両親の離婚&怪我で部活人生終了➡︎絶望していた俺にやってきた忘れられない夏

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280:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 22:51:02.81ID:NHoSgdPp.net
俺「あ、あぶないよ!」
奈央「いった…つい癖で、フライングしちゃった」
奈央はそう言うと、俺の方を見て「しまった」という感じで苦笑いした。
俺「その執念は良いと思うけど、今は外だから…手とか大丈夫?」

奈央「うん、平気だよ」
奈央はTシャツが土だらけになっていたが、ケガはなさそうだった。

俺「よかった。大事な試合があるんでしょ?あんまり無茶すんなよ」
奈央「ああいうボール、試合でもよくあるけど、とるのが難しくて」
奈央は服を払いながら立ち上がって、俺の方を見た。

281:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 22:52:05.18ID:NHoSgdPp.net
俺はピンと来て、奈央の姿勢を見てみることにした。
俺「ちょっと、レシーブ姿勢とってみて」
奈央「うん?…こうかな」
奈央は膝を曲げて腰の重心を落とした。

俺「うん、間違ってはいないね」
俺「でもそれだと、前にボールが落ちそうな時、すぐ反応できないんだ」
奈央「確かに」

俺もレシーブ姿勢を構えて、奈央の前で見せて上げた。
俺「ただ膝を曲げればいいってわけじゃないんだ」
俺「膝の皿は、自分の足首より前に持っていく感覚なんだ」

282:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 23:02:51.14ID:NHoSgdPp.net
奈央「足首の前…?」
俺「そう。そうすると、重心は落ちながらも自然と体は前にいくでしょ?」
奈央「あ、本当だ!なんだか動きやすいかも」

奈央の顔がキラリと光って、何度も何度もその姿勢を確かめた。
俺「これがレシーブの基本なんだ」
俺「相撲の取り組みっぽい姿勢だ、なんて言われたなぁ俺は」
そう言って俺が笑うと、奈央も「ほんとだw」と言って笑った。

俺「俺も高1の頃レシーブ下手だったから、コーチに何度も言われてさ」
俺「もうすっかり、頭から離れないわw」

283:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 23:06:21.40ID:NHoSgdPp.net
奈央は輝いた表情で、「うんうん」と頷いて繰り返し姿勢を確認していた。
俺「打ってみるから、カットしてごらん」
奈央「うん、オッケー!」
俺が少しだけ厳しい球を打つと、奈央はススス、と滑らかに移動してボールをカットした。

俺「そう、それだよ!いい感じじゃん」
奈央「わー、なんかぜんぜん違うかも!」
俺「さっきはこの球に飛び込もうとしてたからなw」
奈央「ほんとだよねw」

284:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 23:08:09.08ID:NHoSgdPp.net
奈央とバレーをしていると楽しかった。
腰の痛みも、一瞬だけ忘れるようだった。
奈央は俺の言ったことを素直に受け止めてくれ、
それをひたむきに実践しようとしていた。

そんな奈央を見ていると、
俺は失った気持ちを色々と取り戻すような気分になれた。

奈央「1、教えるの上手いね」
奈央は肩で息をつきながら、俺の方を見て言った。

そう言ってもらえるのが嬉しくて、不意に胸が熱くなってすぐには何も言えなかった。
奈央「あっつい。そろそろ水飲んでいい?」
俺「うん、飲みなよ。熱中症になったらやばいよ」

285:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 23:09:36.26ID:NHoSgdPp.net
昼前の白い日光が庭中を照らしていた。暑すぎる。

奈央「1に教えてもらってたら、めっちゃ上手くなれるかも」
奈央は水道で水を飲みながらそんな事を言った。
俺はやっぱり、その言葉が純粋に嬉しくて、少し恥ずかしかった。

俺「俺のおかげってわけじゃないよ。奈央だって真面目にやってるから」
奈央「だよねーん」
奈央はそう言うと、元気ににかっと笑った。
溌剌とした笑顔、とはこういうものを言うんだろう。
その笑顔を見て、ちょっとだけ胸が騒いだ気がした。


286:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2015/11/05(木) 23:11:47.39ID:7I2c9t8c.net
>>285
透明すぎる
あなたの書く世界、透明すぎるよ…

287:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/05(木) 23:13:34.19ID:NHoSgdPp.net
奈央と二人きりになったら、あの「お守り」の事を話そうと考えていたが、
奈央の明るい表情を見ていたら、なんだか話すのが怖くなってしまった。

