れの中に布団があるしで、どうにも気に入らない。
部屋を抜けると廊下に出て左がさっきの玄関、正面が脱衣所とトイレのようで右に階段と奥に扉が1つあった。
廊下には布切れやビニール袋なんかのゴミが落ちてた。
ゴミの1つに俺達が小学生くらいの時に潰れた店の買い物袋があって、この家自体10年以上はそのままかも知れないとチラっと考えた。
廊下に出た途端、なんか空気が淀んでるような感じで気持ち悪さが増してく。
脱衣所を覗くと洗面台があり、床が所々抜け落ちてて風呂場には行けそうに無かった。
玄関を調べてたUが俺とTのとこにやって来て「これTのじゃね?」って手に持ったモノを見せてきたのね。
銀色で表面に炎のエンブレムが刻印されたジッポ・ライター。
間違いなくさっきの休憩所みたいなトコでTが探してた物。
Uが言うには玄関の下駄箱の上に置いてあったらしい。