206:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/25(月) 23:50:48.45 ID:K0zg9wHr0
夏と雪が二人で花火を楽しんでる間に、ハルに報告した。
「ハル先輩の指示に従いましたよ」
ハルは「うん」とだけ返事をした。
「ありがとう。
告って良かったって、今なら思える」
またハルは「うん」とだけ。
その「うん」が優しくて、
なんだか無性に泣けてきて、うううううって声出ちゃって。
「頑張った頑張った」って、頭を撫でられた。
私の片思いが、本当に終わった。
やっぱり胸が暖かかった。
207:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/25(月) 23:54:58.80 ID:K0zg9wHr0
夏休みが終わり、受験色が更に強くなった。
最後の学祭も近付いていた。
この頃には、ハルと二人で下校するのが日常的になっていた。
そんなある日の帰り道、ハルが言った。
「去年、夏ができなかった事を俺がやり遂げれば、少しは俺を見直す?」
どういうこと?と訊ねる私に、
「未成年の主張に出て、アキに告はk
「やめて、まじでやめて。」
大体ハルはそんなキャラじゃないし。
でも、とゴネるハルに、
「そんな事しなくても、いつも見直してる」って言った。
ハルは嬉しそうに笑った。
でも事実だったから。
一年前は知らなかった、ハルの一面を沢山見れた。
ハルが私を好きなことを、心地良く感じ始めていた。
209:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/25(月) 23:59:03.41 ID:K0zg9wHr0
相変わらず空の写メを撮り続ける私と、
暇さえあればメールで送りつけてくるハル。
毎日のことだから、最初の頃から格段に写メの腕が上がっていた。
ある日の昼休み、夏と雪を放って、二人でパシャパシャ空を撮っていた。
ハルが「おっ」って声上げたから、どれどれ、とハルの携帯を覗いた。
私はその写真が一目で大好きになった。
飛行機と飛行機雲、空の青、全ての塩梅が完璧だったんだ。
「ハル、これ送って!待ち受けにする!」
ハルは嬉しそうに送ってくれた。
210:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:02:30.72 ID:K0zg9wHr0
後日、二人で並んで電車を待っていた。
ハルに「あと何分?」って聞いた。
ハルが二つ折りの携帯をパカッと開いたので、反射的にのぞき込むと、
私と同じ待ち受けになっていた。
飛行機と、飛行機雲の写メ。
一瞬ハルは体を揺らして、すぐさま携帯を閉じた。
「ハルも待ち受けにしたんやー」って声をかけた途端、
無言でサッと顔を反対側にそむけたハル。
それから微動だにしない。
あ、照れてるのか。
少し気持ちは高揚したけれど、
「私より乙女だなコイツ」って冷静に思ったりもした。
211:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:05:28.67 ID:K0zg9wHr0
そして冬休み目前。
勉強の息抜きしようって、四人で雪の家に集まった。
夏と雪のお母さんがすっかり仲良くなっていて、
それは夏と雪が上手くいってることを象徴していた。
もう胸は痛まなかった。
雪の部屋でお菓子を食べながら、みんなで怖いDVD観てた時のこと。
私は本当にホラーが苦手で、序盤から一人でガタガタ震えてたんだ。
あまりの怖さに涙目になってて。
そしたらハルが、「今だけ」って耳打ちしてきて、
手をギュッて握ってきて。
212:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:07:53.60 ID:2opzdEd+0
夏と雪に見えないように、重ねた手の上にブランケットを掛けた。
パチパチ瞬きしながらも、絶対に画面から目を逸らさないハル。
また照れてるのか、って思ったけど、私も照れていた。
男の子と手を握るのなんて、中2以来で。
しかも、それがハルで。
18歳にもなるのに、手を繋いだくらいで、ドキドキしていた。
夏にずっと片思いしてたから、私の恋愛経験値はあまりにも低かったんだ。
結局、一番怖いシーンは全然怖くなかった。
手の方に神経が集中してたから。
213:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 00:10:08.65 ID:2opzdEd+0
DVDが終わって、夏と雪に気付かれないうちに手を離した。
離す瞬間、にやけたハルと目が合って、私もにやけたw
