280:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:25:37.74 ID:6B/Q6dyG0
3年生の11月ごろ、菜緒ちゃんも本格的に受験勉強が忙しく、なかなか会えない日が続いた。
俺はというと10月にAOで受験が終わっていたので、彼女に会えずさみしい想いをつのらせていた。
きっかけは本当に些細なことだった
自分でもバカだなって思う。
ある日、夢を見たんだ。
10年後だか20年後だかわからないけど、俺にも吉木さんにも奥さんと旦那さんがいて。
二人は喫茶店かどこかで再開するんだけど、
吉木さんの姿はやつれててものすごく変わり果てていて、ズタボロだった。
そんで、お互い「今、しあわせ?」って聞きあうんだ。
吉木さんは、死んだ目を無理やり引きつらせて笑顔を作りながら
「とってもしあわせ」って答えるんだ。
281:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:26:27.20 ID:6B/Q6dyG0
そんなのまっぴらごめんだって思った。
たかが夢だろって思うかもしれないけど、その夢をみた翌日
俺はずっと考え続けた。絶対俺は吉木さんに手が届くことはない。
だけど、どうしようもなくもどかしかった。
なんでもいいから、卒業までに、もう一度彼女に想いを告げようと思った。
たとえその時、菜緒ちゃんが俺の彼女だったとしても。
283:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:31:13.33 ID:6B/Q6dyG0
俺はその日の放課後、吉木さんに仲直りしようとラインを送った。
あ、さすがにもう二人ともスマホになってたわw
吉木さんはやっぱり優しくてずるい。
「俺くんと話せないのいつもつらかったんです」
そう言われた。
284:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:31:49.45 ID:6B/Q6dyG0
吉木さんと以前のように一晩中スカイプをするような仲に戻るのに、そんなに
時間はかからなかった。
来る日も来る日も、俺は吉木さんのオンライン表示を待つようになっていった。
学校がある日も、授業の合間に一日中ラインをし続けた。
さすがに3度目の復縁で、お互いに本当にバカみたいに求めあってたように思う。
菜緒ちゃんの電話よりも、吉木さんの電話を優先して出るようになるころには、
俺の家でゲームして遊ぶような仲になっていた。
俺たちは本気で友達として電話したり遊んだりしていたんだ。
傍から見たらただの浮気だろうけど、他の誰もわからない、ぬるま湯みたいで秘密な関係だった。
286:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:34:11.27 ID:/AOnid/u0
これは良スレ
287:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:34:31.10 ID:6B/Q6dyG0
帰り道に暗い河原を二人で通ったとき
俺「ここ出るらしいよ」
吉木「ホントそういうのやめてください!」
俺「うわああ!!でたあ!!」俺氏走る
吉木「ひゃあああ!!待って行かないで!」ギュっ
俺「ご、ごめん・・・冗談だってば」
吉木「俺くんのばかぁ・・・・」
吉木さんに軽く抱きつかれてしまった。
彼女特有の甘い香りが、鼻の奥をかすめた。懐かしい匂いだった。
289:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:38:52.05 ID:6B/Q6dyG0
吉木さんとは、友達として遊んでるんだ。
何度もそう言い聞かせた。
けど、吉木さんが隣にいるだけで、世界はまるで違く見えたんだ。
ただ一緒に道を歩いているだけで、バカみたいに笑いあってるだけで、それだけで楽しかった。
吉木さんの表情、仕草、匂い、声、全部が全部違ったんだ。
他の女の子とは違うって、そう思ってしまった。
ほかの女の子にはこんな感情は抱けないと思った。
290:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:41:30.55 ID:6B/Q6dyG0
二回目に俺の家で遊んだ帰り道、俺たちはまたあの公園に向かってしまった。
もう12月に入っていて、外はすっかり冬の寒さだというのに、
吉木さんはその時とても薄着だった。
辺りはもう真っ暗だった。
バカだったなと、今でも思う。
俺の隣に腰かけている吉木さんは寒さでガチガチに震えていた。
さすがに寒さで震えている女の子を、見過ごすわけにはいかなかった。
俺は、コートを脱いで、二人で密着してくるまった。
吉木さんの抵抗はなかった。
顔と顔の距離はお互いの吐息がかかるほどで、ただとにかく友達だと、これは友達として
やっているんだと
俺は頭の中で何度もそう復唱した。
291:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:45:15.48 ID:6B/Q6dyG0
二人で一つのカイロを握りしめあった。彼女の指先は小さくて、冷たかった。
寒さのせいだったかなぜだかは分からない。
次第に二人は、頭を撫であったり、頬を触りあったりしていた。
吉木さんの頭を撫でたのはこれで何回目だろうか。
彼女の髪は真っ黒でつやつやで、いつもの甘い香りがした。
髪を撫でていた指が耳に触れた時、彼女は「ひゃん」と小さく悲鳴を上げた。
何だろうなと思って、耳を撫でてみると、ビクンビクンと彼女の身体は小さく跳ねて
「耳、ダメです・・・」とか「いじわるぅ・・・」とか
小さく言っていた。
彼女の反応が可愛くて、彼女の初めて見たその表情がまた見たくて、
俺は吉木さんの耳を触ったり、吐息をかけたり、少しなめてみたりした
完全に調子に乗ってた
やがて吉木さんの吐息が熱を帯びてきて、頬が熱く赤くなってきて、「さすがにやりすぎたな」
って思った時に、俺は吉木さんに押し倒された。
292:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:45:50.39 ID:6B/Q6dyG0
書き方がよくなかったけど、なにも起こらないよw
吉木「嫌いに・・・・ならないでぇ・・・」
俺「吉木さん・・・?」
吉木「捨てないで・・・」
