獣医師の私が喋る猫「猫又」の面倒を見ることになった結果・・・

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7: 忍法帖【Lv=2,xxxP】(2+0:8) ◆BUxZpQs5ZU :2014/01/21(火) 18:59:10.75 ID:QmGt65RG0
私はその日経過が気になる犬がいたので徹夜で様子を見ていた。
獣医は私と大沢の二人。
大沢はあからさまに嫌な顔をしていた。
仕方がないので私が診察に当たり、現在の状態を説明。
「詳しい検査もあるので今晩は預かります。詳しく検査をしてみないと
今後の治療方針も決まらないのでまた明日、お迎えに来てください」
と老婆に告げた。
老婆は分かりましたとポツリと言い残し去っていった。

8:名も無き被検体774号+:2014/01/21(火) 19:01:02.30 ID:P8uFtQay0
おばあちゃん1人と猫1匹で暮らしてたんかなぁ…
なんか和む

10: 忍法帖【Lv=2,xxxP】(2+0:8) ◆BUxZpQs5ZU :2014/01/21(火) 19:02:25.06 ID:QmGt65RG0
翌日猫は未だに昏睡状態。
詳しく検査した結果、腫瘍が全身に広がっていることが発覚した。
おそらくひどい痛みに耐えていただろう。
腎不全のため心臓も弱っていた。
19歳という年齢も考慮して、痛みを最小限に抑えてあげて、
お家で飼い主さんと最期の時を過ごしてもらうのが最善だろうという結論に至った。
そのことを老婆に告げると、色々準備をするのでもう一日預かってくれと言われた。
私は快諾した。
その日の夕方猫が目を覚ました。
痛々しい姿ではあるが飼い主を探すような仕草をして「ニャーン」と鳴いた。
私はひと安心し自宅に帰った。


12: 忍法帖【Lv=2,xxxP】(2+0:8) ◆BUxZpQs5ZU :2014/01/21(火) 19:05:00.77 ID:QmGt65RG0
翌日休みだった私は夕方まで寝ていた。
すると大沢が大声で怒鳴り電話をかけてきた。
何事かと聞いてみると、なんでも猫の飼い主と連絡がつかないらしく
治療費を踏み倒されたらしい。
最初に名前と住所と電話番号を書いてもらっていたのだが全てデタラメだったのだ。
まあ珍しいことではないんですがね。

とりあえず明日まで待ちましょうと言い電話を切った。
翌日出勤してもまだ猫のお迎えは無かった。
大沢は「無料で治療は出来ない。可哀想だがこのまま投薬をやめて死ぬのを待つしかない。」
と言っている。
私は猫の顔を見ていると何だかとても悲しい気持ちになった。

13: 忍法帖【Lv=2,xxxP】(2+0:8) ◆BUxZpQs5ZU :2014/01/21(火) 19:07:16.16 ID:QmGt65RG0
「私が看ます!」
勢いで言ってしまった。
今考えると、獣医師としてのプロ意識が足りないと思うし
正直考えられない行為だ。
なんでそんなことを言ってしまったのかわからない。
でも何だかこの猫を見捨てることがどうしても出来なかったのだ。

その日から、私は仕事以外の時間を全部猫の面倒を見るために使った。
数日間は病院に入院させてもらい、
病状が落ち着いてから家に連れて帰り点滴、投薬をした。
とにかく痛みを取り除くために手を尽くした。

14: 忍法帖【Lv=2,xxxP】(2+0:8) ◆BUxZpQs5ZU :2014/01/21(火) 19:10:12.72 ID:QmGt65RG0
そんなある日、仕事が終わり家に帰るとなんと猫が立ち上がっていた。
病状は改善はしないものの痛みが和らいだため、
動くことができるようになっていたのだ。
餌も柔らかいものなら食べられる。
一安心だ。あとはこの猫のそう長くはない余命を、幸せに全うさせてあげよう。
そんなことを思っていた。

次の日私にとって忘れられない体験をすることになる。
事前に言っておくが、これは色々な人に話しても誰も信じないし、絶対にありえない。
お前人間の病院に行ったほうがいいぞと言われるほどブッ飛んだ体験だった。