そしてハルがトイレに行って、三人でだらだらと話していたんだ。
すると、ドアが開いたと同時に、何かの破裂音がした。
何事かと思いきや、ハルがクラッカーを鳴らしていた。
そして、ハルと夏と雪が、ハッピーバースデーを歌ってくれた。
もうすぐ、私の誕生日だった。
214:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 00:11:23.11 ID:VD5pd3xZ0
④
素敵な青春だなー
215:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:14:13.94 ID:2opzdEd+0
ハルが一緒にケーキを持ってきてくれて、初めてのサプライズに感激した。
雪にカードを手渡されて、
中を開くと三人からのメッセージが書いてあった。
どれもこれも嬉しい言葉ばかり並んでて、
でも、その中でも一つ、嫌でも目に付く文章があって。
「付き合ってください」
夏と雪の感動的なメッセージの下に、ポツンと。
顔を上げたら、雪と夏がニヤニヤしてて。
ハルは照れくさそうに笑っていた。
216:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:16:57.55 ID:2opzdEd+0
「まぁ、これはスルーしまーす」って言って、
メッセージカードを直したw
ハルが「ちょ」とか言ってて面白かった。
そこからパーティーを再開したけど、
私は「付き合ってください」の文字を反芻していた。
その日はまともにハルの顔を見れなかった。
そして誕生日当日。
ハルがアポなしで地元にやってきた。
急にメールがきて、「少し会える?」って。
なんだかドキドキしていて、走ってハルを迎えに行った。
217:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:20:28.25 ID:2opzdEd+0
寒い寒い夜だった。
「どっか二人で話せる場所ない?」ってハルが言うから、
いつもの公園へ向かった。
ハルの口数は少なかった。
公園について、沈黙を避けるようにブランコへ直行した。
「ハルも来い」って言って、ちっさいブランコにでっかいハルが座った。
私もブランコに座って、大きく漕ぎ出そうとした瞬間、
「アキ」って呼ばれた。
「返事は?」って言われた。
メッセージカードの「付き合ってください」が頭に浮かんだ。
「やっぱ俺じゃ駄目?」と、小さくブランコを漕ぐハル。
私の気持ちは決まっていた。
「ごめん。無理です」
218:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:24:47.63 ID:2opzdEd+0
ハルは顔を上げず唇を噛んでいた。
「わかった」って細い声で呟いたハル。
「うん、ごめん、今は無理」
私のその言葉に、ハルの動きが止まった。
「今はってなに」いつもの淡々とした口調で訊ねるハル。
「だって受験生ですもの」と答える私。
「じゃぁ受験終わったら?」と、みるみる笑顔になるハル。
「それまで私のこと好きでおれるん?」
「当たり前やん!!」
ッシャ!って小さく拳を揺らしたハルが愛しかった。
ハルと過ごす毎日が続いて、ハルがいないと駄目になってしまった。
可愛いな、愛しいな、そう思ってドキドキできるのは、
ハルに恋をしたからだと気付いた。
219:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 00:26:09.74 ID:G1+MTw6V0
あーなんか
クッソーーーーー
220:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:29:02.37 ID:2opzdEd+0
「もう暗いし、帰ろ」と言う私を、ハルは引き止めた。
「チューしていい?」って、縦に大きい18歳男子がモジモジしながら言った。
「え、初めてなんやけど!!」って言ったら、
「まぁじぃでぇぇぇ?」って、
見たこともないフニャフニャの笑顔でハルは喜んだ。
そして、公園の隅の方に行って、初めてのチューをした。
目をつぶるタイミングが難しかった。
221:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:31:31.39 ID:2opzdEd+0
それから年が明け、受験まっしぐら。
夏と雪には「ハルとは3月頃に上手くいく予定です」と告げた。
「あ、もうハルに聞いた!」って夏がニヤニヤして言うから、
スパーン、と頭はたいといた。
それから受験のことはもう思い出したくない。
血反吐を吐くような日々。
ということで、あっという間に二月へワープ!
