9: 名も無き被検体774号+ 2014/03/12(水) 07:05:30.74 ID:zSMs1Lti0
「一緒に帰るのも、久しぶりだな」
車窓の外に向けた目はそのままに、ユウキは言う。
「そうだっけ?」
「ああ。なんかここ最近ずっと、さっさと帰ってただろ? お前」
意味ありげに言葉を切ってから、
「なんか怪しいことでもやってたか」
反対の車窓にもたげていた頭が、ずるっと滑りそうになった。
本当にこの男は適当に、適度に当たったことを言う。
「別に。ほら、ここ最近小テスト多かったじゃん。勉強しないとと思って」
「の割にはいつもより点数悪かったな。お前」
意地悪く笑うユウキだが、別段腹は立たない。
憎まれ口と意味ありげな物言いは、彼にとって挨拶みたいなものだ。
「努力が報われないこともあるんだよ」
「努力ってそんなに、ギャンブルめいたものだっけか」
「違う気はするけど、でもそういうこともある」
「報われない努力を努力と呼ぶなら、報われた幸運を幸運と呼ぶのはおかしいよな」
「どういうこと?」
「さあね」
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