宇宙人母から、小学校のときの連絡網プリントを頼りに実家に電話が来たらしい
宇宙人がお宅のお子さんの一人暮らし先にお邪魔してないかと聞かれたんだが
何か知らないかと言われた
いつもなら消えても夕方にはふらっと帰ってくるのに帰ってこない
失踪する数日前に、ふと思い出したようにこちらの話をしていたため
何か手がかりはないかと電話があったそうだ
宇宙人の放浪癖の範囲はついに県外へ及んだらしい
誰がうまいこと言えと
窓から外を覗いたが、宇宙人はいなかった
そもそも県名しか教えていないので来れるはずが無い
宇宙人家は警察に相談したらしい
しかし宇宙人はいつも携帯を置いたまま消えるので探しようが無かった
心配なまま一日がたった
突然、携帯に電話がかかってきた
出ると、宇宙人だった
今どこかと聞くと、「さぁ」としか言わない
親御さんが心配してると言うと、「ハァ」と言った
一瞬会話が途切れた後、「家に行こうとおもったら、迷子になった」と宇宙人が言った
迎えに行くから駅名を教えて欲しいと言うと、聞いたことも無い駅名が返ってきた
宇宙人は公衆電話からかけてきているらしい
中学生のとき、携帯を買ってもらって冗談で宇宙人に番号を教えたのを
超人並みの記憶力で覚えていたらしかった
今から行くから絶対そこから動くなと言うと、宇宙人は「ハァ」と言って電話が切れた
調べると宇宙人がいる駅は隣県にあった
部屋着のまま財布と携帯を持って慌てて家の近くの駅へ走った
あまり路線には詳しくないので、駅員さんに切符を買ってもらった
道すがら宇宙人を発見したと家に連絡した
また適当な電車に乗ってやいないかと気が休まらなかったが
3~40分で宇宙人が言っていた駅についた
気が気じゃないまま宇宙人を探して、やっとベンチに座ってトッポを食べている宇宙人を発見した
足音でこちらに気付いた宇宙人は、こちらを見て「誰?」と言った
迎えに来たというと、「ほんとに来た」と言っていた
宇宙人の横に座ると、「匂いが変わった」と言われた
昔はどんな匂いだったかと聞くと、椅子の匂いだと言っていた
宇宙人は、肩から中学校の指定バッグを提げていた
中を見ると、お菓子と、よく分からない薬と、タコ糸で巻かれたグレイ型宇宙人のぬいぐるみがあった