でも、その押し問答の最中も聞こえてくるのは母の声だけ。
相手の声はしません。
やっとバタン!と玄関が閉まる音がして、
母がふぅふぅ言いながら部屋に帰ってきました。
「あの人、やっぱり〇〇(私の事)の言うとおりだね。
頭おかしいみたい。怖かったでしょう、ごめんね。」
と母が言うので
「なんかされたの?大丈夫??」
と聞き返しました。
すると母はまた笑って
「いやいや、全然大丈夫。今日はもう寝なさい」
と。
しかし、この話をしている最中に
また玄関のチャイムが「ピーーピーーピーーピーーー」と、
物凄い勢いで鳴り始め、今度は玄関のドアがドンドンドンドン!!と叩かれました。
私のビビり具合はMAXに達して、
「警察に電話しようよ!」
と泣き始めました。
母は
「あとしばらく続くようなら警察を呼ぼう。
あなたはもう寝なさいって。大丈夫だから。」
と言い、寝る準備を始めました。
私は怖くてなかなか寝付けず、
しばらく玄関の音に耳をすませていました。
玄関の音は30分ぐらいで止みましたが、
それ以来しばらくは夜中のお客さんは怖くて怖くて仕方ありませんでした。
その夜の出来事から5年後、私は一人暮らしを始める事になりました。
明日から新しい部屋で暮らす事になった晩に母と話をしていて
「そういえば、あんな事があったね~
私怖くて怖くてめっちゃ泣いた記憶がある(笑」
と話したら、母が
「う~ん、あれだけで怖がってるようじゃ大丈夫かしらね、一人暮らし。」
というので
「あれだけで?」
と聞いたら母が言うには。
「私ね、あの時あなたが物凄い怖がってたから、言わなかったけど、
まずあの人ね、雨が降ってる中歩いてきたっていったのに、
ぜんぜん雨にぬれてなかったのよ。
で、左手にバットを持ってたの。
しかも、あの人、男の人だったよ。」
私が腰を抜かしたのは言うまでもありません。
警察呼んでよママ…。
「なんで警察呼ばないの~!!!」
と言ったら
「なんだか逆恨みされそうじゃない、家はもう知られてるし」
と。
その次の日から一人暮らしをする事になった私ですが、
怖くてしばらくは実家に帰っていました。
以上です。長々とすみませんでした。
みなさんも夜中の来客にはお気をつけください。