30: 名も無き被検体774号+ 2014/03/12(水) 07:45:03.24 ID:zSMs1Lti0
密かながら、彼に感謝した。
彼の姿に気づいたとき、目を伏せて通り過ぎなくてよかったと思った。
相手が誰でも、口にするのがどんなことでも、話はしてみるものだ。
家を出たときから比べれば、僕の心は相当に軽やかになっていた。「不登校と言えば、あいつ、どうしてるのかな」心が軽くなったせいだろう。
頭まで軽くなっていて、口も軽くなっていた。この場合は軽薄というべきか。
ほんの世間話のていで、そんな話題を口にしてしまった自分に驚いた。
慌てて取り繕おうとしたのだが、しかし、彼の反応は予想とは違っていた。「さっきから話そうと思ってたんだよ」
彼の姿に気づいたとき、目を伏せて通り過ぎなくてよかったと思った。
相手が誰でも、口にするのがどんなことでも、話はしてみるものだ。
家を出たときから比べれば、僕の心は相当に軽やかになっていた。「不登校と言えば、あいつ、どうしてるのかな」心が軽くなったせいだろう。
頭まで軽くなっていて、口も軽くなっていた。この場合は軽薄というべきか。
ほんの世間話のていで、そんな話題を口にしてしまった自分に驚いた。
慌てて取り繕おうとしたのだが、しかし、彼の反応は予想とは違っていた。「さっきから話そうと思ってたんだよ」
よくぞ聞いてくれた、と言わんばかりだった。
口角を釣り上げて、不敵に笑っている。
「どこ通ってると思う?」
知るわけがない。そもそも、学校に通っているという時点で驚きだ。
不登校児というのは、僕たちの及びもつかない暗い世界に消えていくものだと思っていた。
まるで内緒話でもするかのように声を潜め、彼は僕に学校名を告げる。
彼が口にした学校名には、聞き覚えがあった。
確か、四国あたりでは一番有名な進学校だったはずだ。
「すごいだろう?」
まるで自分の子を自慢するかのように、彼は胸を張る。
確かに、すごい。元不登校児の通っている学校は、僕の通っている高校と比べてもなんら遜色ないほど名のある高校だ。
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