お互いの受験も終わって、残るは卒業式となりました。
当日まで、私たちの仲に進展はなかった。
チューも私の誕生日からお預け。
222:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:32:42.80 ID:2opzdEd+0
式が始まって、私の席から斜め後ろを向いたら、
ちょっと遠くにハルが見えて、ちらちら振り向いてた。
途中でハルが私に気付いて、慌てて目をゴシゴシしていた。
泣いていた、のか?w
遠かったから解らなかったw
223:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:34:34.21 ID:2opzdEd+0
校歌斉唱で、私も少し泣いてしまった。
夏を追いかけてこの高校へ入学。
寝ても醒めても、夏のことばかり考えていた。
二年生になって出逢った、大切な親友、雪。
一緒に沢山泣いて、雪は夏の彼女になった。
そしてヌボーっとした印象しかなかったハル。
開き直ったハルに、年がら年中「アキ、アキ」と呼ばれ続けた日々。
こんな密な時間を過ごせて、幸せ者だ、と思った。
チラッと夏を見たら、凛々しく校歌を歌ってた。
うん、そんな夏が好きだった。
やっと過去形になれた。
雪は席の関係で見れなかったけど、退場の時、赤い目で手を振ってきた。
224:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:37:03.52 ID:2opzdEd+0
クラスのお別れ会も終わり、廊下で待ってるハルの元へ向かった。
卒業生でにぎわう渡り廊下。
ハルは私にボタンを差し出した。
「これ受け取った時点で彼女になります」
ハルが淡々とそう言った。
私は何度かフェイントをかけながら、ハルの第二ボタンを受け取った。
ハルが「ありがとう」と笑った。
お礼を言うのは、私の方なのに。
少しだけ周りにギャラリーが出来ていて、
夏が「よっ熱いねっ」って茶々入れてきた。
ハルと顔を見合わせて笑った。
ハルは、今も私の彼氏です。
225:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:37:53.10 ID:2opzdEd+0
長かった(`・ω・´)
226:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 00:40:04.21 ID:RURyJ1js0
なんていい青春なんだ
227:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 00:42:11.93 ID:x2zsOlw/0
乙
こんな青春が羨まし過ぎて、太陽を浴びた吸血鬼みたいに溶けそう
228:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 00:45:04.57 ID:xg6Jv2Yh0
うん、おめでとう
229:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 00:47:35.73 ID:7Ni8HCLU0
一応ハッピーエンドで良いのかな?
おつ、おめでとう
230:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 00:49:42.59 ID:2opzdEd+0
こんなに長いのに、読んでくれた人ありがとう(`・ω・´)
スレ立てって大変なんだね(´・ω・`)
ほぼ私がピーチクパーチク語ってただけでごめん(´・ω・`)
よく解らんとこあったりしたらごめん(´・ω・`)
これからも四人でいたいと思ってます。
夏と雪にはヒヤヒヤするけどw
自己満足に付き合ってくれてありがとうございました(`・ω・´)
231:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 00:52:41.78 ID:5jYWUIxcO
乙!!
ほんと羨ましいくらいの青春だな
これからも四人で仲良くな~
232:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 01:00:06.25 ID:lSauvwgb0
いまいくつだっけ?
234:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 01:19:57.60 ID:2opzdEd+0
>>232二十一歳です。
235:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 01:22:19.83 ID:mRV57du90
>>234
なるほどー
てか、乙!
おもしろかったよ
夏と雪にヒヤヒヤするというのは?
243:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 14:40:08.49 ID:2opzdEd+0
わーレスついてる(`・ω・´)うれしい(`・ω・´)
でもビップラって全レスしちゃいけないんだよね?
疑問系のだけ返すね(´・ω・`)
レスくれた人ありがとう^^*
>>235何回か別れては戻ってを繰り返してるから><
236:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 01:22:37.62 ID:PpE8rBgs0
乙
面白かった!今も幸せそうでなにより
自分も高校の時片思いしてたの思い出した
237:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 01:22:46.68 ID:G1+MTw6V0
おつー
よかった
239:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 01:43:37.19 ID:hUbAKE8e0
ほっこりしたありがとう!
240:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 02:49:34.99 ID:zc1R0y6K0
なんか読んでるだけで若返る気がする~!
乙でした
四人はおんなじ大学?
243:アキ ◆kB.Rp6wEqA :2013/03/26(火) 14:40:08.49 ID:2opzdEd+0
>>240夏とハルが同じ大学だよ
244:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 19:44:57.60 ID:Ep7kF9uB0
感動した( ;∀;)
246: 忍法帖【Lv=29,xxxPT】(1+0:8) :2013/03/26(火) 21:27:09.65 ID:c8OrZLIk0
今朝の通勤電車で一気に読んだ
目から汗が止まらなかった…
241:名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 03:24:56.45 ID:btZ9t3X/0
なんだよこの青春
目からお汁が溢れてくるわクソックソッ