【壮絶なストーリー】魔王を倒した勇者が帰還→勇者「王様チィーッス」王様「だ、誰だ!?」

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45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/07/01(金) 15:45:32.14 ID:5Ug8BclXo

王様「僧侶どのの願い?」

勇者「そ。願い。あいつさー、魔法使いが死んじゃった後、俺に言ったんだ」

勇者「『もう二度と、勇者も、勇者の仲間も現れない世界にしてください』って」

勇者「惚れた弱みってやつだね。俺もうんって頷いちゃったんだ」

勇者「だからその願いを叶えたい」

王様「そ、それは魔王を倒して欲しいという事では」

勇者「んー、そりゃ今の時代ってだけでしょ?」

勇者「魔王ってのはさ、例え今倒したとしても、いつかまた新しい魔王が産まれちゃう。数百年後か数千年後かはわかんないけどさ」

勇者「時代が証明してるよね」

勇者「だから俺は考えた。どうすればいいのかなーって」

勇者「そして思いついた。僧侶は魔王の出ない世界にしてくれといったわけじゃない」

勇者「勇者の現れない世界を望んだんだ」

46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/07/01(金) 15:48:29.29 ID:5Ug8BclXo

小さな農村

魔物の老婆「はいおしまい」

魔物の少年「ニンゲンって馬鹿だねー」

魔物の少女「ねー」

魔物の老婆「はいはい、お話は終わったんだからもう寝なさい。悪いニンゲンにさらわれてしまいますよ」

魔物の少年「えー、弱っちいニンゲンぐらい大丈夫だよ。この前、2頭も仕留めたんだもん!」

魔物の少女「でもニンゲン怖いよ? ガーって襲ってくるもん」

魔物の老婆「さっきも話したでしょう? ニンゲンは今でこそこうだけれど、昔は頭のいいニンゲンや強いニンゲンだっていて、魔物を襲ってたんだよ?」

魔物の少年「はーい……」

魔物の少女「おやすみおばーちゃん」

魔物の老婆「はいおやすみなさい」

魔物の老婆「ふぅ……最近は凶暴なニンゲンが増えてきたし、困ったもんだよ……」

魔物の老婆「でも、きっとニンゲンの魔王を倒してくれる魔物がきっと……」

47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/07/01(金) 15:49:06.96 ID:5Ug8BclXo

どこか
魔物の青年「魔王よ、何か言うことはあるか?」

「あー、二つほど」

魔物の青年「何だ」

「俺は失敗した。次は……お前の番だ」

54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/01(金) 16:09:28.20 ID:3c76SabDO


そして立場を変えながら、歴史は繰り返すのか

53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2011/07/01(金) 15:56:16.47 ID:OdW36NQAO

オートリカバリー+精神リミッターぶっ壊れた勇者倒すとか名も無き青年凄すぎだろwwwwwwwwww

55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/01(金) 16:21:13.41 ID:hGPgra7s0


ある意味勇者物の命題だよなあこう言うの

58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) :2011/07/01(金) 18:13:53.96 ID:5Ug8BclXo

僧侶の手記

今日、勇者から「一緒に冒険に行こう」と言われた。
とても嬉しい。反面、これから先の冒険の旅を思うと少し怖くもある。
ここまで書いている途中で、私の中に断るという選択肢が無いことに気付き、恥ずかしさと嬉しさを覚える。

旅立ちの初日、彼のもとへ行くと先客がいた。
彼と私の幼なじみでもある、戦士と魔法使いだ。
最近は、お互いの職が別のものでもある事もあり、疎遠になっていた。
特に、魔法使いとは彼のこともあり、自分から関わらなかった面もある。
私は臆病者だ。

冒険の旅に出て数日。
どうしても魔法使いとギクシャクしてしまう。
彼女は今も彼に想いを寄せているのだろうか。
こんな事ばかりを考える私は、本当に嫌な女だ。

今日、魔法使いに呼び出された。
彼女は泣きながら私を叩き、昔、彼に想いを寄せる私を見て身を引いたことを話してくれた。
そして、今の私を見るのは辛いと。こんな思いをする為に身を引いたのではないと言ってくれた。
私たちは、同じことを思って身を引いていたのだ。
ごめんね、魔法使い、勇者。

