時はやってきた。だが
タイミングを完全にミスった。声を発し始めたとき直後にタイミングをミスったことに気付いたため、
あ、辞めなきゃと思ったのも遅く、非常に中途半端な発声をしてしまった。
しかも緊張のあまり、声が裏返った。
俺「あああぁあーーーーーーーん!!(裏声)」
結果、俺は何の前触れもなく、マイクもなしに突然
「あーーーん!!!(裏声)」と叫ぶだけになってしまった。
これまで俺の存在を見て見ぬ振りをしてきた周りの猿どもも、
「え?なに今の?」「今の>>1??」「いきなりどうした?」
とざわつき始めた
さらにあろうことか、歌っていた女2人も歌を止め、
「え?え?wwwwなに今の??誰???wwwwwwめっちゃ耳きーんってなったwwww受けるwwww」
とか言い始めた
俺は耳まで真っ赤にし、俯くしかなかった。
カメラの撮影音が聞こえた。気のせいだと思いたかった。
俺は、ただ黙ってドリンクを啜り、時が経つのを待つしかなかった。
なんとかその場をやり過ごし、ほかの奴らも再び歌い始めた。
だが、ここで別の問題が発生する。トイレに行きたい。めっちゃ、行きたい。
そもそも、入室した時点で予兆はあった。膀胱に違和感を抱えていたのだが、まあ何とかなるだろうと思っていた
だが、何杯もドリンクを飲み干したせいで、俺の尿意は限界に達していた。
トイレに行きたい。だが、あのルールが脳裏をかすめる
「歌っている途中にトイレに立つようなことはしてはいけない」
だがその時の俺は、「部屋の中でスマホいじっちゃいけないから、きっとわざわざ部屋の外に出てるんだな。リア充は大変だな」とか思っていた。
俺もスマホを部屋の外でいじるふりをしてこっそりトイレに行こうと思っていたが、
そもそも俺はスマホを家においてきているのだ
まさか
相変わらず他の猿どもは俺の気など知れず、バカみたいに歌っては騒いでいる
俺はもうドリンクをすすって魔を持たせることすらできず、ひたすら俯いて必死に膀胱をなだめた。
猿どもの「あああああーー!!」とかいうカスみたいなハウリングですら、俺の膀胱には刺激だった。
それからさらに何分かが経ち、俺は限界を超えた
リアルで
うわぁぁぁ
って声でちまったじゃないか
俺「あ、ああ!もう、もももう無理っす!!!!!!!!!!!」
とかそんなことを言い残し、俺は部屋を飛び出し、トイレへと駆け出した。
だが
トイレの位置がわからない。思った以上に建物が広かった。
トイレの表示がようやくわかった時には、もう手遅れであった。
俺「ああああ~~~~~~~ん!!もうだめぇえええええ~~~~~(鳴き声)」
俺はその場に座り込み、漏らした。