99:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:08:28.229ID:WoieZSUl0.net
中年男「――なにを悩んでるか?」
中年男「こないだ……娘から結婚式の招待状が来たんだよ」
男「えっ!?」
女「なんですって!?」
受験生「娘さんがいたんですか!」
少女「おじさん、結婚してたの!? 相手はよっぽどの物好きだねー!」
中年男「うるせえよ! ……ってワラワラ群がってきやがって!」
中年男「まあ、とっくに離婚しちまって、今は離れ離れなんだがよ」
男「おっさんでも結婚できるなら、俺も希望はあるな……」
中年男「どういう意味だ!?」
女(よかった……結婚願望あるんだ……)
少女「なにホッとしてんのー?」ニヤニヤ
女「し、してないしてない! してないから!」
100:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:10:26.582ID:WoieZSUl0.net
男「それで、なにを悩んでるんです? まさか、着ていく服がないなんてオチじゃ……」
中年男「いや、行くかどうか迷ってるんだよ」
男「え、なんで?」
女「それは行くべきですよ! 一生に一度のことですもん!」
少女「二度以上あることもあるよ?」
女「そ、そうね……」
男「それはさておき、どうして行かないんです?」
男「招待状が送られてきたってことは、“来て欲しい”ってことじゃないですか!」
中年男「……こんな年中赤ら顔の酔っ払いがめでたい式に行けるかよ」
中年男「オレも恥ずかしいし、なにより娘の恥になっちまうじゃねえか……」
シーン…
101:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:13:30.862ID:WoieZSUl0.net
受験生「なぁんだ。でしたらこのボクが解決法をお教えしましょう!」
男「おっ、さすが秀才。いいアイディアがあるのか?」
受験生「すばり、結婚式まで禁酒すればいいんですよ! そうすればアルコールも抜けるでしょ」
男「あ、そっかぁ!」
女「それいい! さすが受験生君!」
少女「あったまいいー!」
受験生「フッ……」
中年男「いや、ちょっと待ってくれ! 酒がねえとオレは……」
受験生「いつかの言葉を返しましょう。こういうのも“勉強”ですよ」
中年男「あぐぐぐぐ……」
男「ハハハ、そういうこと! 観念しな、おっさん!」
102:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:15:41.166ID:WoieZSUl0.net
男「というわけで、おっさんの禁酒作戦開始だ!」
女「なんだかワクワクしてきました!」
受験生「勉強の合間のいい気分転換になりそうですね」
少女「おじさんに一滴の酒も飲ませるもんか!」
母「私も微力ながら手伝わせて頂きます」
男「このフードコートでは、絶対おっさんに酒を飲ませるな! 作戦開始!」
オーッ!!!
中年男「どいつもこいつもオレをオモチャにしやがって……」
中年男「お手柔らかに頼むぜぇ……」
104:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:18:02.397ID:WoieZSUl0.net
中年男「ストロングゼロをちょっとだけ……」
男「おっとぉ、結婚式まで酒はゼロだぜ、おっさん!」バッ
中年男「ああっ!」
~
中年男「喉渇いたし、一杯ぐらい……」
女「お水をどうぞ! いくらでも汲んできますよ!」ササッ
~
受験生「こちら、図書館で借りてきた本に載っている、肝硬変になった肝臓の写真です」
中年男「お、おい……んなもん見せないでくれよ。メシがまずくなる……」
105:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:20:18.604ID:WoieZSUl0.net
少女「お酒飲んだらダメだったら!」ドカッ
中年男「うげっ!」
~
母「コラーッ! お酒飲んだらダメでしょ!」
中年男「ひっ、そんな娘を叱るように叱らないで……。叱り方も娘に似てるし……」
~
中年男「こっそり飲もうと思ったら、缶を没収されちまった……!」
清掃女「あたしもあんたの禁酒に協力してるからさ!」
中年男(こりゃ地獄だ……だけど、オレのためを思ってやってくれてるんだからなぁ)
中年男(オレも久しぶりに根性出すか!)
…………
……
107:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:22:46.945ID:WoieZSUl0.net
そして――
中年男「どうだ?」ビシッ
男「おおっ、正装! かっこいい!」
女「すっごくステキです!」
受験生「見違えましたよ! まるで一流大学の教授みたいだ!」
少女「馬子にも衣装ってやつだね」
母「コラッ、なにいってるの! ……とてもよくお似合いですよ」
清掃女「いいじゃないか。もっとあたしが若けりゃ立候補してたよ」
中年男「こうして久しぶりにシャキッとできたのも、お前らのおかげだ……」
中年男「んじゃ、結婚式当日はこの格好で娘と会ってくるぜ!」
108:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:25:37.067ID:WoieZSUl0.net
……
男「結婚式はどうでした?」
中年男「とてもよかったよ……」
中年男「娘はキレイになってたし、旦那もいい奴っぽかったし……いうことなしさ」
女「それはよかったですね!」
少女「んでさ、元奥さんとはどうだったの?」
母「コ、コラッ!」
中年男「……ま、それなりに楽しく会話したぜ」
少女「より戻しちゃえばいいのに」
中年男「さすがにそれは無理だが……時々は会おうってことにはなったよ」
男(うーん、今日のおっさんはやたらかっこよく見える……)
男(こういう年の取り方したいなって思えてしまう……)
中年男「つうわけで――」
109:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:27:30.529ID:WoieZSUl0.net
中年男「飲むかぁ~!」グビグビ
中年男「娘の幸せにかんぱーい!」
男「やっぱり飲むのかよ!」
女「あああ……お洋服にこぼしちゃって……」
受験生「まぁ……よく持った方ですよ」
少女「おじさん、久しぶりにフードコートで飲むお酒の味はどぉう?」
中年男「うん、うめえ! もう一杯!」
おわり
110:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:32:38.086ID:WoieZSUl0.net
最終話『フードコートに入り浸ってばかりいるクソ男』
― フードコート ―
男「合格おめでとう!」
受験生「ありがとうございます!」