なぜだか分からないが、
そのことを話してしまうとこの笑顔が消えてしまうんじゃないかと、
俺は「余計な」心配をしていた。

そんな事考えずに、話してしまえば良かったのだが。

290:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2015/11/06(金) 00:45:34.10ID:NJHWCtip.net
こんな文章かけるやつなかなかいないよな

292:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2015/11/06(金) 01:22:06.54ID:KfVBVOCW.net
このバージョンで『ぼくのなつやすみ』やりたい

294:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/06(金) 01:24:42.02ID:8z+/2djX.net
昼飯を食べて、午後から自分の部屋で勉強をしていたら
「ピンポーン」というインターホンの音が鳴った。

奈央が下に降りる様子もなく、おばあちゃんもいないようだったので、
「いいのかな?」と思いつつも俺が玄関の戸を開けた。
そこには、短髪の見知らぬ少年が立っていた。
この前野球観戦の時に見た制服だったから、恐らく奈央の高校の生徒だ。

295:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/06(金) 01:25:46.66ID:8z+/2djX.net
男子「あ、え?こんにちは…」
俺「こんにちは…」
彼は、いかにも「予想外の奴が出てきた」という表情で俺を見た。

男子「奈央さん、います…?」
俺「あ、はい。ちょっと待ってね」

俺はそのまま2階に上がっていき、奈央の部屋をノックした。
俺「なんか、男の子来てるけど」
すると、中から「えー?どうせタクミだろ」と声がした。

奈央はバタバタと玄関へ降りていき、
「やっぱり。何の用ー?」と親しげに話し始めた。
俺はその様子を、階段の途中からうかがっていた。

296:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/06(金) 01:39:26.54ID:8z+/2djX.net
少年「いや、墨汁忘れたんで取りに来た」
少年「教室の入り口閉まってっから、こっちから入れてくれ」

奈央「またそれ。ちゃんと持って帰れし」
少年「しょうがないだろ。先生いねえの?」
奈央「おばあちゃんなら出かけてるよ」

どうやら彼は、ここの書道教室に通っている高校生のようだ。
家の中に他に誰もいないからか、嫌なほど会話が聞こえてくる。
奈央との様子を見ている限り、かなり旧知の仲なのだろう。

297:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/06(金) 02:03:09.16ID:8z+/2djX.net
少年「ってかあの人誰?兄ちゃんなんていないよな?」
奈央「親戚…って感じかな。浪人生で、うちに勉強しに来てる」
少年「ふーん。めっちゃ背でかいからビビったわw」
俺の話題が展開され、少しドキッとして嫌な汗が出そうになった。

少年「そういやさ、野方先生来てたぞ、学校に」
奈央「え、先生が?今日うちら部活ないのに」
少年「職員室で偶然見かけてさ。産休決めたって言ってたぞ」
奈央「えっ!?それ、マジ??」

奈央が急に大声を上げたので、俺の心臓がばくん、と飛び上がった。

304:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2015/11/06(金) 13:25:14.00ID:YA3PtIuz.net
わくわくしてきた

310:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 03:12:59.56ID:2DGFGa60.net
奈央「まだうちら何も聞いてないんだけど…」
少年「あーそうだな。次の部活の時に、言ってくれるんじゃないか」
少年「あのお腹なら無理もないだろ。今までよくやってたわ」
奈央「うん…ほんと、そうだよね…」

少年「女バレ、大会あるとか言ってなかった?」
奈央「…あるよ」
少年「大丈夫か?先生いなくて」
奈央「わかんない…」

奈央がそう言ってから、しばらく会話が途切れた。
教室の方から、ドタドタという足音が聞こえた。

311:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 03:15:43.92ID:2DGFGa60.net
しばらくすると玄関の方から「じゃあな」と言って男の子が出て行った。
階段の踊り場でしばらく立ち尽くしていたけど、
奈央が戻ってこないので、俺は書道教室の方を見に行った。

そこには、教室の中でぼーっと立っている奈央がいた。

俺「どうしたの。ここ、暑くない?」
教室の中は冷房もついておらず締め切られていて、ひどく暑かった。
入り口横の小さな窓から西日が差し込んでいた。

312:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 03:17:39.20ID:2DGFGa60.net
奈央「どうしよう」
俺「…野方先生って、部活の顧問なの?」
奈央「聞いてたの?」
俺「聞こえちゃった」
俺がそう言うと、奈央は俯いて黙ってしまった。

