「しんのすけさん!早く早く!」
あいちゃんは、オラを駅の出口へ引っ張っていく。
彼女は、白いワンピースを着ていた。ひまわりの服だ。
もともと肌の白い彼女は、その服がよく似合う。少し大き目の帽子を被っていて、まるで避暑地に来たお嬢様のようだ。実際にお嬢様だけど。
それにしても、こうやって間近で見ると、やはりあいちゃんはかなりの美人だと分かる。
電車に乗っていた時も、彼女はジロジロと見られていた。
電車の中で不釣り合いなほど、彼女だけ別の世界の人間のように思えた。
そんな彼女と二人っきりでいることに、少しだけ違和感を覚える。
それほどまでに、彼女はまるで絵本の中から跳び出して来たかのように、純然とオラの前にいる。
海岸際に来たオラ達は、砂浜に座って海を眺めていた。
波の音以外は聞こえない。
波音の演奏会をしばらく楽しんだ後、あいちゃんは静かに話し始めた。
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