10: 名も無き被検体774号+ 2014/03/12(水) 07:06:54.67 ID:zSMs1Lti0
実際のところ、努力は報われていた。
僕は先生の住んでいるところを探し当てたのだから。
歓迎されたとは言い難かったが、拒絶されたというわけでもなさそうだった。
うん、上々だろう。少なくとも、思っていたよりはいい結果だった。その後先生と対面した折の、僕の失態を除けばだが。「ユウキってさ、彼女とかいたの? 前の高校で」「いきなりどうした」「いや、ほらモテそうだから」
僕は先生の住んでいるところを探し当てたのだから。
歓迎されたとは言い難かったが、拒絶されたというわけでもなさそうだった。
うん、上々だろう。少なくとも、思っていたよりはいい結果だった。その後先生と対面した折の、僕の失態を除けばだが。「ユウキってさ、彼女とかいたの? 前の高校で」「いきなりどうした」「いや、ほらモテそうだから」
僕よりも15㎝は長いであろう、彼の躯体はがっしりと引き締まっている。眉はキリリとして男らしく、切れ長の目元は涼やかだ。
「いたような、いなかったような」
「なにそれ」
「男子校だったんだよ。知ってるだろ」
「知ってるけども。答えになってない」
「たぶん……たぶんだけどな、両想いではあったよ」
両想い、という単語の響きが恥ずかしかったのだろう。ユウキはなんの面白みもないバイパスの防音壁を、食い入るように見つめていた。
「付き合わなかったんだ?」
「まあ……どうだかな。なあ、やっぱお前、今日おかしいよな」
「なにが?」
「人に恋沙汰の話振るようなやつじゃないだろ」
「偏見じゃない?」
ユウキは僕の言葉に答えず続ける。
「そういうやつがいきなりそういう話をし始めるのはな、自分にそういう話があるときだけなんだよ」
「……偏見じゃない?」
「しらばっくれやがった」
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