726 :1 :2012/08/10(金) 22:51:02.70 ID:Z/us+aeL0
「たとえば、実は俺が、青空のことを
好きにならないように必死に努力したが、
結局は無駄に終わったこととか」
青空は目を丸くして僕の顔を見ます
「そういうことだろ?」と僕は念を押します
「……そうです。そういうことを話すんです。
課外が終わって会いに行ったとき、
私がわざわざ髪を切って、お洒落をして、
実はとってもはしゃいでいたこととか」
「アパートに青空があらわれたとき、
どうしてか、妙にほっとしてしまったこととか」
「足の心配をしてくれて抱っこしてもらったとき、
本当は皆に見せて回りたいくらいだったこととか」
「酔っ払った青空がとんでもなく可愛かったこととか」
「キスの件は、わざと勘違いしたふりをしたこととか」
727 :1 :2012/08/10(金) 23:05:07.70 ID:Z/us+aeL0
びしょ濡れで店内に戻った僕らは
無闇にお互いを叩いて笑います
思えば、この夏は、僕も青空も
しょっちゅうずぶ濡れになりました
それでも、雨に濡れるのは初めてでした
あたたかいコーヒーを飲み終える頃
デパートに閉店を知らせる音楽が流れ始めます
外に出た僕らは、夜の雨の街を、
傘も差さずに歩きつづけます
青空は「雨にぬれても」を口ずさみます
見込みのない二人は、いつまでも
手遅れの幸せについて語ります
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