教室の中があまりに暑かったので、俺は小さな窓を開けた。
奈央「そこ開けると、虫入ってくるよ」
俺「だって、暑いから」

窓を開けたら、網戸がなかった。
でも、外の風が入ってきて、幾分かはマシになった。

313:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 03:19:17.28ID:2DGFGa60.net
俺「どうしたんだよ」
奈央「顧問の先生が、産休するんだって」
俺「うん、聞いてた」
奈央「大会…どうしよう」
奈央は下を向いたまま、顔を上げなかった。

俺「監督がいないっていうのは不安だけど…やるしかないだろ」
奈央「うん…」
俺「そんなに落ち込んでたって、仕方ないだろ」
奈央「うん」

321:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 19:59:15.91ID:dlhGMPwp.net
俺は奈央にそう声をかけると、台所に行って麦茶を飲んで一息ついた。
でも、部屋に戻ろうとするとまだ教室の方に灯りが点いていた。

俺「いつまで、こんな暑いとこにいるんだよ」
奈央「うん」
俺「先生が休むのはショックだろうけどさ、自分達でやるしかないだろ?」

奈央「そんなこと分かってるよ!」
奈央が突然語気を荒くしたので、俺は驚いた。

322:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:04:58.38ID:dlhGMPwp.net
奈央「私、キャプテンなんだよ…上手くもないのに」
奈央「先生がいなかったら、全部私がやらなきゃ、練習も試合の指示も、全部…」
俺は、なんて声をかけるべきなのか、すぐには言葉が出なかった。

奈央「最後の試合だから、全力でやって勝ちたかったのに…無理だよぉ…」
奈央はそう言って、また俯いてしまった。

俺「だって…それがキャプテンじゃないか。しっかりしろって」
奈央「1は上手いからいいよね!きっと私のことなんて分かんない!」
奈央「失敗したり、思い通りにプレー出来ないことなんてないんでしょ!?」

323:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:11:47.17ID:dlhGMPwp.net
奈央の言葉が、俺の胸に突き刺さった。

俺「それは……」
奈央「背だって高くて、レフトでエースだったんでしょ!?」
俺「奈央」
奈央「こんな不安な気持ち、なったことないからそんな気楽に言えるんでしょ!」
俺「奈央、聞いて」

俺「俺はもう、バレーができないんだよ」

324:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:13:50.34ID:dlhGMPwp.net
その言葉を聞いて、奈央は口を開けたまま俺の方を見上げた。
奈央「え…?」
俺「言ってなくて、ごめんね」

俺「俺、腰をやっちゃってさ。もう二度と思いきりバレーをすることはできないんだよ」
奈央「え、だって…もうバレーは満足したって…」
俺「うん、ごめん。あれは嘘だったんだ」

325:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:19:18.66ID:dlhGMPwp.net
俺「俺はもう、バレーがやりたくてもできない」
俺「ボールに飛び込んだり、思い切り飛び上がってスパイクを打ったり、できないんだ」
奈央「うそ…」

外から、「ミーンミンミン…」という蝉の声が入り込んできて、
しばらく会話が途切れた。
ヒリヒリとした空気の中で、俺は何も言えなかった。
ただただ部屋の中が熱くて、背中にじわりと汗をかいていた。

326:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:21:01.42ID:dlhGMPwp.net
奈央「ご、ごめん…私、知らなかったから…」
奈央は少し目を赤くして、震えるような声でそう言った。
そんな奈央を見ていたら、
俺も感情が込み上げてきて全部話してしまおうと思えた。

俺「本当は、ずっとずっと夢があったんだ」
俺「春高に出て、あのオレンジコートに立ってさ―」
俺「負けても勝っても、コートの中で沢山の風を起こすんだよ」
俺「俺はここにいるぞ!ってね」
俺「思いっきりプレーして、最後は仲間と思い切り抱き合うんだよ」
奈央は、黙って俺の顔を見ていた。

327:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:22:04.93ID:dlhGMPwp.net
俺「そしたらさ、一体どんな景色が見えたんだろうな」
俺「その景色を見るのがさ、俺の夢だった」
奈央は親身に聞いてくれていたが、唇を噛んで俺の方を見るだけだった。

俺はしまったな、と思ってすぐにフォローを入れた。
俺「いや、ごめん。こんな事言われても困るよな」
奈央は少し下を向いてから、口を開いた。

328:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:27:21.07ID:dlhGMPwp.net
奈央「うん。正直、私にはよくわかんない…」
奈央「だから、明日私たちの部活に来てよ」
出し抜けにこんな事を言うので、俺は面食らった。

