いつも俺は助手席に乗っていた。
しかしこの日ばかりは助手席に乗る気がしなかった。
というか乗れなかった。
あそこまで怒り狂われ、馬乗りになられて
張り倒された恐怖と、こんな夜中に迎えにこさせた事を
申し訳なく思い、後部座席でずっと外の景色を眺めていた。
見たこともない風景が徐々に見たことのある風景に
変わっていく・・・
坂倉とよく一緒に菓子を買いに行ったセブンイレブンを曲がり
車は道路をまたぐように横を向ける。
ピーピーとバックを知らせる音が鳴り
音が鳴りやみ家に着いたことを知らせる。
俺は警察からここまでの間、一切口を開かなかった。
母ちゃんも俺に一切口を開かなかった。
玄関を開けて部屋に入り
部屋に戻りたいが戻ってはいけない気がするし
とりあえずリビングに行きソファーに腰をかけた。
母ちゃんはそのまま台所へと消えていった・・・
「どうしよう・・謝っても許してくれないだろうな・・」
もうどうするべきかわからなかった。
謝って許されるようなものじゃないってわかってた。
家出するか・・・
そんな事をうつむいて考えていたら
次のページに続きます…