気付けば妻との今までの思い出の全てが、嘘の上に成り立っていたのではないかと思うようになり
デートの時の妻の笑顔も、その裏で私を馬鹿にしながら笑っていたのかと思うと気が狂いそうだった
いや、多分もう既に狂っていたのだと思う
もう手遅れだった。私は妻のことを考えるだけで酷い吐き気や頭痛、腹痛に見舞われるようになっていった
幸いにも医者から妻と関わることをしばらく禁止されたため、面会に来た人から妻の様子すら聞くこともなかった
カウンセリングや薬での治療を半年ほど続け、私は自殺しようなどと考えることも無くなり退院することになった
しかし、妻への愛と不信感との板挟みになり苦悩しつづける毎日だった
妻を愛している、愛していなければならないという私と、妻のことがまったく信用出来ない私が混在していた
はっきり言って、自分が悲劇の主人公にでもなった気分だった。そう思わないとやってられなかった
悲劇の主人公にも、最後はハッピーエンドが待っているんだと思うことで気を紛らす毎日だった
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