59: 名も無き被検体774号+ 2014/03/12(水) 08:50:40.23 ID:zSMs1Lti0
「僕は、先生の家を探し当てた」
「だからなんだ。だから、僕も負けてないって言いたいのか? 俺があいつに会いに行こうと努力しなかったとでも思ってるのか? お前のほうが、たまたま早くそれを実現したってだけじゃないか」
僕もユウキも、声が震えていた。
寸でのところで、激情を押しとどめているのだ。
今にも発狂して、論理も整然もない罵詈雑言が吐き出されそうになった。
先生を先に見つけたのは僕なのに。
僕の話を聞かなければ、ユウキなど絶対、先生のことを見つけられなかったくせに。
そればかりじゃない。きっとユウキは先生に会いにいっただろう。あれから、すぐに先生の家を訪ねたのだろう。
その結果どうなった? 先生は、先生は苦しんで、苦しんで苦しんで苦しんで、もうなにもかもめちゃくちゃにしてしまって、それから、
「お前には無理だ、ぜったい」
決壊した。
言葉ではなく、身体が怒りを吐き出した。嫉妬を形にした。目の前が真っ赤になった。
本気で他人を殴ったのは、これが初めてだった。
ユウキの右肩あたりに、押し付けるようにしてこぶしをぶつけた。
顔をしかめたユウキが、バランスを失ってしりもちをつく。
その光景が、スローモーションのように見えた。
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