63 : ◆Vcef9xkjaI :2011/07/01(金) 23:38:28.59 ID:5Ug8BclXo

パーティー内の不和が解消された為か、冒険の旅は順調に進んでいる。
だが、別の問題が発生した。水と食料の問題だ。
今いる場所から次の村までは、どう見積もっても数日かかる。しかし、前の村まで戻るのも数日かかってしまう。
選択肢はそう多く無い。

近辺にいた、牛に似た魔物と蛇に似た魔物を食べた。
魔物の血で喉を潤し、魔物の肉で空腹を癒す。
どうやら蛇に似た魔物には毒性があったようで、先ほどから吐き気が止まらない。

鳥に似た魔物と、野生のリンゴを少し手に入れた。
リンゴを衰弱の激しい魔法使いに食べさせるが、全て吐いてしまった。
魔法使いの泣き声で眠れない。

眠れない。

ようやく村を見つけ、転がり込むように入った。
村は貧しく、食料はそんなに多く無いという。
村長へお金や道具を渡し、なんとか一晩の滞在と僅かな水と食料を分けてもらう。
村の住人は、私たちを心良くは思っていないらしい。
勇者のパーティーは魔物から狙われている存在で、そんな一味が居ることは百害あって一利なしという事なのだろう。
そんな状態でも、一晩の宿と貴重な食料や水を与えてくれたのだ。
彼らは悪くない。彼らは悪くない。彼らは悪くない。
神よ、我らを救い給え。

64 : ◆Vcef9xkjaI :2011/07/01(金) 23:53:19.86 ID:5Ug8BclXo

久しぶりのベッドで眠り、回復魔法と食事を取ったおかげで、魔法使いの容態はかなり良くなった。
村長から近くの街までの距離を聞く。
次の街まで早くて10日。今の私たちには絶望的な距離だ。
勇者と戦士と相談し、魔法使いには内緒にしようという事になった。

山道を黙々と進む。魔法使いの顔色はかなり悪い。
大丈夫と微笑む彼女を見ていると、涙が出そうになる。

小さな泉を見つけた。
子供のようにはしゃいで、水を思いっきり飲んだ。
幸せだ。神よ、ありがとうございます。

しばらく、この泉を拠点として行動する。
魔法使いは休ませ、二人一組の行動だ。
心の余裕が出てきたのか、勇者はずっと笑顔だ。
彼が笑顔だと私も笑顔になる。

それなりの食料を集め、水も補給した。
計算したところ、次の街までは後6日ほどか。
魔法使いの回復を待ち、出発することにする。

旅は順調。最近は魔物の味にも慣れてきた。

遠くに街が見えた。あと少しだ。
残った食料を使い、少しだけ豪勢な食事をした。
みんな笑顔だ。

65 : ◆Vcef9xkjaI :2011/07/02(土) 00:03:57.63 ID:FrHhW4Y0o

街に入るのを断られた。
泣きながら私たちに謝罪する勇者の言葉が胸に響く。
彼は悪くない。街の人々も悪くない。
悪くない悪くない悪くない悪くない。
あの泉まで戻るか、先に進むか。
この選択肢を間違えたら、私たちは死ぬのだろう。
どこか達観している自分がいた。

勇者は先へ進むことを選択した。

自分の身体が自分の身体と思えない。
脚が重い。空腹と喉の渇きが酷い。
この辺りの魔物は毒性が強く、食べられないようだ。

魔法使いが倒れた。
戦士が背負って進む。私たちは進む。

喉が乾いた。

水。

みず

商隊が通りがかった。
彼らは、食料を求める私たちに、城一つ買えるような金額を提示してきた。
きっと多分、彼らは魔物なのだろう。
魔物だ。これは魔物が持っていた食料なのだ。
魔物の血の匂いが身体から取れない。
神よ、我らを救い給え。

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