ここまできたら集団ヒステリーみたいだなと冷めた目で見ていると
とうとう霊媒師を呼んでお祓いをするという話になってしまった
社長がその輪の中に入っていき、「俺の知り合いに霊感が凄い人がいるから呼ぼうか?多分簡単なお祓いくらいなら頼めばタダでしてくれるかも」と言った
女子達は喜んでいたが、俺は現実主義の社長がそんな事を言うとは思っていなかったのでビックリした
社長の知り合いが来てくれる事になりお祓いの日にちも決まった
俺はこの幽霊騒動にうんざりしていたので、騒ぎが収まるならなんでもいいやと考えていた
そして、お祓い当日
如何にも幽霊見えますよ!的な人ではなく至って普通なおばさんがやってきた
お祓いに使う道具らしき荷物をいっぱい持ってきていたが何かまでは見ていない
というのもお祓いには誰も立ち会えなかったからだ
どんな事するのか見てみたかったんだけど、それはおばさんに却下されてしまった
なので俺達はいつも通りに仕事に取り掛かった
はっきりと時間は覚えていないが、1時間以上経っておばさんは戻ってきた
おばさん曰く、女子トイレに居たのはやっぱり亡くなった人で自分が死んだ事に気付いていなかったらしい
それでおばさんが死んだ事を教えてあげると消えていったらしい
幽霊もだけどそれ以上に霊能者という人間が胡散臭いと思っていたから
そんな事を思いながら話を聞いていたら、おばさんが俺に近づいていた
そして、俺の肩をポンっと叩いてこう言った
「あなた、おばあちゃんのお墓に一度もいってないでしょ?寂しがってるわよ」
おばさんは俺にそう言うと、もう1人に近づいていき俺と同じ様に肩をポンっと叩くと何か言っていた
そのもう1人というのは、俺と女子トイレに幽霊が出るか検証しに行った先輩だった
そしておばさんは軽く挨拶をして帰っていった
ちなみに、おばさんに言われたおばあちゃんの墓参りは本当に一度も行っていなかった
先輩は亡くなったお父さんについて言われたらしいが、それも見事に当たっていた
で、問題の女子トイレの話に戻るが
おばさんのおかげで男の幽霊が出ることは無くなった
次は自殺した人の話を書いていく
その日は何事も無く普通に仕事をしていた
すると外でドカン!と大きな音がしたと思ったら悲鳴が聞こえた
車の事故か?と思ったが窓から外を見たバイトの子が「人が倒れてる!」と大きな声で言った
急いで窓に近づいてみると道路に人が倒れていて、血だまりが広がっていた
事故?轢き逃げ?いや、そんなことより救急車を呼んだ方がいいってことで
119に電話をしようときたら既に救急車のサイレンが聞こえてきた
倒れていた人がストレッチャーに乗せられて救急車に運ばれてそのまま病院へ向かっていった
凄いの見てしまったなーなんて呑気な事を言ってると
1人のバイトの女の子が出勤してきた
腰が抜けた様になっていて何かに捕まっていないと歩けない状態だった
その子の尋常じゃない姿にビビりながら何があったのか聞いてみると
歩いていると上から人が降ってきてた
それで道路に激突した瞬間を目の前で見てしまったとの事だった
俺達が聞いた悲鳴はこの子の悲鳴だった
これだけなら偶然自殺に遭遇した話なだけだが
実はこの自殺したと思われる人と3回ほど遭遇してる
1度目はビルの前
このビルは少し奥まった所にあるもんで入り口が若干分かりにくい
だから初めて来る人はほとんどが戸惑う
ある日、いつものように出勤しようとしたらビルの前でウロウロキョロキョロしている40代くらいの男の人がいた
俺はてっきりビルに用事があるもんだと思い、○○ビルはここですよと声を掛けた
すると足早に去っていったのであら?と思ったのが最初だ
この時、俺は男の人の顔を覚えていたから
なんだ結局ビルの中に入ってんじゃねーか!と思った
でも相手は俺の顔をちらっと見ただけで無反応だったから全然覚えてなかったんだろう
俺の方が先に降りたからあの人が何回で降りたかまでは分からなかった
最後の3回目
仕事が時間内に終わらなくて仕方なく残業をする事にした
基本残業はするなと言われてるので普段なら仕事が残っていても帰るんだが
この日は絶対に終わらせないといけない案件だった
1時間ほど経って飲み物を買うために外に出ようと入り口の扉を開けるとあの男の人がいた
前と雰囲気が違ってて不気味な感じがした
それに「すみません…すみません…」と独り言を繰り返していた
男の人はエレベーターの方に歩いていたので、これは一緒に乗れないと思った俺は非常階段で一階まで降りてジュースを買った
戻ってくる時には既に姿はなかった
俺が自殺者と3回遭遇した人が同一人物だと思ったかというと
飛び降り自殺があってからあの男の人を見なくなったから
俺が思うには飛び降りるビルの下見だったんじゃないかなと…