15:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/10/10(月) 10:00:15.52ID:0/7W0ZTJ.net
いまでも鮮明に覚えています。
時間は午前2時。
事務所には最後の引き継ぎを終わらせた私と店長の二人。
店長が「これで全ての引き継ぎは終わったな、明日からお前がここの責任者としてやっていくわけだが、ひとつ伝えておかなければならないことがある」
と改まった言い方をし、次に出てくる言葉を身構えて待っていると、店長の口は信じられないようなことをいい始めます。
「ここには3人の霊が住んでる。男が一人と、女が二人。今は特に悪さはしないから大丈夫だとは思うけど、何かあったら俺に連絡よこせ。知り合いに霊感の強いやつがいるから助けてくれるはずだ。」
突拍子もない幽霊話にポカーンとしていた私は、頭の中で今の言葉を繰り返して整理しようとしていました。
そしてふと気になった言葉「今は」?
今はってどういうことだ?
このまま終わらせたら後味が悪いので、その真意を確かめることに。
「いま、店長は今は悪さをしてないっていいましたけど、悪さをしたときがあるのですか?」と訊ねてみた。
すると、バツが悪そうな表情を見せ、こう言いました。
「俺の前の店長の頃、業績が悪かったのは知ってるな?前の店長が決して下手くそだったわけではないんだ。他の店舗で業績を上げて実力的には社内で1~2を争う人物だった。しかし、気に入られなかったんだな。アイツらに」
(あいつら?)
16:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/10/10(月) 10:07:27.18ID:0/7W0ZTJ.net
「アイツらといっても実際に害があるのは一人だけなんだが」
「ちょっと待ってください。害があるってかなりヤバイやつなんですか?なんでそんなの放っておいてあるんですか?除霊なりなんなりしてもらえばいいじゃないですか。」
と言った私の言葉が終わらないうちに
「ダメなんだよ。除霊はやったんだ。でも効かないというか逆効果だったというか、逆恨みされて怒らせた結果が業績悪化だ。」
(除霊はやった?失敗した?)
「とりあえず、まず男の霊なんだが、こいつは無視していい。階段の踊り場に普段はいて、たまーにイタズラするくらいだから。」
「え?イタズラするんですか?どんな?」
「お前は知らないだろうけど、朝方まで事務所に残ってると、たまにインカムのスイッチが勝手に入って「お疲れさまです」とか「了解です」って言うんだよwノイズで聞き取りにくいけどな。ただのイタズラw」
(いやいや、怖いから…)
「もう一人は?害があるのは一人なんですよね?」
17:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/10/10(月) 10:11:22.76ID:0/7W0ZTJ.net
「うん、もう一人も害はない。俺がたまに事務所で寝てるの知ってるよな?」
「はい、新台の釘叩く時ですよね」
「うん。それ以外にも会議の書類まとめたりで泊まる時があるんだけど、このソファで仮眠していると、カッカッカッカッカッ……てハイヒールの音を響かせながらそこの通路を歩いていく。それだけw」
「なんか面白そうに言ってますけど、全然面白くないっす……」
「まあ、階段男とヒール女は直接なんかしてくるわけじゃないから、ただの同居人だと思っとけば慣れるさw」
(慣れねーよ…)
「それで、最後の一人がやばい」
18:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/10/10(月) 10:18:23.22ID:NIJwaSub.net
続きはよ
19:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/10/10(月) 10:21:36.60ID:0/7W0ZTJ.net
「ここって元々はうちの会社の店じゃなかったの知ってる?元々は○○っていうパチ●コ屋で、うちの会社が買い取って改装したんだよ。」
「ええ、常連さんがよく言ってますね。昔はパンチパーマのいかつい店員がホールでタバコ吸ってるだけでいまみたいに玉運んだり掃除したりなんてしてなかったって。」
「昔のパチ●コ屋なんてどこもそんなもんさw付け加えると、その頃の店員てカップルが多かったのよ。
今俺らが事務所とか休憩室で使ってる二階は従業員の居住スペースになっててさ、住み込みで働けるから夜逃げしてきた夫婦とか駆け落ちしてきたカップルには都合が良かったんだ。」
20:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/10/10(月) 10:33:20.10ID:0/7W0ZTJ.net
「で、そのカップルの一組が元凶になったんだな。男が別の従業員とデキて、彼女と貯めてた貯金と店の金横領してトンズラしたわけだ。この時点でなんとなく解ったと思うけど、この女が自殺したのよ。」
「……(カップルが別れるってこれが原因だったのか)」
「だからと言って特に悪さをしていたわけではないんだけど、俺の前の店長はそこそこ霊感のある人だったこともあって、業績が落ち込んでることに対しての本社の追求に思わずこの霊のせいかもしれないといってしまったんだな。」
「霊のせいにしたんですか」
「そう、本社は当然バカにした。でも後に引けなくなった当時の店長は自腹で霊媒師雇って除霊を始めた。
でも、この霊媒師ってのが胡散臭いやつで、誘導尋問のようにあれこれ聞き出したら御札貼ってさよならだったらしい。」