死ねよ太田、俺が歌いにくくなるだろカス、
万が一お前が上手かったら俺がこれ以降greeeen歌いにくくなんだろがカス死ねやボケ
とか心の中で悪態をつきつつ、みんなに合わせて「うぇ、うえええええええいいい!!!」とか猿みたいな奇声を発しておいた
ここで俺に、思いがけない僥倖が起こる。
そう、太田はド下手だったのである。
これならいける、俺の圧勝だ。よし、あとでもう一度オレンジ入れよう
俺はそう決意した。
その後も、ほかのクラスの猿どもが次々に歌を入れる。
太田が「>>1は歌わなくていい」と言っていた通り、俺には特に回ってこなかった。
他の猿どもは「あ、この曲好きー」だの「うまいねー」だのを周りのやつと言い合いながら適当に手拍子なんかしていたのだが、
俺は話せるような奴がいない。
スマホも持ってきていないので(そもそも持ってきていたとしても、リア充ルールに従えばいじることは許されない)
間が持たないのである。
俺は受付時に渡されたうっすいカルピスをチビチビ啜るしかなかった
カルピスは、すぐにカラになった。
くっそあのカス受付うっすいカルピスちょっとだけ寄こしやがって。死ねやボケ
などと悪態をつきながら、間をつぶす方法を考えていた。
そこで俺に救世主が現れる。
女「あ、>>1くんもう飲んだんだwwうち冷たいもの飲むとすぐお腹痛くなるからあげるー」
女「うちもー^^」
男「あ、じゃあついでに俺もwww」
俺には計3杯のドリンクが集まった。
よかった。これでもうしばらくは間が持つ。
やったじゃん。
再び集まったドリンクをちびちび啜りながら、適当に周りに合わせて相槌を打っていた。
途中、俺に転機が訪れた。
女2匹「じゃあうちら、関ジャニいきまーーす!!!!」
猿ども「うぇーーーーーい!!!!」
と俺の知っている曲を入れた。俺が風呂場でも練習していた曲である。
俺は思った。これはいいきっかけである。
「歌わなくていい」と言われてはいるものの、やはりせっかく「友達と」カラオケに来ている以上、歌ってみたい
それに、これだけの数のリア充・クラスメートの中で歌うことで、何かが変われる気がした。
母親にも胸を張って報告できる。嘘をつく必要がなくなる。
途中で、非常に高い声が要求されるパートがある。
歌い手は女2人、関ジャニ∞を歌うには数も足りないし、声量も男の方がいいだろう。
よしよし、仕方がない。その高音パートは俺が担おう。
だがマイクは2つとも女が持っていて、俺の周りにはマイクがない。
よしよし、風呂場でもマイクなしで練習していた。任せておけ、マイクなどなくてもハモってみせる。
いきなり、陰キャラであるはずの男>>1が、超高音を当然のように合わせてくるのである。
これで少しは見直されるはずだ。
俺がいきなりハモるはずのフレーズは「それはあの太陽より眩しかった」というものである。
非常に高い。俺はそのパートに近づくにつれて心臓がドキドキし、喉を整えるためにドリンクを飲んだ
いよいよである