不意を突かれた会話に少し戸惑いながら
「僕も母親が持たせたものだから・・・」
そういって「これからも宜しくお願いします」で締めくくった。
女性と話すことは出来るが、好みのタイプと話すのは少し緊張する。
彼女は「なにか分からないことがあったら、気軽に聞いて下さいね」
そんな優しい言葉を掛けてくれた。
俺は失礼しますと言って302号室のドアを閉めた。
名前を聞くのを忘れていた。
40: :2008/06/17(火) 06:58:07.83 ID:
改めて302号の表札を見た。
しかし名前は無かった。女の1人暮らしがバレないための用心なのか?
304号は空室のはずだ。物件案内の時に不動産屋がそう言っていた。
挨拶の必要はない。
部屋に戻ってって少しウキウキした。
あんな可愛い子がお隣さんだなんて。
でもあんまり慣れ慣れしくするのはよしておこう。
変態と思われても住みにくくなる。
廊下で会った時に挨拶する程度がいいな。
41: :2008/06/17(火) 07:04:34.29 ID:
俺は挨拶廻りのあと少し部屋を片付け近所のスーパーへ買い物に行った。
初めての1人暮らしだ。
これからは自分で食事も作らなければいけない。
夕飯のメニューはカレーにした。
今はこんなものしか作れない。
でも料理初心者の俺は妙にワクワクしていた。
「美味いカレーを作ってやる!!」
子供の頃から料理番組を見るのは好きだった。
料理の知識も多少なりともあると思っていた。
人参・玉ねぎ・じゃがいも・牛肉・牛脂(無料)・牛乳・マッシュルーム・二段熟カレー(辛口)
を買って帰る。
部屋にキーを差し込むのがなんとも良い。
自分の部屋なんだぁ。ここは。
俺も大人の男になったもんだ・・・。
しみじみとそう感じた。
43: :2008/06/17(火) 07:10:27.66 ID:
初めての料理は散々だった。
まず玉ねぎの切り方が分からなかった。
真ん中で半分に切ったまでは良かった。
その半分を繊維に沿って切るのか?はたまた逆か?
適当に切ってみた。目が痛く涙が出た。
それでもカレーなんて適当にやれば出来るだろ!?
甘かった。水の分量を間違えたのか
妙にバシャバシャの水カレーになってしまった。
ご飯も水が多すぎた。
カレーと合わさるとなんとも締まらない味の食い物になった。
それを1人で背中を丸めて食った。
TVはまだ付いていない。
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