34 :名も無き被検体774号+:2016/05/21(土) 23:49:09.28 ID:a+MBXVoz
クラスが本当に静かになったのを覚えてる。
おれは訳が分からなくて呆然としてた。
担任「バカなことを言うな!!
幽霊なんているわけないだろ!!
今日はもう全員かえれ!!
自宅待機だ!!
絶対外出するなよ!!」
担任がぶちぎれてその日は終わった。
家に帰ると俺が早く帰ってきて母親がびっくりしていた。
今日の出来事を話すと「今日はゆっくり休みなさい」と言われた。
35 :名も無き被検体774号+:2016/05/21(土) 23:58:49.35 ID:a+MBXVoz
俺は部屋に戻るとすぐに細木に電話した。
細木の話をまとめると
細木は野球部二人の後ろを距離を開けて走っていた。
一人が突然転倒して橋から落ちそうになった。
もう一人が助けようと引っ張ったけど二人一緒に落ちてしまった。
慌てて細木が近寄って橋の下をのぞき込むとすぐ下に女が浮いていた。
細木はそのまま逃げてしまった。
とのこと。
とてもだけど信じられなかった。
そもそも自転車で転んだところで橋から落ちるだなんてまずありえない。
この時は細木が嘘をついてると思った。
36 :名も無き被検体774号+:2016/05/22(日) 00:12:06.42 ID:i57avE+M
細木が嘘をついていると思うとなんだか腹が立ってきてすぐに電話を切ってしまった。
次に松坂に電話した。
今回の事件は呪いだろうかと聞いてみると
ほぼ確実に偶然だろうとのことだった。
たまたまこっくりさんだかをやった人たちが立て続けになくなっているから
呪いの話が一気に広まっただけですごい確率だけど偶然だと。
細木のみた幽霊に関しては幻覚だろうといっていた。
目の前で知り合いが二人も落ちたら幻覚の一つや二つ見ても仕方ないだろうと。
確かに目の前で知り合いが橋から落ちたら冷静ではいられないだろう。
そう考えると細木に冷たく当たってしまって申し訳ない気持ちになった。
その日の夕方のニュースで事件についてほんの少しだけ触れていた。
ニュースでは原因を調査中と言っていた。
39 :名も無き被検体774号+:2016/05/22(日) 00:23:03.01 ID:i57avE+M
その日の夜に学校から明日は普通通りに登校するよう電話があった。
次の日登校すると教室では誰も話をしていなかった。
泣いてるやつもいなかった。
ホームルームでは今日は一日中自習だと言われた。
それと自習中に順番に呼び出しするから校長室に来いともいわれた。
自習中は常に教卓に副担任が座っていて、誰も一言も話さなかった。
呼び出しで担任が来るのと、呼び出しから戻ってくる人がいる以外は物音もほとんどなかった。
そして俺の呼び出しの番が来た。
41 :名も無き被検体774号+:2016/05/22(日) 00:37:44.84 ID:i57avE+M
呼び出しを受けて校長室に行くと担任、校長、教頭、それから知らないおっさんが2人いた。
担任に言われるがままに面接みたいに椅子に座るとおっさんが自己紹介をしてくれた。
一人はなんと我が市の市長。
そういわれるとどこかで見たことがある気がしてきた。
もう一人は偉い医者の先生とのことだった。
始めに校長に今俺が知っていることを教えてほしいと言われた。
俺は今まであった出来事、細木の話の内容、ついでに松坂の受け売りだが細木は幻覚を見たんじゃないかって話をした。
すると医者と市長が俺の話に同意してくれた。受け売りの話だが。
医者の言うにはクラスメイトが立て続けに亡くなってクラスのみんなの精神が疲弊しているといった。
偶然が重なったからこっくりさんの話が信ぴょう性を持ってしまったが、呪いなんて存在しない。
と断言した。
今は心身ともに疲れているから明日からの土日はゆっくり休むように言われた。
その話を聞いて俺はなんだかすごくほっとした。
やっぱり偶然だったんだと安心できた。
市長は今回の事件はあまり大事にならないようにしてくれるといってくれた。
来年の受験に影響が出るといけないから、と気を使ってくれたようだった。
42 :名も無き被検体774号+:2016/05/22(日) 00:51:52.64 ID:i57avE+M
クラス全員が呼び出しを終えるとクラスは少し明るくなった。
みんな医者や市長の話を聞いて安心できたのだろう。
でも細木だけは相変わらず暗かった。
松坂の言うには、実際に幻覚を見てんのにみんなにそれを否定されたんじゃ暗くもなる。
俺たちで支えてやらないとな。と言っていた。
本当に顔以外は完璧な松坂である。
松坂は帰る前に少し三人で話さないか、と提案してきた。
そういわれるとこの一週間では三人でまともに話す時間がなかったので折角だし少し話してから帰ろうということになった。
放課後、早く帰るようには言われていたが俺たちは教室に残ってお菓子を食べながら話をしていた。
お菓子は松坂がハッピーターンを大量に所持していたのを三人で食べた。
話の内容は全然部活に行ってなくてヤバいとか、アニメの話とか意識して明るい話をした。
でもそんな中細木は
「俺は間違いなく見た。幻覚ってあんなにはっきり見えるのか!?」
と事件の話を始めた。
45 :名も無き被検体774号+:2016/05/22(日) 01:22:09.17 ID:i57avE+M
熱心に語る細木に俺と松坂はうんうんと相槌を打ちながら聞いていた。
そこで何か違和感を感じた。
教室には俺たちしかいないけれど、それでも静かすぎないか、
もう少し外の音が聞こえてもいいのではないか。
校舎にはまだたくさんの人がいるのに。
そう思って教室を見渡すと教室の真ん中にいつの間にか知らない女がいた。
あまりのショックに言葉が出なかった。
ただ「ああ、ああ・・・」
と情けない声が漏れていた。
すると松坂と細木も女に気付いたようだが二人とも固まっていた。
その女は白い服に黒いスカートをはいていた。
そして両目が異常に離れていて、腕が異常に長かった。
そしてぼーっとした表情でこっちを見つめていた。