俺「え、どういうこと?」
奈央「私、1にバレー教えてほしいから。先生の代わりに臨時コーチになって」

奈央「一緒に、もう一度バレーしてくれない?」

331:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:44:25.52ID:dlhGMPwp.net
奈央は、凛とした目で俺を見た。
そんな目で見つめられるのは初めてのことだった。

俺「そう言われても、そんないきなり部外者が…」
奈央「…やっぱり勉強忙しい?」

俺がここに来た目的―それはもちろん勉強だが―
でもそんな事ばっかりやっていて、意味があるんだろうか?
その先には夢も目的もない、何もないのに勉強だけしている。

奈央たちと頑張ったら、その先には何かあるんだろうか―
何か、見えるんだろうか?

332:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:47:54.26ID:dlhGMPwp.net
奈央「大会まで、あと一週間だけ…部活に来てくれない?」
奈央「お願い…!」
奈央のまっすぐな瞳が俺を見つめた。

奈央の言葉は、不思議な力を持っているようだった。
いつもの俺なら、間違いなく断っていただろう。
バレーを思い出すと辛いから、
バレーを避けて、バレーの事を忘れようとして生きてきた。

なのに、奈央とはなぜか一緒にバレーがしたいと思えた。
もう一度やれるかもしれない、そう感じた。

333:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:50:22.94ID:/hO0QZgg.net
印象的なシーンだよな
奈央ちゃんが、>>1をもう一度夢の世界に引き連れてくれるのか?

334:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:51:50.52ID:dlhGMPwp.net
俺「俺なんかで良ければ、力になるけど」
俺「コーチなんてやった事ないから、上手くできるか分かんないけどさ…」
俺がそう言うと、奈央はくすっといたずらっぽく笑った。
奈央「ほら、やっぱり」

俺「何が?」
奈央「1はまだ、バレーやりたいんだよ。そうに決まってる」
奈央が力のない笑顔で俺に語りかけてくる。

奈央「1は、自分の大好きな事を勝手に終わらせようとしてない?」
奈央「夢だった…って何?夢なら、また追いかければいいじゃん」
奈央「少なくとも、私だったらそうするんだけど」
そう言うと、奈央は口元だけで笑って首を傾げた。

335:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:53:17.43ID:dlhGMPwp.net
俺は、けがをしてバレーと関わることを意識的に避けてきた。
でも、それは間違っていたのかもしれない。
そのせいで、いつまでたってもバレーを忘れられず、
そのしがらみに足をとられ続けてきた。

俺の本当にやりたい事は…いつまでも経っても変わらない夢は……

その日の夕飯のあと、台所で皿洗いをしていると奈央に声をかけられた。
奈央「明日臨時コーチに来てもらうって、みんなに言っといたから」
俺「みんなに?どういうこと?」
奈央はぽかんとして、スマホを指差した。

336:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:55:01.62ID:dlhGMPwp.net
奈央「LINEだよ。部活のグループ」
俺「ああ、そういうこと」

奈央「みんな結構期待してるよ。良かったね」
俺「え、マジ。なんか緊張すんだけど」
そう言うと奈央は「なんでw」と言って笑った。

奈央「今日みたいな感じで教えてくれたらいいよ」
俺「ん、分かったよ」
奈央「あとで、LINEも教えて」
俺「ああ、いいよ」

337:1 ◆aPqsLiX.0g @\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:56:40.19ID:dlhGMPwp.net
奈央「手伝おうか、それ」
俺「いや、いいよ。これは居候の俺の仕事」
手伝いは断ったものの、俺が皿洗いをしている間、奈央は俺の横に立っていた。
その時、奈央がどんな表情をしていたのか、俺は見ていなかった。

蚊取り線香の匂いがした。
おばあちゃんとおじいちゃんがテレビを見て笑う声がした。
おじさんは相変わらず網戸外の縁側で一服つけているようだった。

夏の夜の、いつも通りの穏やかな時間が流れていた。
その中で、俺の皿を洗う水の音が響いていた。

338:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2015/11/07(土) 20:57:55.76ID:ypbRVpdh.net
読書するんだろうな>>1は

340:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2015/11/07(土) 21:00:12.05ID:/hO0QZgg.net
>>338
読む人の文章だね
この夏の夜の描写も懐かしい