そこには1枚のメモと10万円が入っていた。
貧しい母に苦しい捻出だったに違いない。
申し訳ない気持ちと有り難い気持ちが交錯する。
メモ書きを見た。そこには・・・。
「元気でいてくださいね。お野菜はちゃんと食べてくださいね。あなたはいつまでも
母さんの子供です。」と書いてあった。
引越し業者にバレずに、声を押し殺して泣くのは大変だった。
17: :2008/06/17(火) 06:11:52.51 ID:
第2章 まりあとの出会い
「二宮光輝」
俺は郵便受けと部屋のネームプレートに出来るだけ丁寧な字でそう書いた。
こういうことはキチンとしたい。
新しい暮らしを始めるにあたって、俺はそれを1番にすることに決めていた。
マンションの玄関に行って郵便受けにプレートを入れる。
そして部屋に戻ってプレートをはめる。
これでよし。新た人生の始まりだ!
21: :2008/06/17(火) 06:14:53.56 ID:
>>17
待て待て。それは本名か?
>>21
似てるけど偽名です
24: :2008/06/17(火) 06:19:25.93 ID:
引越し業者が運んでくれた荷物を丁寧に分ける。
これは今日1日で終わらないかもしれない・・・。
そう思いながらも地道に部屋作りに取り組む。
気が付くと夕方になっていた。
そうそう大事なことを忘れていた。
ご近所に挨拶をしなければ。
家を出る数日前。俺が引越しの荷造りをしているとおふくろが
「これをご近所さんにお渡ししてね」
と言って丁寧に包装された箱を2つ持ってきた。
中身はバスタオルと石鹸のセットだった。
俺は今どきご近所廻りなんてするかな?そう思いつつもそれを受け取った。
27: :2008/06/17(火) 06:26:44.32 ID:
別にして損することでもないし、こういうことは「年の功」があるおふくろの
言う通りにしておこう。
荷物整理の手を止め両隣の部屋へ挨拶に向かう。
このフロアは4部屋。
俺の部屋は303号室。まずは301号室に行った。
2度ほどインターホンを押したが反応無し。
留守なのか・・・。
続きは次のページで!