話を聞いてるだけで足が震え、うまく酸素を体内に運べなくなりそうになった。
恐怖で浅く早い呼吸になるのを感じ、もうやめてくれ!と叫びたかった。
声が出れば叫んでいたんだろうか・・・?
坂倉「それまでは会話は一切しなかったオヤジ。特に暴力をふるってたわけでもなかった。ただその日を境に俺は事あるごとに暴力を受けてきた・・俺が帰ってきたから競馬がハズれたんだ!と怒鳴られ泣きながら気をつけをさせられ殴られ続けた事もある・・・母ちゃんは・・・たすけ・・て・・くれ・・なか・・った・・」
キツメ目の少年は少し目尻を下げ、そこから一筋の滴を落とす。
その滴には・悔しさ・悲しみ・恨み・絶望、さまざまな負の感情が溶けている。
どこか大人びた表情の細見の顔が中心に向かってぎゅっと凝縮され、
年相応に見える子供の顔になっていた。
坂倉「・・・はは・・わりいな・・こんな話して・・・」
俺「いや・・別にいいけど・・・」
坂倉「修学旅行明日もあるだろ?俺、風呂に入りたくねえんだ。背中にさ、すげえ火傷の跡があってさ。それ見られたくねえんだ。明日も入らなかったらお前心配するだろ?だからしゃべっちった。ごめんな。」
俺「・・・・・・・・・・・・・・・」
言葉というのは頭で考えてしゃべっていないのだと俺はその時深く理解した。
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