吉木「お願いだから捨てないで・・・」
こんな感じのことを馬乗りになった吉木さんに言われた。
吉木さんは過呼吸になるほど、おお泣きした。
俺はなんとなく、松岡が吉木さんに何をしてきたか見えた気がした。
294:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:49:52.48 ID:KZn9PKpS0
がんばれ
295:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:50:45.14 ID:6B/Q6dyG0
この時、俺はわかってしまったんだ。
全部違う、全然違うって。
吉木さんと菜緒ちゃんに対する気持ちはまるで違う。
菜緒ちゃんのことは好きだ。本当に大好きだ。
それはきっと青春の1ページとしての好きで、結婚するような好きではないということ。
俺は今、目の前の女の子を一生かけて守り抜きたいと思っているということ。
この子が、やっぱりほしいと思った。本能的に。
それに俺は気づいてしまった。
そのあと吉木さんは泣き出してしまい、それを何とか慰めてから
ものすごく謝罪されながら二人で駅まで帰った。
298:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:55:24.49 ID:6B/Q6dyG0
俺は、その夜、再び菜緒ちゃんと別れた
本当にサイテーだったが、吉木さんのことは伏せた。
菜緒ちゃんは一晩中何度も何度も俺のケータイに着信を入れ続けた。
俺は一度も出ることはなかった。
俺も菜緒ちゃんのことを思い出して一晩中泣いた。
なんだかんだいっても8ヶ月くらい付き合ってた彼女だ。
罪悪感でいっぱいいっぱいだった
300:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 21:59:17.07 ID:6B/Q6dyG0
吉木さんとその週の終わりに、二人で同人誌の即売会にいった。
前から約束していたし、二人とも割とオタ気質があったので、地方イベだったが
なかなか規模の大きなそのイベントは楽しむことができた。
その帰り道に、俺たちは駅前のイルミネーションを見て、
俺は吉木さんに菜緒ちゃんと別れたことを告げた。
吉木さんはすごく驚いていた。
301:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 22:02:22.32 ID:6B/Q6dyG0
吉木さんとは毎日のように電話して、以前よりももっともっと深い話をしたり、二人で画面共有で
ゲームをしたりして過ごした。
12月の中盤、俺は吉木さんをクリスマスイブの食事に誘った
そこで告白しようと考えていた。
しかし、それは断られることになる。
俺は、もうむしゃくしゃして、電話で言ってしまった。
俺「クリスマスだめなの・・・?」
吉木「イブはだってほらあれじゃないですか、恋人たちの日じゃないですか。だから食事なら違う日はどうでしょう?」
俺「そんなんさ、俺、どう頑張ってもだめじゃん」
吉木「え・・・?」
俺「俺はいつもそうやって土俵にも上がれないまま君をほかの男に取られ続けるんじゃん!!」
俺は泣きながら怒鳴った。
あからさまなフラグ回避には慣れてたはずなのに、やっぱりまた振られるのかと思って
とてつもなく悲しくなった。
305:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 22:05:27.15 ID:l13OCvUm0
オラそわそわすっぞ!!
310:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 22:07:34.50 ID:6B/Q6dyG0
計画倒れになってしまったので俺は電話で投げやりに告白した。
もう何度目の告白だかなんて分からなかった
しかし、今回ばかりは結果は違った。
俺「俺はずっと吉木さんが好きなんです」
吉木「ちょっと落ち着いて。ちょっとだけ・・・考えさせてください」
俺「!?」
吉木「今週の金曜日に言うので、それまで待ってくれませんか」
311:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 22:09:56.02 ID:6B/Q6dyG0
初めて保留という結果をもらえた。
その日は月曜日だったので、残り期間は4日間。
俺の人生の中で一番大切だった4日間だと今でも思う。
313:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 22:11:27.79 ID:6B/Q6dyG0
四日間俺が心がけたことは、毎日彼女に好きと言い続けること。
ストーカーかってくらいに。
気持ち悪がられるかもしれないが、それで嫌われるならそれまでだ。
もうすぐ卒業というのもあったのかもしれない。
もう二度と彼女に俺の気持ちを伝えることができなくなるくらいなら、たとえ振られてもこの4日間で俺の
すべての気持ちを彼女に伝えきってしまおうと思った。
この保留期間は、俺にとっていわば判決待ちの被告のような気分だった。
クラスの違う彼女とは接点もないので、放課後、無理やりにでも彼女との時間を作るようにした。
この四日間死ぬ気でやりきらないと一生後悔するって思った。
315:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 22:17:15.26 ID:6B/Q6dyG0
初日は確か、お互いまっすぐ家に帰ってから、スカイプしながら二人でゲーム実況を見ていた。
二日目以降は毎日彼女が家に来て、一緒にゲームをした。たしか、マリカとGTA4だった。
三日目、俺は学校を早退し、美容室に行き、「明日返事が来るので、とにかくカッコ良くしてください」
といってカットしてもらった
そのあと、吉木さんと再び家でゲームをした。
316:名も無き被検体774号+:2014/02/13(木) 22:19:56.72 ID:6B/Q6dyG0
そして運命の四日目、12月13日の金曜日だった。
こんな大事な日がジェイソンかよww
学校の授業中はずっとそわそわしてて、授業とかなんでこんなバカげたことしてるんだろって気さえした。
だんだんと緊張が増してきて、放課後になるころには緊張を通り越して頭が真っ白になってた。
この日のことは多分一生忘れないと思う。