80:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 23:32:57.967ID:a0c7y0nfr.net
読んでたら腹減ってきた
81:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 23:36:40.173ID:wS3nw31O0.net
店主「お客さん」
ドレス娘「!」ハッ
店主「今ここにあなたの友達はいない。見栄を張る必要はない」
店主「好きなパンを取ってくれていいんだよ」
ドレス娘「は、はい……!」カチカチッ
看板娘「え……!?」
82:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 23:41:12.841ID:eTBmrHXE0.net
(ヤキソバパンはどこ?)
84:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 23:42:39.412ID:wS3nw31O0.net
ドレス娘「コッペパンと、食パンと……」
看板娘「そっか、あなたはシンプルなパンの方がお好きだったんですね!」
ドレス娘「ええ……そうなんです」
ドレス娘「私、味付けされてないコッペパンや食パンにかぶりつくのが大好きで……」
ドレス娘「だけど、みんなにちやほやされるうち、私自身も見栄を張るようになってしまって……」
ドレス娘「普段“演じてる自分”に相応しい物を食べるようになって……」
看板娘「それで今日、好きなパンを取ろうと、お一人で来店されたわけですか……」
看板娘「やっぱり人間、自然体が一番ですよ!」
看板娘「パン屋にトングとトレイがあるのは、お客さんが好きなパンを選ぶためなんですから!」
ドレス娘「はいっ!」
店主「うーむ、二人が並ぶと、お客さんの美しさが際立つな」
看板娘「店長!!!」カチカチッ
店主「冗談だよ、冗談」
87:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 23:46:45.193ID:wS3nw31O0.net
看板娘「……店長、どうして彼女が本当はシンプルなパンを食べたがってるって分かったんですか?」
店主「取り巻きを連れていた時の彼女のカチカチは、美しくはあったが、偽りに満ちていた」
店主「だから、なんとなく“あ、本当に食べたいパンを選んでないな”って気がしたんだ」
看板娘「カチカチでそこまで分かったんですか!」
店主「だが、今日の彼女のカチカチはより美しく、なおかつ真実に満ちていた」
店主「仲間の前で自然体になれる日も近いだろう」
おわり
88:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 23:47:51.539ID:a0c7y0nfr.net
なるほど
89:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 23:49:11.906ID:wC7USF+Z0.net
いいぞ
91:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 23:51:37.306ID:wS3nw31O0.net
≪カチカチの達人≫
―パン屋―
ギィィ…
マスター「…………」ザッ
看板娘「いらっしゃいませー!」
店主「あ、あの人は……!」ビクッ
看板娘「え」
看板娘(どんなお客さんも恐れない店長が……緊張してる!?)
93:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 23:55:27.100ID:wS3nw31O0.net
マスター「ほう……このパン屋のトングは非常にいいね」ニギッ…
マスター「この光沢……よく手入れされている。色がシルバーというのも私好みだ」
マスター「…………」ヒュルルルルルッ
ヒュルルルルッ ヒュババババッ ヒュルルンルンッ
看板娘「トングを……ものすごいスピードで操ってる! はやいはやい!」
看板娘「店長、あの人は何者なんですか!?」
店主「そうか、お前はまだ知らなかったな」
店主「あの人こそ……伝説のトングの達人≪カチカチマスター≫だ」
看板娘「カチカチマスター……!」
94:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 23:57:57.325ID:a0c7y0nfr.net
なんだそりゃwww
96:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/14(水) 23:59:29.948ID:wS3nw31O0.net
マスター「…………」
店主「ほら」
看板娘「え?」
店主「今の一瞬で、5回カチカチした」
看板娘「え!?」
マスター「…………」
店主「今度は10回!」
看板娘「えええ!?」
看板娘(全然分からない……)
98:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/15(木) 00:06:06.170ID:JwCKjlME0.net
マスター「どのパンにしようかな……」
マスター「クロワッサンに、クリームパンに……」
パッ パッ パッ
看板娘「すごいスピード! まるでパンをトレイの上に瞬間移動させてるみたい!」
店主「選ばれたパンも、自分がトングで挟まれたことすら認識していないだろう……」
マスター「チョコドーナツもうまそうだ」パッ
看板娘「すごい! ドーナツの上にふりかけてあるチョコの粒を一粒も落とさずに……!」
店主「速さと繊細さを兼ね備えたトング捌き……≪カチカチマスター≫の名は伊達じゃないな」ジワ…
看板娘(店長の冷や汗も、ものすごいことになってる……!)
99:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします: 2017/06/15(木) 00:11:31.744ID:JwCKjlME0.net
マスター「お会計してもらおうか」コトッ
店主「はい」
マスター「さて、ここで問題だ」
店主「!」
マスター「トングを手にとってから、今この瞬間までに、私は何回カチカチしたでしょう?」
店主「…………!」
店主(これは……≪カチカチマスター≫からの俺への挑戦状……ッ!)
店主(落ち着け……数はきちんと数えていた。自分を信じろ!)