父さんの再婚相手…年下の不気味な母親→そのゾッとする結末とは・・・

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86 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)01:41:57 ID:X0Nc9eZGV
「大丈夫?」
 唇の端が切れたのか、出血していた。
 父がカホに手をあげたことに、私はなぜかショックを受けていた。
「言いすぎちゃったのかな。怒らせちゃったみたい」
 カホがおかしそうに笑った。
 笑うと唇が痛むのか、その微笑はいつもとちがっていた。
「またなにか言ったの?」
「少し注意しただけだよ、わたしは」
「それだけで手をあげたって言うの、あの人は?」
「そういう人でしょ、あの人は。
 あなただってそんなことぐらい、わかってるくせに」
 私は肩をかして、ソファにカホを横たわらせた。

88 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)01:46:34 ID:X0Nc9eZGV
「前にも聞いたけどさ。なんであんな人と結婚したの?」
 カホが答えようとしないので、私はそのまま続ける。
「あの人はクズだよ。お母さんだってあの人のせいで……」
「そうだね」
 カホは自分のお腹に手をおいた。
「あの人は奥さんがいても、平気で不倫とかしちゃう人だからね」
 母の生前、父が不倫をしていたことを私は知っていた。
 そして、その不倫相手の一人が目の前の女なのだ。
「わかってたんでしょ? 」私は言った。
「アイツが人間としてどうしようもないクズで、最低なヤツだって」

90 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)01:50:55 ID:X0Nc9eZGV
 「ええ、もちろん」 とまたカホは笑う。
 「じゃあ、どうして!?」 と私は思わず声をあらげた。
「幸せになるためよ」
 カホ自分の腹部へと視線を落とし、
 そのまま自身の手を腹部へともっていく。
「どんなことをしてでも、なにをしてでも」カホの声が冷たくひびく。
「わたしはわたしの幸せを手に入れるの」
「どんなことをしても……?」
「ええ、どんなことをしても」
 幸せになる。
 カホが自分に言い聞かせるように、もう一度言う。
 その言葉はしばらく私の鼓膜にこびりついて、はなれなかった。

91 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)01:53:52 ID:CMndssplx
ごくり

92 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)01:54:56 ID:X0Nc9eZGV
「……とまあ、だいたいこんな感じなわけ」
 私は話すのをやめて、カクテルを思いっきりあおった。
「先輩、飲み過ぎじゃないですか?」
 後輩の声がぼんやりとしか聞こえなかった。
 この時の私は、たぶん酔っていたのだろう。
「それで?  そのあとはいったいどうなったんですか?」
「お父さん? 死んだよ」
 後輩の顔がかたまる。
 予想通りのリアクションだった。

93 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)01:54:58 ID:rBr8STKlD
使わないコンセントはぬいて。そう言ったよね?

94 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)01:55:51 ID:3SI4oKKea
ぎょえー

95 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)01:55:57 ID:Dd9bAvNuI
>>93
やめろ

96 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)01:56:48 ID:CMndssplx
>>92にビビって>>93で更にビビった

97 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)01:59:24 ID:X0Nc9eZGV
 「正確に言うと、殺されたんだよ」私は続ける。
「さっきも話したけど。
 父がカホに手をあげて、一週間ぐらいしてからね」
「そうだったんですか」
 後輩がしぼりだすように相槌をうつ。
「てっきりさ、殺したと思ったんだ」
「え?」
 アルコールのせいで、言葉がチグハグになってしまう。
 私は言い直した。
「だから、カホがあの人を殺したと思ったの」

100 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)02:03:48 ID:X0Nc9eZGV
「……なんでですか?」
 後輩の声が低くなった気がした。
 私は構わずに言葉を続ける。
「いや、単なる勘。だって、ありそうな話じゃない?
 暴力ふるわれた女が、それをきっかけに男を殺そうとするって。
 ありそうじゃん、サスペンスとかで」
「でも、その人は先輩のお父さんを殺してないんでしょ?」
「おそらくね」と私はためいきをつく。
 
「父が殺された時間帯、あの女には完アリバイがあったみたい」
 そう。私の予想は外れた。
 捜査の結果では、カホには完全なアリバイがあったらしい。

101 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)02:05:35 ID:NEUyYUB9G
他人を洗脳するくらいできそうだな…ストッパー効かないくらい、人だって殺められるくらい追い詰められそう

102 :名無しさん@おーぷん :2014/07/30(水)02:07:34 ID:X0Nc9eZGV
「犯人は捕まったんですか?」
「全然。いまだに捜査中だね。 もう半年近く前の話なんだよね」
「本当に警察ってば捜査してんのかな」と私が言うと、後輩は苦笑いした。
「犯人、早く見つかるといいですね……」
「そうだね」
 私の返事は自分でも笑ってしまうほどにぞんざいだった。
「きみも気をつけて。世の中本当に物騒なんだから」
「そうっすね。オレも全身殴打で死亡とかいやですからね」
「はは、それは私もだよ」
 違和感が脳のどこかで引っかかる。
 でも流し込んだアルコールのせいで、
 その違和感は、あっという間に喉のおくに消え失せた。