彼女は女の子でありながら技術系の部署に配属された。
カメラや三脚。その他の荷物を担いで動くのは
男でも大変な部署だ。
俺は昼食を食べながら渡辺に聞いた。
「さっき泣きそうな顔をしてたよな?」
渡辺は不安気な表情を浮かべてこう話した。
「配属のあと先輩に機材の説明を受けたんだけど
全くなにがなんだか理解できなかった。
技術部は電気系統のことも理解しなきゃいけないし・・・。
やっていけるか不安で・・・」
137: :2008/06/17(火) 10:20:05.36 ID:
みんな不安は同じなんだな。
俺の制作部も理解出来ない言葉は飛び交うが
技術部よりマシだろう。
ラーペ
フォーペ
NP1
トライ
プロミスト
ハツハツ
こんな意味不明な言葉を平気で使うのが技術部だ。
またこれらの言葉を理解しなければ技術部の資格はない。
初日に・・・矢継ぎ早にこんな専門用語を聞かされた
渡辺の不安は計り知れない。
しかしこの渡辺は数年後立派なカメラマンになる。
まだまだ男性社会が色濃くのこるこの業界で
男性には絶対的に劣る体力面をカバーし
渡辺はカメラマンになったのだ。
素晴らしい努力家といえる。
俺と渡辺は昼食をしまし会社に戻った。
渡辺の部署は1階だ。
エレベーターに乗り込む俺に不安げな表情を見せた渡辺。
俺も不安なんだよ。
心の中でそう呟いた。
139: :2008/06/17(火) 10:24:43.13 ID:
昼食後、赤松に連れられ例の会議室へ。
そこには30歳前後の小太りの男がいた。
「志村です。君が二宮くん?」
気さくに話しかけてくる志村に好感を持った。
「僕も2年前はこの会社にいたんだ。
今回は僕のADについてくれるんだね。よろしく」
俺はホッとした。この人となら・・・この人なら
付いていけそうだ。
しかし世の中はそんな甘いものでは無かった。
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