中年男「志望校にみごと受かっちまうとはな、大したもんだ!」
女「ホントですよ! △□大といったら、超名門ですから!」
少女「口だけじゃなかったんだ! やるぅ!」
男「もしかして、裏口入学なんじゃないのか~?」ニヤッ
受験生「実はそうなんです……入学試験の日はあえて、裏口から入りましたからね」ニヤッ
男「お前……ホント変わったなぁ。そんな返しをするようになったとは」
受験生「ボクが進歩してるのは、偏差値だけではないということですよ」
男「じゃ、ここらで俺からお祝いの言葉を」
受験生「お、これはどうも」
111:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:34:23.579ID:IdHIikeE0.net
支援
112:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:35:22.772ID:WoieZSUl0.net
男「このボクがBィィィィィ! 判定ィィィィィィッ!」
受験生「ちょ、ちょっと!」
ギャハハハハハ… アハハハハハ…
女「もうっ! せっかく合格したのに、失礼ですよ! アハハッ!」
少女「といいつつ、めっちゃ笑ってるけどね」
母「アハハハハハハハハハッ!!!」
少女「お母さん、笑いすぎ!」
男「…………」
男(フードコートの常連と仲良くなってからは、フードコートに来るのがますます楽しくなったなぁ)
男「今日は何食べる?」
女「きつねうどんにします!」
男「じゃ、俺はチャーシューメンにしよっかな」
113:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:38:40.652ID:WoieZSUl0.net
― 会社 ―
男「ふんふ~ん」カタカタ…
課長「…………」
先輩「…………」
課長「あいつ……近頃、妙に上機嫌だな」
先輩「調子こいてますよね……」
課長「ああ、どうも気に食わん」
課長「そろそろ、自分の立場というものを分からせてやった方がいいかもしれんな」
先輩「ですよね……」
114:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:40:40.076ID:WoieZSUl0.net
プルルルル…
男「お電話ありがとうございます! ……あっ、これはどうも!」
男「あっ、はい! 例の品は、期日通り納入するよう手配しておりますので!」
男「はいー! よろしくお願いしまーす!」
先輩「ちっ……あんなにはりきりやがって。たかが納品ぐらいで……」
先輩「……ん、納品……?」
先輩「…………」ニヤッ
115:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:45:58.050ID:WoieZSUl0.net
そんなある日――
― 会社 ―
プルルルル…
男「あ、どーも! いつもお世話になってます!」
男「…………」
男「――え!?」
男「全く違う品が納品された!? おかげで現場の作業が滞ってる!? そ、そんなバカな!」
男「私はちゃんと手配を……!」カタカタ
男(――あれ!? 俺が違う品を納入するよう指示したことになってる!)
男(なんでこんなことに……!?)
男「大至急、正しい品を納品させますので……え、もういい!? し、しかし――」
116:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:47:21.468ID:KBP5rBy2r.net
まさか…
117:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:48:09.986ID:WoieZSUl0.net
課長「どうするんだね!?」
課長「小口の取引先とはいえ、こんな致命的なミスをして!」
男「も、申し訳ありませんっ!」
課長「この件については私も知らん! 君が全責任を負って処理したまえ!」
先輩「ったく、いつかやらかすと思ってたんだ! これだからお前は使えねえってんだよ!」
ガミガミガミガミ…
男「…………」
男(あああ……)
男(ああああああああああ……!)
118:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:51:28.555ID:WoieZSUl0.net
課長「……ふふっ、よくやってくれた。青ざめた彼の顔は一見の価値アリだったよ」
先輩「違うもんが納品されるよう、ちょいとあいつのパソコンからいじっただけですよ」
課長「彼、どうすると思う?」
先輩「辞めるか、病気になるか、下手すりゃ自殺しちまうんじゃないっすか?」
課長「あの取引先は取引額が小さいから、縁が切れても課にダメージはないし」
課長「弱い者いじめをすると、健康診断の数値がよくなるんだよねぇ~」
先輩「俺もっすよ! 今年も色んな数値がよくなってて……」
課長「職場のストレスは、ハラスメントで晴らすに限る! なーんてね!」
先輩「アッハッハ、座布団一枚!」
119:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:53:58.546ID:WoieZSUl0.net
― フードコート ―
女「今私、新作のイラストを手掛けてるんですよ! テーマはなんと≪食事≫!」
男「……へえ」
女「今日はなにを食べますか?」
男「…………」
女「あのー?」
男「ごめん……。今日は……水だけにしとく」
女「え、でも……」
男「ちょっと食欲がなくってね……なぁに、大丈夫さ……」
女「は、はい……」
女(まるで、昔の私のように落ち込んでるわ……)
120:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:54:13.408ID:0IcrF66+d.net
コイツら
121:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:55:19.082ID:KBP5rBy2r.net
最初と立場が逆転してる…
122:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします: 2018/07/12(木) 00:56:44.662ID:WoieZSUl0.net
― 会社 ―
先輩「おい」
男「は、はいっ!」ビクッ
先輩「お前……終わりだな」
男「え」
先輩「この件に関しちゃ、部長もカンカンだ」
先輩「納品する品をミスって手配するなんてお前……新入社員でもやらねえミスだぞ!」
先輩「クズがっ! 会社の恥さらしがっ!」
男「す、すみまっ……!」
先輩「薬局行って、睡眠薬でも買ってきたらどうだ? 永久に眠るためによ!」
男「…………!」
男(取引先には謝りに行ったけど、門前払いされちゃったし……)
男(本当に、俺は……終わりだ……)